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アリソラ 〜ARIASの宇宙(そら)〜  作者: 夏川四季
第3章 すれ違う想い
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第18話 『現れた白き巨体』

非常に誤字脱字が多い作品になっているのでスイマセン 汗


気付き次第、直していきたいのですが、最終的に応募するときに改稿するかもしれませんので、よろしくお願いします


緋龍のステレス性能はいい仕事をしてくれていた。長門の高性能レーダーでさえ緋龍を捉えきれていないとは想像以上だった。


「後少しで、最大視認距離に入ります」


「これからが本番ってやつか……。ユリア、何らかのクションがあるかもしれなから頼むぞ」


 機体をゆるやかに右に傾けて、相手との距離を気をつけながら、高度を上昇させていく。宇宙船の武装の緩い上から侵入するのが得策だと判断したからだ。


 といっても、これほどの高速で移動する物体を敵さんが見逃すわけがない。ユリアにも言ったが、何らかの行動に出るはず。


「ユリア、船籍の特定はできそうか?」


「ただいま検索中です……。あ、ありました。米軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦です」


「米軍だって?」


 俺は、ユリアが転送してきた画像は見ずに、風防越しにジッと遥か彼方を航行する宇宙船を見つめる。


もちろん普通の視力なら、まず、そこに船があるなんてわからないだろう。


「ハッキリ見えるわけじゃないが、何もアクションがないなんて不気味だな……」


 なぜ、アメリカの軍艦がこのようなところにいるのか分からないが、先制攻撃を受ける心配はなさそうだ。隠密行動のために封鎖していた無線を開放し、長門へ通信を送る。


長門からの返信でそれ以上の偵察は不要だと分かったため、機体をUターンさせて長門へと向きを変える。


最大視認距離とはいえ、ここまで近づいてきた航空機に対して通信すらよこしてこない駆逐艦から発せられるなんとも言えない嫌な空気を後ろに感じながら緋龍を飛ばしていく。


「マスターはあの駆逐艦をどう思われました」


 無言の圧力を払いのけるように呟いたユリアの声は、機械のはずなのに恐怖心で震える少女のようだった。


「一言で言えば、何考えてるのか分からない船……だな。威嚇射撃はおろか、通信すら来ないのは異常だ」


宇宙空間を航行するにおいて、駆逐艦は目と呼ばれることがある。艦隊を組んで動くときに駆逐艦で円陣形をとるのは、駆逐艦の索敵能力が高いからだ。


「見落としたというよりは、意図的に無視したといった感じでしたね」


「ナメてるのか、あるいは、俺達ではないものを探しているか――」


 そう言いかけた俺だったが、ガバっと左側の空間に首を向ける。


「マスター?」


「……ユリア、9時の方向に何か異常はあるか?」


 ジッと何もない空間を睨めつけながら俺は冷静にユリアに問う。微かにだが、俺の右目が、違和感を覚えたのだ。


「9時の方向には何も――っつ! きょ、強力な重力反応!! 何かがダイブアウトしてきます!」

 ユリアが重力反応を察知したのとほぼ同時に、俺の右目もハッキリとそれを捉えた。考えるより先に、手足が動いて緊急回避行動に移る。


「ありえない、この大きさは戦艦クラスです!!」


 祈るような思いで、操縦桿を倒し、フットレバーを思いいっきり踏む。右下に向かって回避していく緋龍。


 通常の戦闘機は高い機動性を持っているが、緋龍ほど耐G処理が高くないため、急激な回避行動は熟練のパイロットでも厳しいものがある。


 その点、試験的にだが高い耐G処理を持つ緋龍は、人間離れの回避行動に何事も無く対応していく。


 さっきまで俺がいた空間が飴細工みたいにグニャリと歪む。巨大な歪みの中から顔を出した白色の船体。


尖った船首に、60年台の戦艦に見られる特徴的な背の低い艦橋。そして、白い船体を横切る何本もの赤いライン。


「な、なんなんですかこれは。マスター、これは何処の国のリストにも載ってない船です!」


「いや……センチュリオンだ」


 巨大な光学カメラ塔などの旧式の索敵機械が取り外されて新型のものに変わっているが、船体の形はほぼ同じ。


 所々違うところはあるが、大海が作っていたプラモデルとほぼ同じ形の船が、俺達の目の前に現れたのだ。


「で、でかい……」


 目測だから詳しくは分からないが、400メートル近くありそうだ。全長381メートルの長門と比べても、一回りは大きそうだ。


 更に驚いたのが、センチュリオンの甲板に載せられている主砲。長門の41センチレーザー砲とそっくりなのだ。


 レーザー砲は開発国によってその形は様々。長門の連装主砲は特にそうだ。あの主砲は明らかに後から付けられたもの。


 背筋を冷たい何かが走ったのが分かる。ここにいてはマズイ。頭の中の警鐘がガンガンと響いている。

 おまけに、銀河から慌てて飛び出てきた緋龍に搭載されている武器は、4基の30mmレーザー機銃のみ、限られたチャフを使いきってしまえばアウトだ。対空ミサイルでも打ち込まれようものなら、とてもじゃないが無事ではいらない。


「ユリア! このまま突っ切って長門まで戻るぞ!」


スロットルレバーを置くまで押しこむ。俺の操作に反応して、緋龍の双発エンジンが高い唸りを上げてパワーを上げる。


弾丸のように急加速した緋龍。後ろから襲ってくるかもしれないミサイルを気にかけたいが、この速度領域でそんな余裕など無い。


捨て身覚悟で俺は前を見ることだけに集中する。だが、緋龍のミサイル接近を知らせる警報は鳴り響かない。


「マスター。相手方は私達には攻撃の意志はないようです」

「なに?」


「どうやら、長門が相手のようです……」


 慌てて振り向いた俺の目に入ってきたのは、甲板の上の主砲がゆっくりと旋回している光景。


 そして、その砲口の遥か彼方先にいるのは皇国の守護神、宇宙戦艦長門。


「長門と砲撃戦をやるっていうのか?」


 ビックセブンの頂点に君臨する長門に喧嘩を売るということは、相当自信があるか、あるいはただの馬鹿だ。


 その答えは限りなく前者に近いだろう。長門と同タイプのレーザー砲、この勝負は先に当てたほうが勝ちとなる。


 長門に搭載されている41cm連装レーザー砲は、他のレーザー砲に対して有効射程距離が非常に長く、アウトレンジ攻撃ができる。


 しかし、最強に思われる41cmレーザー砲にももちろん欠点はある。1つは、発射時に生じる衝撃が激しいこと、特殊な構造と金属で強化し、おまけに主砲の砲撃時に船体を安定させるために船体必然と巨大化する必要がある。


 2つ目に、長距離の目標を狙うと、主砲のレーザーエネルギーの影響で誤差が酷いということ。


長門は20年かけて、長距離の目標に対して射撃時に発生する誤差の修正を正確に行うシステムや射撃員の技術をつちかってきた。


現在このレベルについてこられるのは、アメリカの新型アウトレンジレーザー砲ぐらい。


お世辞にも、ユーラシアの旧式戦艦の技術では、この勝負は明らかに長門に有利に思われる。


 だが、圧倒的に有利な立場にいるはずの長門が心配になってくる不可解な不安が俺の胸を支配していた。


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