黒狐と出会い。
思いつきと、いきおいで書いています。文章が変なことに、なっているかもしれませんが宜しくお願いします。
昔。一つの村を壊滅させた妖狐がいた。その名は、黒粋。黒狐と呼ばれる、妖狐の1匹だ。
普段、黒狐は「平和の象徴」と人から思われていた。
だが、そのときの彼は、怒り狂っていた。彼は、母親を殺された。人間に…。
彼の母親は、空狐だった。
普段、姿を見せない彼女は、祠のお参りに来る人々をのんびり見ていた。
ある日、彼女は1人の人間に『姿を見せてほしい。』と言われた。やさしい彼女はすんなりと姿を見せたが、その姿を見た人間は、化け物と叫びながら逃げて行った。彼女は落ち込んだ。
その数日後、逃げて行った人間が、大勢の人々を引き連れて戻ってきたのだった。
その日、彼女は殺された。人間が大好きだった彼女は、抵抗もせず、やられ続けた。やがて彼女は、力尽きた。その光景を見ていた黒粋は、こう思い、言った。
(母さんは、人間にやさしくしてたのに……。)
「……が…人間が…憎い……!!」
と。黒粋は、母親を殺した人間達の元へ向かい。殺しまくった。ただただ、気が晴れるまで…。
このことは、後世まで語り継がれたが、信じる者はいなかった。百年以上経っている現在は、誰も知らない。
現在。黒粋は、人間達に紛れて暮らしている。黒粋は、今日で百十三歳。
「もう、百年前か…。」
「そうだねえ。」
何やら、聞き覚えのある声だった。
「白鈴。いきなり現れるな…。」
「もう!クロのいじわるっ!もう少し、驚いてくれたっていいじゃん!!」
「…はぁ…お前、それでも天狐か?」
「一応、天狐だよ。めんどくさいけど。」
「ちゃんと働け!」
天狐とは、妖狐達のトップである。姿かたちはどうであれ、妖狐が千年、生きるとなると言われている。天狐になるには、条件がある。
壱、千年以上生きていること。
弐、その中で、最も強いこと。
参、空狐の代表に認められること。
以上の条件を満たしてなければ、天狐になれない。だが、白鈴は異例だ。白鈴は一番目の千年以上生きていること。を無視して天狐になったのだ。彼は、まだ百六十三歳。千歳になるには、あと九百三十七年生きなければならない。だがそれは、今居る空狐以外の妖狐の中で、一番年上だったから選ばれたのだろう。
「で、何のようだ?」
「えっ?だって、今日クロの誕生日でしょ。」
「それがどうした?」
「だから今日、クロん家で誕生日パーティーを、」
「やらん。」
「ええぇーーーー!!?クロのいじわる~~!!」
「何とでも言え!」
誕生日パーティーだと、冗談じゃないっ!しかも、俺の家に来るだと!?仕事はどうしたんだよ、こいつ…。と思いつつも、パーティーをやろう。と言われたのが嬉しいのか、断れない気でもいた。
「まあ、そんなにパーティやりたいのなら、勝手にするがいい。」
「…えっ!?ほんと!?」
「だが、他の部屋のやつに迷惑を掛けることはやめろ。いいな。」
「うん!!」
白鈴は、にっこりと笑った。これじゃあ、どっちが年上なのか解らないな。
----------------------------------------
「んじゃあ、かんぱーい!」
「か、乾杯。」
そう言うと、二人はコップに入れられた飲み物を飲む。
「うん!やっぱり、おいしいね。これ。」
「そうだな……って、これっ!!」
「ん?どうしたの?」
「いいやつじゃねえか!!」
「うんあぁ、そうだねえ。取り寄せたしねえ。気に入った?」
「気に入ったも何も、こんな美味いの初めて飲んだぞ!」
「ははっ。クロは大げさだねえ。これ、二十万しかしないよ。安いじゃん。」
「……お前、天狐になってから金銭感覚、可笑しくなったんじゃねえか?」
二人が飲んでいるのは、1996年のワイン。一般人にとっては、そんな簡単に手に入れられる代物ではない。だが、白鈴が天狐だから出来たのであろう。天狐は、仕事でもある。もちろん、お金はもらえる。何円くらいかは、大手会社の社長ぐらいと思っていただきたい。そんなこんなで天狐は、妖狐達の憧れる職でもある。
ピンポーン。
「ん?大家さんか?今月の家賃まだ、払ってなかったっけ?」
実は言うと、大家さんも妖怪である。何の妖怪かは、わからず、だれも本当の姿を見たことがないそうだ。大家さんには、黒粋も小さいときからよくしてもらっているそうで。
「すみませーん。」
「はい。」
黒粋は短く答えると、ドアを開けた。
「なっ!?」
黒粋が見たのは、人間だった。人間に紛れて暮らしているといっても、まだ人間は嫌いだった。もう百年も前でも、恨みは消えてはなかった。
「今日、隣に引っ越してきたんです。これから宜しくです……って、あれ?」
「……?」
「ぼく1人だけ?お母さんは?」
「えっ?」
何言ってんだこいつ。と思ったが、すぐに理解した。黒粋は、子供の姿だ。もう、百年前から変わってはいない。人間から見れば、中一ぐらいに見える。
「あっ、お母さんはいないよ。」
「じゃあ、お父さんは?」
「いないよ。」
「そう。それじゃあ、これ。ご両親に渡しといて。安物だけど。」
「ありがとう。お姉さん。」
「どういたしまして。」
その人は、笑顔を浮かべ帰っていった。黒粋は、すぐにドアを閉める。
「ナイス演義!クロ。」
「もう、慣れたさ。」
「さっ、続きをしよう!」
「はいはい。」
----------------------------------------
「あの子、礼儀よかったな。」
と、独り言をしながらテレビを見ている。
「にしては、何か変?」
テレビを、見るだけでまったく片付けをしないこいつは、夏珪 美鈴。さっき、黒粋の部屋に挨拶に来た、人間だ。
「気になるなぁ。お母さんもお父さんもいないって言うし。出かけてたのかな?っでも、こんな時間まで?」
今の、時間は九時半。普通なら、帰ってもきてもいい時間だ。
「中学生を置いて、こんな時間まで!ゆるせないなぁ。………ってか、さっきの子の部屋、うるさいなあ。」
----------------------------------------
「白鈴!しずかにしろっ!」
「ふええ?何が!?こんなに楽しい気分は、ひさしぶりだあ!!」
「はあ。完全によってる。」
「ほらっ!クロも、もっと飲もうよ!!」
「俺は強いからいけるが、お前は何で、酔うのをわかっていて、やめないのだ!!」
ピンポーン。
「ちっ。またか。こんな大変なときに。はーっい!」
黒粋が、ドアを開ける。
「また、ごめんね。」
「あっ、さっきのお姉さん。何か、用?」
「ごめん。君の部屋うるさくて静かにしてくれる?」
「ああ、そういうこと。じゃあ、よかったら、これ持って行って。」
「えっ?」
そういって渡されたのは、人だった…。
「…だれ?」
「この人ね、僕の部屋にいきなり上りこんできたんだ。んで、酔いつぶれたんだ。」
「はあ…?」
「だから、持って行って。迷惑だから。」
「……わかったわ。」
「ありがとう!お姉さん!」
黒粋は、満面の笑みを作って見せて、じゃあと言ってドアを閉めた。
「えっ?ちょ、ちょっと!……どうしよう、この人。」
「クロ~~、ひどいよ~~!追い出すなんて!」
「とりあえず、私の部屋、来る?」
「うんうん!いくいく!!クロの隣だしね!」
(元気な人だな。それでいて、子供っぽい。まあ、いっか。)
気楽な彼女は、何も疑いもせず、白鈴を部屋に招待するのだった。この会話を黒粋は、聞いていた。
「ちっ。白鈴のやつ……。まあいい、考えてもしょうがない。白鈴に何が起きても、関係ないし。」
しばらくの沈黙。
「…っさて、片付けますかね……。」
この出会いが、黒粋の日常を変えていくのだった。
設定。
妖狐のランク:野狐、気狐、空狐、天狐。左が一番下。空狐は、天狐がさらに二千年生きてなる、だがなぜか、天狐よりランクが下になる。神通力においては、一番強い。
黒粋:黒狐と呼ばれる毛の黒い妖狐。黒粋のランクは、野狐。暮らしているところは、三階建てのアパート。その一番上の、右端に住んでいる。人間との交流もしなくてはならないため子供姿の黒粋は、ちょっと…いやかなり、演義が上手。そのためか彼が作る笑みは、なぜか近所の人に評判である。
白鈴:黒粋の友達。白狐と呼ばれる毛の白い妖狐。ランクは、天狐。ひょんなことから、天狐になった。もともと天狐になれるような、性格ではない。彼は、明るく子供っぽい。たまに大人だなあと思うことがあるかもしれない。