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針子の乙女  作者: ゼロキ
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幻想宝具

 お風呂から出て、ほんのり花の香りがする水を飲んだ。

 「幻想宝具?」

 「神の座に行けるゲートですからね」

 ルゥルゥーゥさんが頷いて、皆さんため息をついた。

 「幻想宝具って・・・・・・・・」

 確か神様が直接制作したという、道具類の名称。

 有名な物で、今はない大陸の帝国の王を決める選定剣。

 大抵の物が、自ら持ち主を決める能力があるらしく、かろうじてその幻想宝具を取り合うような争いは起こっていない。

 昔は幻想宝具に選ばれた人間を取り合うような争いが起きかけたらしいが、それで大陸がひとつ滅んだと言われている。今はない大陸のことである。

 この国よりずっと遠い北の方に小さいけど平和な国があって、その国に選定剣はある。

 「ユイ様が水中から出られたとたん、見えなくなりましたし触れることもできませんでした。認識障害系の力が働いてますね」

 「資格ある者しか使用できない系ですね」

 エンデリアさんが呟く足元で、ミマチさんがまだ目隠しをされたままうなだれていた。

 「・・・・・・・・水晶の台座ってことは土系、温泉の中、安全チェックしたの私、せ、斥候のプライド、が・・・・・・・・」

 「幻想宝具にかんすることならば、仕方ありません。神の制作物ですからね」

 「確かに、あれはすごいです。ユイ様は平気そうでしたが、力が渦巻いてましたし・・・・・・・・それを、目視していた者にしか認識させない時点で、ちょっと私今更に震えてます」

 「え? 力?」

 ストールさんの顔色も、だんだん青くなってきたルゥルゥーゥさんにつられて、悪くなっていく。

 「精霊がポコポコ生まれたり世界に溶けたりするくらいの力でした」

 「まって!? それっ! 竜脈水路並み!」

 ミマチさんが血を吐くかのように叫んだ。

 「エンデリア様も気づかないって! 認識障害のレベルどんだけ!?」

 「とりあえずアージット様に報告をしましょう。資格ない者にはただの温泉ですし、ルゥルゥーゥ、台座が現れた時と消えている時の水分は採取してますね?」

ルゥルゥーゥさんはいくつかの、ビー玉のようなものを手のひらを広げて見せた。

 「力が渦巻いている時、採取できたのがこの大きさでした」

 「まって! 水中最強種族! 何も感じないんだけど!?」

 「水球として、維持出来るギリギリですが・・・・・・・・たぶん、ユイ様が持てば皆さんも認識できます」

 差し出されたそれを受け取った瞬間、ルゥルゥーゥさんとセンリさん以外が、急な重みを受けたみたいな反応をした。

 私には影響ないみたい。ルゥルゥーゥさんは元々影響を受けていたから、反応の変化はない。

 

 センリさんは不自然なほどに冷や汗を流していた。


 皆さんの注目が集まる中、センリさんは震える手で挙手して言った。

 「すいません。温泉入っている時に、不自然な声聞こえましたな。転移登録しますか? ・・・・・・・・みたいな」


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― 新着の感想 ―
[一言] 千里(チサト)さんとかかなー。
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