第8話「繋がった命」
女戦士は、ケン達が生きる希望を絶やさず逃げた先を見つめる。
「彼らは、上手く逃げたのであろうか…」
ケン達は、僅かな可能性を信じ女戦士に授けられた得たいの知れない何かに力をもらいながら走る、走り続ける。
なぜか、城壁の上には魔物達がいない。
あの死地とは、真逆の静けさ。耳には、城壁の下からであろうか悲鳴が今もなお響き続けている。
「クマさん、僕たちは助かったんですか?」
ケンは、クマノスケに疑問を投げつけた。
「どうだろうな…分からん…あの女騎士も味方なのかも分からんしな!だが、俺たちに生き残る道を導いてくれた!俺は、そこだけを信じる。助かったかどうかはこれからの出来事次第だ!油断するなよ!お前ら!」
クマノスケのこの言葉は、4人の心を震わせた。
「クマさんッ!良いこと言うじゃないっすか!!そうすっよね、まだ俺たちは助かったか何て分からない!油断大敵ってことっすね!なぁ、ジュリ?」
「そうだな!シンジ!」
クマノスケは、鼻の下を指で擦りながら言う。
「やめろ!お前ら褒めるな!!」
「ぷふッ」
「おい!誰だ笑ったやつわ!」
ユリの体力も戻ってきたらしい。クマノスケに対する唯一の突っ込み担当。本領発揮とまではまだいかないが確実に良い方向へいっている。
ケンは、緊張が抜けていく気がした。5人で生き残ると誓ったあの時からさほど時間は経ってはいない。しかし、多くの者達が目の前で消えていき、魔物と呼ばれる非現実的な事象が現実に。その時間は、何時間もの体感であったのは確かだった。
「イチノセさん、元気になってきて良かったです!」
「あ、ありがとうございます!本当に私は役立たずで…迷惑ばかりで、、」
「気にしなくて良いんですよ!皆、仲間ですから!クマさんがいれば大丈夫ですよ!!」
ケンは、絶対的信頼を持ったクマノスケを指差しユリを励ます。
「おいーー!少年ケンさん!俺らもいますよーーー」
シンジがケンへ釘を刺す。
「勿論!シンジさんもジュリさんも!」
「おい!おまけですか!俺たちは!」
ジュリがツッコむ。
「イチノセさん、俺たちも頼りにしてくれてるよね?え?」
シンジがユリに質問する。
「はい!勿論!お二人の関係性に勇気を貰ってますよ!」
口角が上がったユリの笑みはなんと表現したら良いのだろうか、まるで女神のような美しさだった。
「いやゃーそれ程でもあるかなーー!ワハハハッ!ッテ!いてッ!ちょっとクマさんいきなり止まらないでくださいよ!!」
ユリの笑みに見惚れてしまったシンジがクマノスケに、ぶつかる。いや、正確にはクマノスケを先頭に走っていた5人だがクマノスケが急に止まりぶつかった。
クマノスケの眉間は、とても険しい。
「おい…またかよ…油断するなよって言葉が本当になっちまったな…」
クマノスケの体勢は、グラベンテと対峙したあの時と同じだ。その姿を見て4人は気付く。今また、自分達に命の危険が迫っていることを。
助かったかどうかは分からない油断するなよ!
その言葉がクマノスケの言うように現実となる。
「お前ら!気を引き締めろ!一度は!いや、二度繋がった命だ!みすみす捨てるなよ!!いいな!」
「ニンゲン、、オマエラニンゲン、、グラベンテサマ、、シンダ、、アノミニクイ、マテイノシモベニ、、、」
5人の前に現れたのは、人間の言葉を理解したゴブリンだ。
「グラベンテサマイナイ、、イマオレガイチバン、、イチバン、、ホメラレル、、イチバン、、ツヨイ、、オマエラ、コロシタラ、、サラニエライ、、コロス、、」
「なんだこいつ!さっきまでのゴブリンと違うぞ!」




