第24話 『防戦』
「正体不明の艦隊まで、距離3000。なお、粒子噴射ノズルの破損で現在の銀河はダイブができない状況です」
「相手は圧倒的な数。しかも、こちらは満身創痍」
艦長席に置かれていた艦長帽を被り、席に深く腰掛ける。現在、銀河が迎えている状況は生存不可能とも思える。
不幸中の幸いだったのは、通商船は目的地の木星に到着したことだった。つまり、今の銀河は自分の守りさえ考えればいい。
シミュレーションで戦ってきた自分には分かる。例え、防戦一方に徹して逃げる瞬間を伺っても逃げきれる確率が極めて低いということを。
「艦長は図太くあれ。そして、逆境の時こそ笑を忘れるな」
いつの間にかに私の横に立っていた長官はニッコリと微笑んでいた。そうか、艦を指揮する艦長が自信のない顔していたら、その命令に従わなくてはならないクルーに余計な心配を与えてしまう。
「艦隊までの距離2800! 銀河の有効射程距離です。艦長どうしますか?」
「相手が撃ってこない限り、こちらに攻撃は出来ないわ。しかも、、相手が有人船なら……」
『その心配はない』
「と、刀夜?」
通信機越しに聞こえてきたのはさっきまでお私をいいようにからかった少年。
『おそらく、敵は第七無人艦隊の生き残りだ。米軍の最新鋭戦艦アリゾナが破壊されたことは知っているな』
「ええ」
『少し気になることがあって今そのアリゾナの残骸についてちょっと調べてみたんだが、アリゾナの頭脳とも言える高性能スーパーコンピュータが丸ごとなくなっていたらしい』
「まさか、そのスパコンを使って……」
無人艦隊には、艦隊行動の中核を担うマザーコンピュータというものが装備されている。つまり、マザーコンピュータ次第で無人艦隊の戦闘能力は飛躍的に上昇するだろう。
一般的にユーラシアはそういった頭脳を研究するより、物量作戦に戦争が昔から馴染みが強く。第七無人艦隊等のマザーコンピュータは最新鋭のモノに比べて、かなり遅れをとっている。
『向こうは、かなり数で押し寄せてきてはいるが、その大元さえ叩けば、なんとかなる』
「となると、空母、戦艦が怪しいわね」
『ここからはお前に任せる。またなにかわかったことがあれば連絡する』
そう言って刀夜は通信を切った
「砲雷課、第1、第2主砲に壱式徹甲弾装填。鹿嵐君、面舵いっぱい」
「了解! 面舵いっぱい!」
「艦隊中央に高エネルギー反応! レーザー砲きます!」
大丈夫、距離は随分とっている。初弾からレーザー砲を当ててくるにはかなりの技術力問われる。
予想通り、青白いレーザーは銀河に当たりはしなかったものの、掠めるほどの近距離を通過する。相手の陣形は駆逐艦を三角形に配置させた、広範囲の陣形をとっている。おそらくその後ろに戦艦やら重巡がいるはずだ。
さっきのレーザー砲は駆逐艦のものにしてはかなり大きかった。ということは駆逐艦のレーザー攻撃が始まる前に銀河が先に攻撃を仕掛けれなければ圧倒的に不利になる。
「主砲! 艦隊先頭の駆逐艦に照準を合わせッ!」
「レーダー射撃システム、オンライン。駆逐艦捉えました」
「撃ち方始め!!」
爆音を響かせて、主砲の咆哮が響き渡る。4発の主砲弾は赤い炎の尾を引きながら駆逐艦に激突する。
装甲にめり込んだ徹甲が爆発。巨大な爆炎を上げて吹き飛んだ駆逐艦の破片で、あとに続いていた駆逐艦が誘爆を呼ぶ。
「次弾装填急いで! 対艦ミサイル発射!」
間髪を入れず、銀河のVLSからミサイルが飛び出す。次々とやって来る艦隊に対して、銀河に休む暇などない。
そして、敵とて黙ってやられはしない。駆逐艦から無数の魚雷が放たれ、飢えたサメのように獲物に向かって一直線に突っ込んでくる。
「左舷から魚雷接近! 数20!」
「左舷副砲及び機銃で応戦!」
銀河の両舷に取り付けられた20センチ単装砲に込められているのは、弐式拡散弾が次々に撃ち出される。ある程度のところまで飛んだら、砲弾内に込められた無数の爆弾が飛び出し、銀河の左側に爆弾の弾幕を展開する。
その爆弾群にぶつかった魚雷が次々に誘爆を起こす。
爆弾の弾幕を超えた魚雷には、ハリネズミのようにたくさん取り付けられた機銃が鉛の雨を魚雷に浴びせさせる。
「魚雷、全弾迎撃! 艦隊との距離2300」
「航空機全機発艦。 2手に分かれて挟撃せよ」
「第1、第2主砲、主砲弾装填完了ッ!」
「第2射放て!」
ありったけの火器を投入して、銀河は撃ちまくる。しかし、相手の圧倒的な多さに徐々に押されていく。
敵駆逐艦から放たられたレーザー砲の1つが銀河に直撃して爆炎を上げる。
「第4主砲被弾!」
「ダメージコントロール。消火を急いで!」
「艦長ッ! 敵巡洋艦に巨大エネルギー発生中!」
「チッ! 取舵30!」
今の銀河は敵に無防備な船体中央を晒していた。ダメもとで取舵を取るが間に合うかどうか怪しい。
ここまでか。そう思った時だった。艦橋内が青白い光に包まれる。青白い光、それは戦艦級の主砲が持つ、一撃必殺の武器。
その光が、艦橋の前に広がった。
姫川の発艦命令で次々に航空機が出ていく。それ続いて俺の飛龍も宇宙空間へ飛び出す。
戦況は明らかに相手に有利な状況に傾いている。既に、第4主砲には命中弾が出ており、黒煙を上げている。
まだ死亡者や重傷者が出ていないのが幸いだが、いつ出ておかしくない状況に追いやられていた。
皆が半分諦めかけていた時だった。艦隊とは反対方向の宇宙空間で青白い光が放たれる。巨大な青白い光の線が、銀河のすぐそばを通過し、銀河へ艦砲射撃をしている重巡にブチ当たった。
まるで、紙を焼き切るかのようにいとも簡単にレーザーが重巡の装甲を貫通する。遥か彼方から敵を仕留めるあのアウトレンジのレーザー砲、そして、初弾かきっちり当ててくる技術力。
それは俺たちが待っていた存在だった。
『皆様。お待たせしてすいません。連合艦隊が助太刀いたします』
皇国の守護神が率いる皇国の最強艦隊の登場だった。更に、別の方向からはユリアが呼んだユーラシアの正規海軍の艦隊が救援に駆けつける。
「よし、一気に戦線を押し戻すぞ!」
俺の号令とともに、銀河航空課所属の戦闘機15機による対艦ミサイル攻撃が散り散りに攻撃してくる駆逐艦めがけて炸裂した。
長門を筆頭に連合艦隊の精密射撃により40隻もいた駆逐艦や軽巡は、ほぼゼロになっていた。
そして、駆逐艦の陰に隠れていた戦艦センチュリオンの姿が顕になる。
よし、あれさえやればかなり楽になる。ほそぼそと見えていた希望の光が大きなものになっている。
「マスター! 8時の方向に巨大ミサイル発見!」
「何ッ!? 姫川、銀河にミサイル接近中。9時の方向から3発、距離1900」
『了解! 迎撃ミサイル発射!』
「潜宙艦だな! こんな時に面倒な今年やがって」
『刀夜、センチュリオンは私たちにお任せ下さい。銀河の護衛を』
「お願いします。殿下!」
俺は、直ぐに緋龍を反転させて、ミサイルの飛んできた方向に機首を向ける。相手は、1撃離脱作戦を得意とするやつだ。
このまま放おっていたら厄介なことになる。焦る気持ちを抑え、最大出力で緋龍を加速させた。
どうも皆様、夏川です。
アリアスをここまで読んでくださった皆様ならお分かりかもしてませんが、ここに来ての尻つぼみすぎるストーリー展開になってきました。
皆様には、夏川の書きたかったアリソラをお伝えできていなく、非常に残念に思っています。
特に、公募としては、専門用語はなるべくわかりやすくしていきたいですし、ストーリにもう少し綺麗さが欲しいところです。
直ぐに、文の大改稿をしたいですが、まずは10月の完結を予定してます。
完結後は、納得のいくストーリーに路線を変更、自分の出し切れる全てを使って改稿するつもりです。
おそらく、このアリソラがここに戻ってきたときは、コレ誰?
少しでも、皆様に楽しんでいただける小説なればと考えた結果、こういったことで皆様にご迷惑をお掛けするとおいますが、よろしくお願いします。
状態なほど、小説が変わっている可能性があります 汗
さて、反省と謝罪はアリソラが終わってからにするとして、改稿した作品を、公募に投稿する前にこのサイトに1度upすべきか否かで悩んでおります。
短期間公開でも読みたいという方がいましたら、ぜひコメント等を書いていただけるとうれしいです。