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アリソラ 〜ARIASの宇宙(そら)〜  作者: 夏川四季
新章 第三部 『転』
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第6話 漆黒の戦闘機 壱

どうも皆様、長らくお待たせしました。


テストも終わりましてのでじゃんじゃんUPしていこうと思いますのでよろしくお願いします!!


では、本編へどうぞ!

翌朝。緊急の修理を済ませた銀河は、火星宙域に浮かぶコロニー。第6コロニーまでやってきていた。

 長い円筒形の人工物(生命維持装置やエネルギー生産区画)の周りに巨大な環状の居住区が3つ。全長10キロほどの中型のコロニーだ。

 アパート、学校、病院、遊園地に至るまで普通に地球と変わらない生活環境の全てが揃っている。

 人の生活に必要なエネルギーは、ソーラーパネルと核融合炉によってまかなわれており、半永久的に人々が快適に住める環境をコンピュータ制御で作り出している。

 そんな第6コロニーの宇宙港は、コロニー中心部の円筒形の建造物のちょうど底の部分港の入口がある。

 400メートルを超える大型輸送船をも停泊できる大きな港で、常に様々な国の船舶が港を出入りしている。

 港から出てきた小型の宙域警備艦とすれ違った銀河は低速で港の内に入っていく。

「艦長、誘導ビーコン届きました」

 モニターを見ていたイーシスがそう口を開いた。

どうやら、宇宙港の管制局から宇宙船自動誘導用のビーコンが届いたらしい。しかし、イーシスの仕事の手際の良さに正直感嘆を覚える。

「うん。前進微速。そのまま、修理ドッグに行きましょう」

「了解。誘導ビーコンに乗せます」

 鹿嵐の操縦から、自動操縦に切り替わった銀河は、コロニーのドッグ入口に向かって低速度で侵入して行く。これでやっと変な不安に襲われることなく地球への帰路へ付くことができる。

 港に接岸した銀河に、宇宙港の整備員たちが我先にと工具を手に持ち修理に取り掛かる。

「とりあえず、艦橋クルーはここで解散よ。連絡は追って連絡するから、携帯端末を気にかけて上げてね」

「「了解です!」」

 軽く敬礼した後、クルーたちは艦橋から各々出ていく。

「ようやく修理できるな」

「そうね。これで枕を高くして寝られるわ」

 足を組み直した姫川がふぅと一息つくのも頷ける。実際、姫川以外のクルーも大きく息を吸い込んで安堵の表情を浮かべている。

張り詰めた緊張から解き放たれたことから、疲れが全身に回ってきたのだろう。幸い。修理に1、2日を要するため、クルーの休暇に必要な日数を取れるだろう。

「長官も今晩には帰ってきてくれるらしいから、今後のことも相談できるわ」

「そうか。なら安心だな。そう言えば、例の潜宙艦の件は何か分かったことは?」

「面白い情報を1つ手に入れたわ」

「面白い情報?」

 疑問符を浮かべている俺に姫川が1枚の写真を手渡した。そこには、特徴的な葉巻型の宇宙船が写されている。

「これは……」

「昨日見た潜宙艦にそっくりでしょ?」

 写真に写っている宇宙船は昨日俺たちを襲撃してきたあの宇宙船と全く同じ外見をした宇宙船がいくつかコンテナを積み込んでいたのだ。

 その潜宙艦のすぐ横には、アメリカ海軍御用達の汎用宇宙駆逐艦。アーレイバーク級ミサイル駆逐艦が停泊している。

 アーレイバーク級の全長は約180メートルなので、それより少し長いということは、この宇宙船は200メートル弱といったところか。

「アイツ等の尻尾を掴めたのか?」

「イエスと答えたいところだけど、答えはノーよ。この宇宙船は、2165年代に建造された初期の宇宙輸送船なのよ」

「ずいぶん古い船だな」

「ええ。全部で400隻ほど作られた船で、未だにこの船を使っている企業もあるくらい。しかも、民間用に作られた船で中古船として出回っているから、奴らの船を特定するのはまだ無理そうね」

「それは厳しいな」

「そうそう。一応、昨日潜宙艦の撃沈宙域に医療課と技術課を数名派遣したんだけど……」

「遺体を見つけたのか?」

 とっさとは言え、反撃した銀河の対艦ミサイルの直撃で爆発したのだから、あの状況では生存者がいたとは思えない。

 だが、反撃に転じていたなかったら、死んでいた自分たちの方だった。正直、あの状況では、撃沈もやむなしだろう。

「それが、全くの逆なのよ。遺体はおろか、生存者も無し。それどころか、人といたような痕跡は一切見つからなかった。衣類や食料も、フォーク1本すら見つからなかったわ」

「それじゃ、あの船は無人船だったということか?」

「恐らく。あんなモノが無人兵器だったとは到底思えないけど、現実ではそう判断すしかないわね」

 無人兵器が、この世に無いわけではない。現に、ユーラシア共和国は無人船で構成された第八艦隊と呼ばれるAI艦隊を持っているほどだ。

 だが、その無人艦隊も、半実用半実験艦隊といった形で、現在進行形で開発が進められている未開拓な技術。

 人を超える人工知能の技術、未だ人類は作ることはできていないのが現実なのだ。

「4大国家軍事力でさえ到達していない技術とは思えない、ということは――」

「遠隔操作だろうな」

 俺たちの会話に入ってきた女性の声に俺と姫川は同時に振り向いた。

「アズ姉! それに大海! 来ていたのか?」

「銀河が壊れたとなったら、オレの出番だからな。ちょっくら、火星からひっと飛びしてきたとこだ」

 そう言って親指を立てた大海の横で、フィンガーグローブを外しながら、アズ姉が艦橋内を見渡した。

「皆に大きなケガがなくてなによりだ。さて、話を戻すが、刀夜たちが遭遇したその宇宙船が無人だったとしたら、遠隔操作だと考えるのが妥当な線だろう」

「あれほど大きな船を遠隔操作ですか?」

 操縦席で計器をチェックしていた鹿嵐がそう言って首をかしげた。

「君が首をかしげるのもうなずける。航空機ほど軽量なものなら、遠隔操作の技術はずいぶん昔に確立されているからな」

「はい。しかし、200メートル級の船舶で、しかも武装付きとなると今まで例がありません」

 鹿嵐が言うようにそんな巨大な遠隔操作の宇宙船は聞いたことがない。

「超高速通信さえあれば、かなり距離が離れていても、ほぼタイムラグなしで動かせるからな。まるでゲームでもやっているようなもんだ」

「末恐ろしい世の中ね……」

「だが、通信で動いているという推論が正しければ、対抗策はある」

 そう言って大海はニヤリと微笑んだ。


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