『裏写真部』
沢山の生徒が校舎へと入っていく中。
俺、北野春也は、ある人物を待っていた。
「遅ぇなー…入学早々、遅刻かアイツは?」
「ハルー!悪い、待たせた!」
「遅いぞ悠斗。今日は何だ、また寝坊か?」
「さすがハル、よくわかってるねー!すごいすごい。」
ゴメンね、と口では謝りながらも全く反省の色がないコイツは俺の親友、新垣悠斗。
昔からの幼馴染であり、そして…
「わぁっ!悠斗君!悠斗君も銀陽高校だったんだ。」
「ウソ、凄い嬉しい!高校でも悠斗君が見られるなんて!」
やたら、モテる。
まぁ、顔良し性格良し、頭も良ければ運動も出来る。
…モテない男子の敵、とはこういう奴のことを言うんだろうな。
「チッ、悠斗はいいよな。やたら女子にモテやがって。それに比べて俺は…」
「あぁ、ハルは去年のバレンタインのチョコ、1つも貰えなかったんだっけ。」
「言うなっ!…でもお前、モテるくせに彼女はいないよな。」
「だって、女の子って色々面倒臭いじゃん。彼女に時間費やすくらいならハルと遊んでた方が楽しいもん」
「…お前ってそういう奴だよな…」
色々勿体無い奴だぜ。
まぁそんなことはどうでもいい、例の話だ。
「なぁ悠斗、お前は例の部活、入るのか?」
「ハルは入るんでしょ?だったら入るよ。まぁ、僕にはあまり興味のない内容だけど」
「はぁ!?お前、本当に男子か!?あの部活に興味ないなんて…むぐっ!?」
「しーっ!声が大きいよハルっ、女子にバレたらどうするのさ」
「あっ…そうだったな、悪い」
銀陽高校。一見普通の学校に見えるが、1つ、ある秘密があった。
それは女子に知られてはならない。例え高校の教師であってもだ。
男子しか知らない、いや知ってはならない秘密。それは…
―『裏写真部』の存在であった。
裏写真部とは、この銀陽高校に代々から受け継がれている男子のみ入部可能な部活である。
そして、女子や教師には絶対に知られてはならない。何故なら…
○活動内容
・女子を撮る(盗撮)
・美人教師を撮る(盗撮)
・男子が見て喜びそうな瞬間に出くわした時、即記録に残す(盗撮)
などだ。
因みに、裏写真部は正式な部活として認められていない。
だから『裏』なのだ。そこ、くだらないとか言わないでほしい。
この高校に入るため、俺は中学3年からの1年間、全てを勉強に捧げた。
勿論、この部活のためである。
最初、誰もが皆口をそろえて絶望的だと言った(それだけ俺の成績が悪かったのだ)。
しかし、俺は諦めなかった。
何せ、俺には悠斗という強い味方がいたからな!
「高校?ハルが行くところに行くー」
「本当か悠斗!?じゃあ俺に勉強を教えてくれ、銀陽高校に行きたいんだ!」
「銀陽高校?随分難関なところだね…」
「だからこそお前の力が必要なんだっ!頼む、悠斗。」
「まっ、ハルが珍しく勉強しようとしてていい機会だし。僕も断る理由もないしね。頼まれてあげるよ」
「本当か!?ありがとう悠斗、俺の親友ー!」
こうして俺の地獄の日々は幕を開けたのだった…
もう思い出したくもないがな、色々と。