目がぁ、目がぁっ、
浴衣を着た前王様は、冗談抜きに輝いた。
キンらキラキラ、ぶわぁっと。
光の波を拡散しましたよ、眩しかったぁ。
月と、水、氷系統強めだけど、光もあったから、乱反射したみたいになって・・・・・・・・
青銀色のキラキラ清浄な魔力の光が、空気をもう一段階清めてったみたいだった。
「凄まじいな」
「私もここまでは」
なにやら茫然とした前王様とロダン様の声が聞こえたが、眩しさに気をとられてた私はその声を気にかけることがなかった。
更には前王様付きの精霊さん達が、成長していた。
浴衣ドレスもどきなのは、前王様からの影響だろう。
更に更に、まともな格好になった前王様の麗しさといったら、とんでもなさすぎた。
超ファンの映画スターを、目の前にしたかのような、ときめきが湧き上がってくる。
さっきまでの、ファンでもないけど知ってる映画スターから、超ファンの映画スターへの変化・・・・カリスマアップ?
あああああ、シンプルなシャツとスラックスもいいけど、ぐ、軍服系着せたいっ
黒系と白系、あとは精霊・魔力関係からして、青、藍色系
銀糸の刺繍と、要点を金糸で飾って・・創作意欲が止まりません。
キッチリ着るのも、着崩して身に着けるのも似合うだろう。肩に、羽織るのでもいい。
このファンタジー世界なら、馴染むよね?
ロダン様、ウルデ様がここに運び込んだ布、好きに使っていいって、言いましたものねっ!
取りあえずはシャツにズボン、下着類を一揃え仕上げることにした。
流石に靴は、一流の職人の手のものらしかった。
・・・・が、編み上げブーツが浴衣とは合わないので、ちょっと先に、草履を布紐作って編んで、鼻緒や縁に加護縫いして渡した。
飾りとして、前世飾り物として布紐草履作ったことあったけど、履かせる用に作ったのははじめてだった。
「その、服には、靴の代わりに、これ、履いて、ください」
「お、お、随分無防備になりそうな」
あ、駄目だったかな?と、不安になったけど、前王様はウルデ様がささっと用意した椅子に腰を下ろし、ブーツを脱いで草履を履いて輝くような笑顔を浮かべた。
「これは、いいな。とても楽だ」
不安そうな私に、ロダン様は苦笑した。
「加護縫いされた物の方が、防御力が高いからな。大丈夫だ」
「ブーツは、蒸れるし重いからな・・・・」
前王様がつい零した声に前世の経験を思い出し、今なら夢の品物を作り出せると『分かった』
「えっと、ブーツも、中に加護縫いした布、入れ、れば、なんとか、でき、ます」
うん。蒸れ防止、清浄化。皮に刺繍はこの針じゃ出来ないけど、靴紐に加護縫いすれば重さと防御力も何とか出来そう。
ちゃんとした一流の職人さんの作品だから、職人さんの許可が欲しいなと思うけど。
「本当かっ」
あぅ、輝くような、ではなく、本当に笑顔が輝きましたよ?
光の波、拡散ふたたび?
「おっと、すまぬ。魔力がまだ、落ち着かないな」
眩しいって、なった私を前王様は、ひょいっと抱き上げて膝の上に乗せた。
あわわわわっ、ちょっとこれいいの?
相手、前王様。私、ただの針子。
・・・・ロダン様咎めないから、いいのかな?
「ユイ、お前も魔力は大丈夫なのか?随分沢山、加護縫いしているが・・・・・・・・」
「う?」
ふと気付いたみたいに、心配そうに聞かれ・・・・私は小首を傾げた。
だってまだ、浴衣と草履に加護縫いしただけだよ?
私は知らなかった。
普通の、ほとんどの加護縫い職人は、魔力が持たないから何日もかけて服を作るのだと。
私の加護縫いが、ほぼ無尽蔵に使い続けられることも。