手と手
私とあなたは、一線を画した場所にいる。
それは、きっと、どうしても拭いきれない、
最終的には受け入れなくてはいけない事実。
あなたは長いことずっとそこにいて、
これからも同じことを同じ要領で着実にこなしながらそこにいる。
あなたが見る景色を私が見ることなど、
生涯ありえない。
例え似たような景色を目の当たりにしたとしても、あなたと全く同じ気持ちにはなれないだろう。
でも私がここでたった一人であるように、
あなたもそこでたった一人なんだろう。
だから、お互いがお互いの存在に気がついた。
一人が嫌だから、あなたはきっと、
私を批判的な目で見るわけでなく、
私に唾をかけるような真似もしない。
侮辱したり嘲ることもない。
だから私もあなたにそういうことをしない。
ずっとずっと、一人で突っ走っても平気だって強がっていたけど、結局私たちは周辺を見回して、誰かに言葉をかけてもらいたくなってしまった。
決して自分の弱さを認めたということではなく、誰かの、誰かとつなぐ手に触れたくなった。
その手に触れた時、
走っていた時にいつの間にできたかすり傷が、癒えていくようだった。
人が一人でいることは、それだけ病的なことなんだと思う。
人は一人でいられると思うのは、危険なこと。
人はみな、必ず誰かと繋がなくてはいけない手を持っているのだから。
だから、私はこの手を、あなたの手から離さないでいたい。




