少女はお嬢様?
今回も、とっても短い! サブ題、予定してたのと変わってしまった!
黒粋が目覚めると、そこは見知らぬ所だった。天井が白い事からして、自分の部屋ではないことが解った。
「………?」
「あっ、起きたの?狐さん…。」
「……??」
黒粋は、状況が理解できない…。明るいのか暗いのか解らない声が、自分の上から降ってきた。思わず、上を見上げるとそこには誰か知らない少女の顔があった。
「う、うあぁぁっ!?」
「!?」
思わず、声を上げてしまった黒粋。自分がまだ狐の体だと知ったときには、後の祭り。
「しまっ……。」
「狐さん、しゃべれるの!?」
「…………どうしよう(小声)」
黒粋は、ここから逃げだそうと考えた。だが、黒粋よりすばやく誰かがさえぎった。
「お待ちください。」
「!?」
黒粋はありえないと言う顔をしている。なぜなら、黒粋は妖怪達の中ならトップクラスの素早さを持つ妖怪だ。本気は出してはいないが…。
「お嬢様のお相手をして下さいませ…。お嬢様は生まれつき、そちらの世界の住人が見えるのです。たまたま、あなたの本当の姿を見ていたようで…。」
「…………」
黒粋は何も答えない。と言うより考えていた。
(そちらの……つまり、妖界のことか…。この子供、妖怪が見えるのか…。それに、この爺さん。人間にしては、ありえない素早さだ……って事は…、)
「お前、忍か?」
「……左様でございます。」
「…まだ、残っているとは…。」
「今は、お嬢様のボディーガード兼執事をしております。」
「執事……ここそんなに金持ちなのか?」
「はい。ハザード家と申しますと解ると思いますが…?」
「ハザード家。ああ、あれね…何か、日本屈指の企業会社とか何とか…まっ俺には関係ないからな…俺はこれでおさらばだっっ!?」
黒粋は宙に浮いた。っと言うか、抱きかかえられた。黒粋は驚き、抱えた少女を見た。
「何だ?」
「…いっちゃ、ダメッ!…狐さんと暮らすっ!」
「はっ?」
意味が解らなかった。黒粋は、もう全力で逃げようと考えた。今でも、異変が起こっていると言うのに悩み事が増えてたまるか!と思い、決断した。
「……そんなの、ごめんだねっ!」
黒粋がそう言った瞬間、ボンッと音がして少女の腕に抱かれてたはずが消えてた。
「逃げましたか……さすが、野狐でも妖怪。私でも、解りませんよ。」
「ううっ。狐さん……。」
執事は感心し、少女は悔しいのか涙を浮かべていた。
「お嬢様、諦めましょう。恐らくですが、同じ町に住んでいるはずです。」
「……そう、なの?」
「はい。また見つけたら、彼と話をしましょう。」
そのころ、黒粋は家の近くの塀の上を歩いていた。ここまで来るのに、何度かネコに威嚇され、少し傷をおっている。
「くそっ、あの子供とネコ…、許さねえぇ……。」
と、よく分からない怒りを燃やしながら黒粋は、家に着いたのだった。
説明:黒粋は、子狐サイズだと誰にでも見えます。まあ、人間からすると黒い毛の狐がいるなぁ程度。珍しいので、写真とってサイトにアップしている人もいるとか…因みに撮られたのは黒粋が爆睡中の時……。