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アリソラ 〜ARIASの宇宙(そら)〜  作者: 夏川四季
第3章 すれ違う想い
19/57

第17話 『羽ばたく赤き翼』

どうも、遅れた更新スイマセン 汗


最近アリソラの展開に詰まってしまい遅い更新の上に自分の納得のいかない作品となっております。


納得行くまで改稿するという方法もあったのですが、まずは完結させてから書き上げて開講するという決断をさせて頂きます


皆様にはご迷惑おかけしますがよろしくお願いします!


もしかすれば、アリソラ完結後にこのあたりの大幅改稿があるかもです 汗

長門の艦橋に入ったのは2度目だが、どうもここの空気には馴れそうにない。皇国海軍の旗艦というだけもあり艦橋の人員はその手のエリートばかり。

そんな中に俺に見たいなヒヨッコが入ったら変に目立ってしょうがない。

「銀河の方はどうなっていますか?」

「これは殿下。はい、未だ銀河に動きはありません。しかし、向こうのレーダーも本艦を捉えたでしょうから何かしらのアクションがあるかと」

 190センチもある男性がこちらに歩み寄ってきて殿下に深々と一礼するとそう口を開いた。

 彼はこの長門の艦長、東雲大志郎(しののめだいじろう)大佐。先の大戦でも長門を率いて多くの勲章を立てた名艦長だ。

 大きな身体から想像される大胆さと緻密に計算された作戦から東雲大佐を支持する軍人は多い。

「おお、ボウズも来ていたか。大変だったみたいだが、よく逃げ切れたな」

 東雲大佐は俺を見てゆっくりと頷いた。

「最新機のお陰とたまたま運が良かっただけですよ」

「運も実力のうちというものだ。特にボウズは局面での大一番に勝てる運を持っとると俺は思ってるんだがな」

「私も東雲と同じ意見ですよ」

 殿下はそう言って少女のような笑顔で俺を褒めた。

「いえいえ」

 この2人はどうも俺を過剰評価しすぎているように思える。悪くはないのだが、こうむず痒いものがある。

「しかし、この時期になぜ大手企業が強攻策に出たのが気になるところではありますな」

「何かしら裏があるのかもしれませんね。引き続き監視をよろしくお願いしますね」

 一回り艦橋内を回ったあと、俺と殿下は第1艦橋を去ることにした。巨大な船の中は歩いても移動できるのだが、主要な廊下のほとんどが、動く歩道、ムービングウォークとなっている。

「殿下。銀河が2度も襲われたのは、ハイゼル氏が絡んでいるからなんでしょうか? だったら、ハイゼル氏の裏にはユーラシ海軍がいるということになりますよね」

「そうですね。最悪、皇国とユーラシアの戦争に勃発しかねません」

「また、本土決戦のような地獄を味わうことには……」

「心配しなくても大丈夫ですよ。2度とあのような凄惨な光景を我が国で起きる事態はなんとしても避けます。姉様は誰よりもこの国をこの国の皆さんを愛していまから」

「そうですよね」

「しかし、ユーラシアとルーゼル重工業のタッグは皇国海軍としても恐ろしいのですよ。現在は比較的親密な関係を持つ米国やヨーロッパ諸国ですら、ルーゼル重工業にある程度加担している部分がります。もしも、皇国の味方をすれば今後一切商品を売らないとルーゼルが宣言してしまえば、皇国は孤立した状況下、文字通り世界全てを敵に回した状況下になるのです」

 その心配気な瞳を宙へ向けた殿下の背中には、国の重圧や権力者たるものの責任の重さであふれているように見えた。

 俺自身、なぜか落ち着かない変な気分にかられたまま殿下のいた和室まで戻ってくることとなった。

「おかえりなさいませ殿下」

 扉を開けたメイドの榛名さんが深々と一礼する。

「今戻りました。なにか変わったことはありましたか?」

「はい、たった今6時の方向、400キロの距離を維持したまま本艦についてくる船舶を発見したとの情報が……」

「長門の最大射程より少し外側にいるということですか。艦長に電話を繋いでくれますか?」

「かしこまりました」

 軽くお辞儀をした榛名さんは瞬時にモニター付きの電話を殿下の前に用意して第1艦橋に繋ぐ。

「はい、東雲です」

「不審船の件は先程榛名から聞きました。艦長はこれをどう思いますか?

「そうですな。偵察機を飛ばしてまずは状況を確認したいものですな」

「偵察機ですか……。分かりました。許可いたします」

 少し悩んだ殿下だったが、相手が誰だか分からない以上早めの対策が必要と思ったのか偵察任務の許可を下ろした。

「あの、今回の偵察任務、俺にやらさせていただけないでしょうか?」

「ボウズが偵察任務か……」

「ダメ、でしょうか?」

「いや、ここはボウズに任せてみるか。実はな現在の長門に配備されている航空機は隠密行動には向いておらんのだ。その点、ボウズが乗る緋龍ならステルス性で右に出る機体はそうおらんはず、ここは1つ任せて良いか?」

「もちろんです!」

 俺はモニターに向かって敬礼する。俺の性格上船の中でじっとしていられる事はできなかった。

 1秒でもボーっとしていたら、余計なことを考えてしまいそうな状況だったから。

「刀夜。くれぐれも、気をつけてくださいね」

「了解いたしました!」

 殿下に敬礼をして、俺は部屋を飛び出た。長い廊下を納庫へ向かって走る。

 格納庫内には幾つも戦闘機がある。その間を縫うように走って、緋龍の元に駆け寄る。

「ミラちゃん! 緋龍の出撃準備はできてる?」

「刀夜さん! 今終わったところです!!」

「よし!」

 緋龍に飛び乗ると、すぐにユリアをセットする。

「ユリア、行けそうか?」

「機体に異常なし。アプデート完了。マスターいつでもどうぞ」

「OK。こちら緋龍。発艦の許可をお願いします」

『こちら航空管制室。緋龍の発艦を許可する。 第2カタパルトより発艦せよ』

 緋龍が乗っているターンテーブルが周り、そのまま緋龍を第2カタパルトに接続させる。

『当宙域の明度170。障害物なし。隔壁作動。発射装置、圧力上昇中』

「ユリア……」

「どうかしましたかマスター? 何か引っかかることでも?」

「銀河から発艦した時、まさかあんな戦闘になるとは思っていなかった。今回も同じだ。敵には空間に潜り込むチートみたいな宇宙船がいる。監視を緩めるなよ」

「マスターも、決して操縦に不安を持ってはいけませんよ」

「ああ、ありがとう」

『最終シークエンスの確認。カタパルトのコントロールを緋龍へ』

「コントロール受理。緋龍発艦します」

 ボタンを押すと、緋龍は弾丸のように宇宙空間に放り出された。操縦桿を微妙に動かして機体の姿勢を整える。

「それじゃ行くとしますか」

 スロットルレバーを押し込むと、最大速度で目標物に迫っていく。

「マスター、今のところは怪しいものはありません。緋龍のステルス性も保てています」

「レーダーには映らないが、問題は問題は視認可能距離になった時だ。おそらく敵だとしたらありったけの攻撃をしてくるだろうな」

「試作機とはいえど緋龍の性能は未知数なんですよね。システムを把握している私でさえ、どこまでが大丈夫で、どこからがデットラインなのか分からないんですよ」

「まぁ、それが試作機ってもんだからな。俺の命はユリア、お前に任せる」

「マスター……。分かりました。任せてください!」

 超高速で緋龍は飛行していく。まるで1つの流れ星のようにその機体は宇宙を駆けていく。

「頼みの綱はお前の性能だ」

 俺は操縦桿を握りながらそう呟いた。


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