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アリソラ 〜ARIASの宇宙(そら)〜  作者: 夏川四季
新章 第四部 『結』
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第7話 轟け46センチ砲 ~ ⅲ ~

どうも皆様、1ヶ月ぶりです。

夏川、まだ死んではおりませんよ~

では、本編へどうぞ!

「要求まで後10分か・・・・・・。それでは、これより作戦を開始します。ソナー展開」

『了解! パーティクルアクティブソナー。展開ッ!』

 大海の声に応じて、銀河の側面のハッチが開いて、その中から、折りたたまれた棒状のアンテナが展開していく。

 いつの間にくみ上げたのかと思えるほどの仕事の速さだ。完全展開まで、約30秒。初回起動にしてはやけに早い。

『展開終了。これより銀河は停船状態に入る。ソナー発動のため、非常電源に切り替え』

 微速ながらも進んでいた銀河が完全停止し、外からいて見ていても艦内の明かりが薄暗くなるのが分かる。

『粒子出力90。ソナー、てッ!!』

 銀河の両側面から出てきたアンテナが青い光を放った。それと同時に、緋龍のレーダーがジャミングを受けたようにノイズが入る。

 なるほど、だから敵に気づかれるわけか。

『見つけたぞ!』

 緋龍のレーダーにもリアルタイムで敵の潜宙艦の情報がアップロードされていく。

「各自、指定された目標に向かって自由射撃ッ!」

 姫川の声に合わせて、俺も操縦桿を引く。レーダーに映された一番近場の船が俺の攻撃目標だ。

「ユリア。しっかり合わせろよ!」

「言われなくても分かってます。マスターこそきちんと操縦してくださいよ」

 一言余計だが、きちんと敵艦をロックしている。

「その無駄にでかいどてっぱらに一発食らわせやるぜ! ファイヤ!!」

 操縦桿の上についているカバーを親指ではじくように開いて、ミサイルの発射スイッチを押す。小さな振動の後、切り離された対艦ミサイルに火がともり、加速を始めた。

 視界では見えない敵に向かって、ミサイルが加速し続ける。そして、見えない壁に衝突したミサイルが派手な爆炎をあげた。

 爆発が爆発を誘発してしていき、光学迷彩で隠れていた船体があらわとなるが、それもつかの間のうちに炎の海の中へと消えていく。

「敵船の撃沈を確認。銀河、そっちはどうだ?」

『敵船を補足。これより艦砲射撃に移ります!』

「よし、撃ち方はじめ!」

『撃ちー方、始めー!!』

 すでに、敵をロックしていた全8門の主砲口から紅蓮に輝く火炎が吐き出される。その火炎に紛れるように8つの砲弾が紅い尾を引きながら飛翔する。

 そして、全弾全てが炸裂して次々と巨大な火柱を上げていく。

「間髪を入れるなッ! バルムンク発射ッ!」

 炎を上げて燃え上がる敵船にダメ押しのように銀河から放たれた対艦ミサイルが直撃し、大爆発を引き起こす。

『こちらも参戦するぞ。 主砲、撃ち方はじめ!』

 無線越しに聞こえた殿下の指令の後、何本もの青白い光の線が俺たちの宙域を横切るように光速で通過する。流石は41センチのレーザー砲。

 あれほどの長距離から放たれているというのに、全く威力が落ちていない。隠れている潜宙艦を貫く程のレーザー砲になすすべも無く潜宙艦は派手な爆発を起こす。

 宙域のあちらこちらで爆発を起こす敵艦を見て、俺は作戦が成功したと思っていた。だが。

『敵が多すぎる! 後、4隻もいやがった!!』

 恐ろしいことに俺たちが一度に攻撃できる最大数11隻を超える15隻がこの宙域にいたのだ。

『敵艦から飛翔物体! み、ミサイルですッ!』

 イーシスとは別にレーダーを見ていた少女がヒステリックな声を上げて叫ぶ。俺の背中を冷たい何かが走り抜けていくのが分かる。長門のレーザー砲が次のレーザーを撃つ前にミサイルを放つとは。

「マズイ!」

機体を敵艦に向けるが、ここからは距離がありすぎる。このままでは、放たれたミサイルがコロニーに降り注ぐことになるぞ!

『まだだッ! 刀夜とインフィティ。今すぐエンジンを止めて、メイン電源を落とせッ! 10秒以内だ!』

 大海の指示通り、俺は直ぐに電源を落とす。慣性制御を失った機内で自分がフワッと浮き上がるような感覚を覚えた。

『全エネルギー回路をソナーへ接続! システム、索敵モードから攻撃モードへ移行。撃てッ!』

 無線の向こう側で大海が叫んだ後だった。

 メイン電源がロストした状態でも動いている粒子観測器から送られてきた情報を映し出すモニターに信じられない速さで迫ってくる濃い粒子の波のようなものが映し出される。

 そして、その波が緋龍に到達したときだった。空気の無い宇宙空間で、まるで風にあおられたかのように機体がグラつくが、それを俺はなんとか手動で立て直す。

 この機体がフルマニュアルで助かった。もしも、この機体がセミマニュアルだったら、枯葉のように宇宙を舞う形になっていただろう。

 操縦のほとんどをメインコンピューターに依存するセミマニュアルは、電源をロストした状況では、操縦が利きにくいからな。

「な、なによコレッ!」

『ソナーから放つ粒子を圧縮増大させて放ったたんだ! コレを食らうと――』

 大海が言い終わる前に、明後日の方向へと向きを変えたミサイルが爆発する。

「意図的に農粒子状態を作ったのか」

『そういうことだ。予期せぬ農粒子は、コンピューターが制御する前にエンジンを焼け切らすからな。つまり、粒子版ジャミングだ』

「どうやら、敵の潜宙艦にも結構なダメージを与えられたみたいだな」

光学迷彩が剥がれて船体が丸見えとなった潜宙艦3隻が動くこともできず宇宙空間を漂っているのが見える。

『ああ。だが、コレは実験段階でな。銀河のメイン電源も落とす羽目になるから、再起動に5分ほどかかっちまう諸刃の剣だ。始めからこいつを使わなかったのはこのためだ』

『なるほど。では、残党狩りは長門に任せてるがよい』

 再度、長門から放たれたレーザーで残りの潜宙艦も吹き飛ぶ。

「これにて、一見落着か」

「ぎりぎりだったわね・・・・・・」

「ああ、こんなのはこれっきりにして欲しいぜ」

 命がいくつあっても足りないからな。こんな危ない橋を何本も渡っていたらな・・・・・・。

「その、私のことが原因で――」

「姫川。そいつは違うぞ。もし、家族が危険な目にあっていると知って知らん振りするやつはいないだろ? それと同じだよ。さっき言っただろ? お前の運命をぶち抜けって。ぶち抜いてやったじゃないか」

『へっ。くさいこと言うんじゃねぇよ。刀夜』

「悪かったな。くさいセリフで」

『帰艦を待ってるぜ。姫川艦長』『早く帰ってこないと大海君がうるさいので』『ははは。そうだねぇ~』

 大海にイーシス、鹿嵐まで。やっぱり皆考えてることは同じか。

「みんな・・・・・・」

 姫川が声を押し殺してはいるが、泣いているのに気づいたが、俺は何も言わず操縦桿を握り締めた。 

 だってこういうのって、本人にしてみれば、いれしいけどものすごく恥ずかしいものだろ?だから、俺は機首を銀河のほうへ向け、こう言った。

「緋龍。これより、銀河に帰艦する」


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