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あなたが愛しすぎて  作者: m.
34/34

家族

そして数週間後。










「緊張…するな」










「そんな緊張しなくて大丈夫だよ…!おばあちゃん優しいから…!」










直人さんと共に、私の実家に来ていた。












ガラガラガラ











「おばあちゃんただいまー!」











「あら、おかえりなさい…!」











「お邪魔します…紗和さんとお付き合いしております、佐々木直人と申します。あのこれ…」










そう言うと直人さんがおばあちゃんに手土産を渡す。









「あらあら、わざわざごめんなさいね…ありがとうねぇ…どうぞ上がって…!」











私達は居間に移動し座る。











「ちょっとまっててね…!」











「あ、おばあちゃん私やるよ…?」











「紗和は座ってなさい…!わたしやるから大丈夫よ…!」









「じゃあ一緒に準備する…!」










おばあちゃんと台所に行き、お茶の用意をする。












「直人さんお待たせ…!」











お茶とお菓子をテーブルの上に置き座る。











「よいしょっと…」












「ありがとうございます…頂きます…」











直人さんはお茶を一口飲みテーブルに置く。











「それで…結婚式はするの?」










「えっ!?」











「ちょっとおばあちゃん…まだ何の話も……」











「だってあなた電話で言ってたでしょ?結婚するって」










「…そうだけど……」










私は直人さんの顔を見る。










「あの…紗和さんと結婚させて頂いても宜しいでしょうか…」











「もちろん良いに決まってるでしょう?もうわたし紗和から話聞いた時嬉しくて嬉しくて……」










おばあちゃんが涙ぐむ。










「ちょっと…おばあちゃん……」










私はおばあちゃんの隣に移動し、背中をさする。











「直人さん…この子のこと…お願いしますね…?」










「はい…!」









その後、私の小さい頃のアルバムを見て直人さんとおばあちゃんは盛り上がる。











「紗和可愛いでしょう」










「凄く可愛いです」










「もう…二人ともやめてよ…」











私は恥ずかしくて両手で顔を覆う。










中学時代まで見終わった所でおばあちゃんがアルバムを閉じる。










「写真があるのはここまでなのよ…高校生になってから全然写真を撮らなくなっちゃってねぇ…」










「そう…だね」











「あの頃の紗和はねぇ…なんだか毎日辛そうな顔をしてて…でもこの子…大丈夫大丈夫って言ってなんにも話してくれないから心配で…今はこんなに幸せそうで…わたし嬉しいわ…」











「おばあちゃん……」











そして夕方になり、私とおばあちゃんは夕ご飯の準備を始める。










「俺も一緒に…」










「いいのよ…!直人さんは座ってなさい!」










おばあちゃんに背中を押され、直人さんは渋々座布団に戻る。










少し経って、直人さんが再び台所に来て声をかけてくれる。









「これ…運びますね」










「ありがと直人さん…!」










食卓にはおばあちゃんの手料理がずらりと並んでいる。









「おばあちゃんの料理久しぶりだなぁ…」










「二人ともたくさん食べなさいね…!」









「いただきまーす!」









「頂きます」









おばあちゃんの料理を一口食べると、懐かしい記憶が次々と蘇ってくる。










「とても美味しいです」











「そうでしょう?どんどん食べなさい…!紗和の料理もおいしいでしょう?わたし直伝だから」











そう得意気に話すおばあちゃんが可愛い。










「そうでしたか…紗和さんの料理はお祖母様直伝だったんですね」












直人さんは感心しながらパクパク食べる。










「おばあちゃん、直人さんの手料理もめっちゃおいしいんだよ…!」










「あらそうなの!」









「いや…俺のは簡単な料理ばっかりですから…」










「明日の朝食は直人さんに作ってもらおうかしら」










「俺の料理で良ければ…」









「楽しみだね!おばあちゃん」











そして夕食を終え、おばあちゃんが立ち上がる。










「私食器洗ってくるから、二人はゆっくりしてなさいね」









「私洗うからおばあちゃん休んでて…!」









「何言ってるの…!二人とも疲れてるでしょう」










「俺洗いますので、お祖母様はゆっくりなさって下さい」










そう言うと直人さんが立ち上がる。











「じゃあ私も……」










「大丈夫。二人で話したい事もあるだろ?」









そう言って微笑む。










「ありがと…直人さん」











私はお礼を言い座り直す。










直人さんが台所に行くとおばあちゃんが私に小声で囁く。









「すごく優しい方だねぇ」










「うん、すっごく優しいの」










「今の紗和…いい表情してるわ…」










「そう…?」










「これならいつ天に召されても後悔ないわ…」











「なに言ってるの…!?まだまだ長生きしてよ…!」









「そうだねぇ……」










おばあちゃんが周りを見ながら困ったように笑う。









「……紗和」









「なに?」









「わたしね、この家手放そうと思ってるのよ」









「え…?」










「ほら…この家一人で住むには広いでしょう?」










「そう…だけど……」










「最近二階に上がるのもキツくてね…」










「そっか………」









「紗和との想い出が詰まったこの家を手放すのは寂しいけどね…」










「うん……」











そして数十分後。










食器を洗い終えた直人さんが居間に戻ってきた。











「直人さん、ありがとうねぇ」











「いえ、とんでもないです」










「今日は泊まって行くんでしょう?」










「あ…えっと……」









私は直人さんの顔を見る。










「泊まらせて頂いても宜しいですか?」










「もちろんよ…!お布団準備しなきゃね…!」











おばあちゃんは嬉しそうに居間から出て行く。











「直人さん…いいの…?」










「勿論。お祖母様も紗和と長く居たいだろうし」










「直人さん…」










その何気ない優しさに心がギュッとなる。










「二人は紗和の部屋でいいかしら」










「紗和さんはお祖母様と寝たいそうです」










「あら、紗和ったら…子供みたい」










そう言いながらも嬉しそうな顔をしている。










「せっかくだから二人で仲良く寝たらいいのに〜私のぞいたりしないわよ?」









口に手を添えながら私達をからかう。










「何言ってるの…!おばあちゃんっ!」












私が慌てると直人さんが笑う。










寝支度を終えた私達は二階に上がり、私が高校まで過ごした部屋に入る。










「ここが紗和の部屋…」











「恥ずかしいからあんまり見ないでね…?」












私は机の上を片付ける。











「直人さんありがとう…おばあちゃんのこと…」











「別に何もして無いけど…」










「おばあちゃん、私と寝るのあんなに喜ぶと思わなかった…直人さんが言ってくれたから…ありがとう」










「……紗和とお祖母様の様子見てたらさ、紗和が大切に育てられたんだろうなって凄く伝わってきたよ」










「………うん………」










「だから紗和はこんな良い子に育ったんだな」











その言葉に私は無言で直人さんに抱きつく。











直人さんも私の頭を優しくなでてくれる。











「……あら、おじゃまだったかしら」











その言葉に私は後ろを振り返る。











扉の隙間からニヤついた顔をしたおばあちゃんが覗いていた。










すると直人さんが私から勢いよく離れる。











「……す、すみません」










「どうして謝るのよ…!いいじゃない仲が良くって」









そう言って笑う。










「やっぱり二人一緒に寝たらどう?」









「いや…俺は一人で大丈夫です…お二人で寝て下さい…」









おばあちゃんは、あらそう?と笑いながら言う。









そして直人さんと別れたあと、おばあちゃんがいつも寝ている寝室へと入る。









「紗和と寝るなんて何年ぶりかしらね」










「ほんとだね…」









おばあちゃんと並んで仰向けになる。










「ねぇおばあちゃん」










「うん?」









「一人で大丈夫なの…?」










「大丈夫よ…紗和がこの家出てからずーっと一人でやってきたんだから」










「でも…」










久しぶりに会ったおばあちゃんは明らかに足腰が弱くなっているように見えた。










「大丈夫よ、わたしのことはいいから…あんたは自分のことだけ考えなさい」










「うん……」










そして次の日。











「じゃあ…おばあちゃんまたね…!」











「お世話になりました」










「またいつでも遊びに来てちょうだいね…!」










おばあちゃんは明るく振舞っていたけど少し寂しそうにも見えた。










そして数週間後。









今度は直人さんのご両親の家に向かっていた。








「…………………」









「緊張…してるのか?」









「そりゃあ…緊張するよ…」









そう言うと直人さんが笑う。











そして直人さんの家に着くと、直人さんが玄関のドアを開ける。










ガチャ










「いらっしゃい!」









直人さんのお母様が笑顔で出迎えてくれる。









「あの…お邪魔します…」









玄関に入ると、お父様もそこに立っていていらっしゃいと優しく出迎えてくれる。










手土産を渡したあと、リビングに案内され椅子に座る。











「直人さんとお付き合いさせていただいています…青木紗和と申します…」









「紗和さん…!美人ねぇ…!」









「いえ、そんな…」










「そんなに緊張しなくて良いから…リラックスリラックス」









お父様が優しく声をかけて下さる。










「ありがとうございます…」









そして例のごとく直人さんの昔のアルバムを見て盛り上がったあと、お母様と一緒に夕食の準備をする。










「あの子…どう?」









「どう…と申しますと……」









「直人ねぇ…自分の事はあまり話さない子なのよ昔っから……恋の話なんて一度も聞いたこともないし…」









「そうなんですか…?」










「職場で出会ったんでしょ?」









「はい…!直人さんはすごく優しくて…誠実で…私のことも大事にしてくれて…とても尊敬できる方です…!」








「そうなの…?」








「はい…!いつも直人さんの優しさに甘えてばかりで……」








「そう…直人から結婚の話を聞いた時はびっくりしたけど…紗和さんから話聞けて少し安心したわ…これからも直人のことよろしくね…!」








「こちらこそ…よろしくお願いします…!」








「今度、お祖母様にもご挨拶させてね…!」









「はい…ぜひ…!」










そして直人さんの話で会話が弾む。











「そうそう、それで私達が行けない代わりに直人が優里の授業参観に…」









「そうなんですか…」









「大学まで休んでね…優里が可哀想だと思ったんでしょうね…」










「昔から優しかったんですね、直人さん…」









「周りが父母の中気まずかったと思うんだけど、何一つ文句も言わずに…優里も喜んでたし…直人が行ってくれて本当によかったわ…」








直人さんのエピソードを聞いて心がほっこりした。









そして夕ご飯が食卓に並べられる。









「ただいまー」









「優里おかえり。こちら紗和さん、ご挨拶して」









「え……」










「あ…青木紗和と申します…直人さんとお付き合い……」









「えっ!?直兄の彼女って…この人?」










「お前、この人って……」










お父様が優しく諭す。









すると私の隣に座って顔をじっと見つめられる。









「あの…えっと……」










「え…モデル?芸能人?」










私の顔をまじまじと見ながらそう言う。










「い、いえ…会社員です……」









「あんた…やめなさいよ。そんなジロジロ見て…」










「え、だって…めちゃくちゃ可愛いんだもん」











両手で頬杖をつきながらそう言う。









「良いから…早く着替えてきなさいっ」









「はーい」








そう言うと椅子から立ち上がり向こうへ消えていく。








「紗和さんごめんなさいね…あの子自由奔放で…」










「い、いえ…」









そして妹さんが着替えて戻ってくる。










「今日のご飯気合い入ってんね」










そう言うと手を合わせおかずを取る。










「てか直兄にはもったいなくない!?」









「何が…」









「だってさ…紗和さんみたいな人なら、もっといい人いっぱいいるでしょ」










「そんなこと…直人さん以上の方なんていません…」









「あら」









「へー直兄愛されてるじゃん!直兄はどう思ってるの?」









手でマイクを作って直人さんに向ける。









「やめろって……」









直人さんがそれを手で制すると優里さんは楽しそうに笑う。










「私紗和さんがお姉ちゃんとか超嬉しいんだけど」









「……本当…ですか…?」









「本当に決まってるじゃん!私ウソ嫌いだし」









「そう言ってくれて嬉しいです…私も…優里さんみたいな可愛い妹ができてすごく嬉しいです…!」










「タメ口でいいよ、妹なんだし。私のこと優里って呼んでよ!私も紗和ちゃんって呼んでいい?」









「もちろん…!」










「ねぇあとで私の部屋で話そうよっ」










「うん…!」










そして夕食後。










「お邪魔します…」










「どぞどぞー」









優里ちゃんの部屋は女の子らしい淡いピンクの家具で統一されている。









真ん中に置かれた丸いテーブルを囲んで座る。










「でもさぁ、あんなクソ真面目な直兄のどこがよかったの?」








「その真面目な所が好きなの…すごく紳士的で優しいし…」








「でもつまんなくない?話とか合う?」








「そんなことないよ…!ゲームとか一緒にしたりするし…」








「へぇ…」








優里ちゃんは首を傾げながら返事をする。









「直人さん、優里ちゃんにも優しいでしょ…?」








「まぁ…優しいけど…歳が離れてるっていうのもあるんだけどさぁ…時々過保護っていうか…パパ二人いんの?って思う」








その言葉に容易に情景が浮かんだ私はつい笑ってしまう。









「笑いごとじゃないって、まじで…!」










「愛されてるんだね、優里ちゃん」









「愛…なのかなぁ…」









優里ちゃんは照れ隠しなのか頭をポリポリかく。










「……紗和ちゃん、今日一緒に寝ようよ」









「えっ…いいの?」










「もちろんっ!」










そして寝支度を終えた私達はベッドで並んで寝る。









「私…紗和ちゃんのこと好きだなぁ」








そうポツリと呟く。









「えっ…ほんと…?」










「うん、紗和ちゃん絶対いい人だって話したらすぐにわかったもん」











「……ありがとう…」









「………紗和ちゃんって…過去に辛いこととか…あったりする…?」










「え…?」










「紗和ちゃんのこと見てたらなんとなくそうかなーって…」









「……………」










「あっごめん…!初対面なのにズケズケと」










「うぅん……」









「私達さ、もう家族になるんだから…気とか使わなくていいからね?」









「……うん…ありがとう……」










「私も、パパもママも…みんな紗和ちゃんの味方だからいっぱい頼りなよ?」









「優しいね…優里ちゃん……ありがとう……私も優里ちゃんのことだいすきだよ…」










そう言って優里ちゃんに笑いかける。










「えー?愛の告白?超嬉しいんだけど!」










優里ちゃんの本当に嬉しそうな顔を見ていたらなぜか目頭が熱くなった。










私は思わず優里ちゃんに背を向ける。










「………紗和ちゃん…泣いてるの…?」










「うぅん…泣いてないよ…!」









私がそう言うと優里ちゃんが後ろから私をギュッとしてくれる。








「……………………」









「やっぱ泣いてるじゃん…」









「ごめ…そんなつもり…なかったのに…なんでだろ……」









すると優里ちゃんが私の頭をポンポンとなでる。









「ごめんね…私がお姉さんなのに……」









「そんなのどっちだって良いよ」









優里ちゃんの優しさが胸に染みる。










「……ねぇ今度さ…ショッピング行こう?」










「うん…行きたい…」









「そのあと映画観てさ…」









「優里ちゃん映画好きなの…?」









「うん、ほんとは一人で観るのが好きなんだけどね…紗和ちゃんとだったら一緒に観てもいいかなって」








「ありがとう…」









そして優里ちゃんにギュッとされたまま私はいつの間にか眠りについていた。









「…………………」










目を開けると体に重みを感じる。









体を起こし下を見ると、優里ちゃんの足が私の体に乗っていた。









それを見てつい微笑んでしまう。










優里ちゃんの足をゆっくり元の位置に戻し、ベッドから降りる。












「おはよう紗和、早いな。あんまり寝られなかったか…?」









「おはよ…うぅんよく眠れた…!」









「それなら良かった」









直人さんは新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。









「洗面所借りるね…!」










私は顔を洗いリビングに戻る。










「あ…いい匂い……」









キッチンに入ると、直人さんが朝食を作っている。










私も手伝いながら出来上がったご飯をリビングに運ぶ。









「おはよう紗和さん!」










「あ…おはようございます…!」









「美味そうだな…紗和さんありがとう」









「いえ…!」









そして、みんなが揃い朝食を食べ始める。










「このお味噌汁…紗和さんが…?」









「あ…はい……」









私は緊張しながらお母様の顔を見る。










「わ…すごく美味しい…!」










「本当ですか…?」










「うん、超おいしいよ紗和ちゃん!最高!」











優里ちゃんも褒めてくれる。










「よかった…ありがとうございます…!」










私は嬉しさで顔がほころぶ。










「あっ紗和ちゃんあとで連絡先交換しようよ」









「うん…!」









「映画何観るー?」









「そうだなぁ……優里ちゃんはどんな映画が好き?」








「パニックホラーとか、ゾンビ物とか…」









「え…そうなの…!?」









「私が映画一人で観る理由わかったでしょ。でも紗和ちゃんが観たい映画観ようよ」









「私も…そういう系だいすきなの」









「えっ…まじ!?」









「うんっ…!」










「気…使ってるでしょ」









「いや…本当に紗和はそういう映画が好きだよ」










直人さんがそう言ってくれる。










「まじか…!嬉しいっ…!」










優里ちゃんは立ち上がり私をギュッとする。










「優里…ご飯中にやめなさい…!紗和さん迷惑でしょ」









「ごめんなさーい!」










優里ちゃんは私から離れ椅子に戻る。










本当に可愛い。










朝食を食べ終え私と直人さんは帰り支度をする。









「お世話になりました…!ありがとうございました…!」









「自分の家だと思って、いつでも来てちょうだいね…!」










「紗和さん、今度は一緒にお酒飲もう」










「はい…!ぜひ…!」










「紗和ちゃんまた連絡するねっ!」










「うん…!映画楽しみにしてる…!」









私達が車に乗ったあともずっと見送ってくれる。









私も後ろを振り返り見えなくなるまで手を振る。










そして前を向きため息をつく。









「……疲れただろ」









「うぅん……すっごく楽しかった」









「そうなのか?」










「うん…帰るのが名残惜しい……」










「それなら良かったけど……」










直人さんが不思議そうな顔をしている。










「優里ちゃん…すごくいい子だね」










「ちょっとうるさいけどな」










そう言って笑う。









「実はね…優里ちゃんと仲良くなれるか不安だったんだ」









「何で…」









「うーん…なんとなく……」










今まで同性にいい印象を持ってもらえることがあまりなかった私はそれが不安だった。










「でも優里ちゃんは…すぐに私と打ち解けてくれて嬉しかった…」










「そうか…」









「まだ早いかもしれないけど…直人さんの家族と家族になれることがすごく嬉しい」










私は窓の外を見ながらそう言う。










「紗和はもう家族だろ?」









「……ありがとう…」









私は微笑みながらそう言う。










家に帰ってきて荷解きをした後、晩ご飯の話になる。










「今日の晩ご飯どうしよっか…スーパー行く?」









私は冷蔵庫を開けながら言う。










「今日は疲れたし出前にしないか?」









「賛成っ!」










そして晩ご飯を食べていると直人さんが口を開く。









「……紗和…」









「ん?」









「この家さ…引っ越そうかと思ってるんだけど…どうかな」










「え、引越し?」










「契約がそろそろ終わるし…今は紗和も居るからもう少し広い部屋が良いんじゃないかと思って」










「うーん…私はこの部屋でも充分だけど……」










「あとさ…お祖母様の事だけど」









「おばあちゃん?」









「お祖母様と…紗和が良ければ……一緒に住まないか…?」









「……………え…?」








「この間…二人が話してるの聞こえて……お祖母様今住んでる家…手放すんだろ…?」










「………うん…」









「これから先……紗和と一緒に居られた方がお祖母様も幸せなのかな…って思ってさ…」








「……………」








「もちろん、お祖母様と紗和の気持ちもあるだろうし…無理にとは言わないけど…」










私はお箸を置き俯く。









「あ……悪い…急…だよな…」










「直人さんは…ほんとに優しいな……」










「え…?」








「おばあちゃんのこと…ずっと気がかりで…直人さんがそんな風に言ってくれて………嬉しい……」








「……………」








「でも…直人さんに負担…かけたくない…おばあちゃんのことは…心配…だけど……」








すると直人さんが席を立ち、私をそっと抱きしめてくれる。







「負担なんて…そんな悲しい事言うな…」








「……だって…おばあちゃんと暮らしたら…直人さん気使うでしょ…?……直人さんは優しすぎるから…疲れちゃうよ…」









「これから…紗和の事も…お祖母様の事も大切にしたい…大事な人だから…」










暖かい。










直人さんと居ると心も体も暖かくなる。








「直人さんが…私とかおばあちゃんのために…とか…無理してるんだったら…」








「紗和とお祖母様が幸せだと俺も嬉しいから…だから全然無理してない」









その言葉に涙が溢れる。








「ありがとう…直人さん……」









その後、直人さんと今後についてじっくり話し次の日おばあちゃんに電話をかけた。











「おばあちゃん…今大丈夫?」










「どうしたの?紗和…」








「あのね…おばあちゃんがよかったら…一緒に住まない…?」









「………何かと思ったら…突然どうしたの…」










「おばあちゃん今住んでる家売る予定なんでしょ…?だから一緒に……」









「そんな気を使わなくてもいいのよ…わたしは一人で大丈夫って言ったでしょう?」









「私がね…おばあちゃんと一緒に暮らしたいの」










「直人さんが居るでしょうが…」










「………直人さんもね…言ってくれたんだ。一緒に住んだらどうかって…」










「直人さんが…?」










「うん…どうかな…?」










「そう…直人さんが……」










私はおばあちゃんが発する言葉を待つ。










「本当に…いいのかねぇ…迷惑じゃ……」











するとスピーカーで聞いていた直人さんが口を開く。








「全然迷惑じゃないです。俺もお祖母様と一緒に暮らせたらいいなと思ってます」










「直人さん…」










「おばあちゃん…一緒に暮らそう…?」










「うーん…二人がそう言ってくれるなら…」










「ほんとっ?やったぁ…!」








私の喜びようにおばあちゃんが笑い出す。










「引っ越しの手伝いとか、俺何でもするので言って下さい」









「ありがとう、直人さん。本当に良い人だねぇ…」










電話を切った後、私は直人さんに抱きつく。









「直人さん…本当にありがとう…」










「楽しみだな、一緒に暮らすの」











「うん…!」










それからおばあちゃんの家を売りに出す手続きや、引っ越しの準備やらで慌ただしい日々を過ごした。










「おばあちゃん…寂しい…?」










「寂しいわよ…紗和との想い出がたくさん詰まってるからねぇ…」










「そうだね…私も寂しい……」










「でも…また新しい家で紗和と直人さんとの想い出ができるからねぇ」









「うん…想い出いっぱい作ろう…!」










そして新居に引っ越して一週間が経とうとしていた。









「おばあちゃん、この生活…少しは慣れた?」










「もう快適よ…!直人さんも紗和も色々手伝ってくれるし楽になったわ…」










「そっか…!それならよかった…」










ガチャ









「ただいま」









「お帰りなさい、直人さん」










「おかえりっ…!」









私は小走りで直人さんの元へ行きギュッと抱きつく。









「さ、紗和…」









「なに?」









私が見上げると直人さんは困ったような表情をしている。









「いや…お祖母様が……」










私はチラッとおばあちゃんの方を見ると楽しそうに微笑んでいる。









「別にいいじゃん。もう一緒に暮らしてるんだし」










「紗和が良くても…俺は恥ずかしいって…」










「じゃあ…慣れよ」









そう言ってさらにギュッと抱きつく。










直人さんは両手を下に降ろし、私の背中に手を回してくれない。










「紗和…本当に…恥ずかしいから……」










直人さんが俯きながらゆっくり私の体を押す。










「紗和、直人さんの気持ちも汲み取ってあげなさい」









おばあちゃんが微笑みながらそう言う。









その言葉に私は仕方なく直人さんから離れる。








おばあちゃんと一緒に暮らし始めてから、直人さんはおばあちゃんに気を使ってか私と一定の距離を取るようになった。












夕食を終え、寝る準備をする。










「それじゃ、おばあちゃんおやすみ!」




「お休みなさい」








「はいおやすみなさい…!」











それぞれ寝室に入り、ドアを閉める。








私は後ろを振り返り、直人さんにギュッと抱きつく。







「……紗和…?」








「…………………」







そして直人さんから離れ、ベッドに座り大きく伸びをする。










「直人さん電気消していい?」










「………………」








すると直人さんが隣に座り私の顔を見つめる。









「ん…?何?」










「……今…俺に抱き着いたのって……」









「………あー…なんとなく…?深い意味はないよ…!」








そう言って笑う。









「……電気…消すね?」










そう言って私が電気を消そうとすると直人さんに優しく抱きしめられる。








「………………………」









「紗和の気持ちに応えられなくて…ごめん」








「………私の方こそ…直人さん嫌がってるのに…無理やり…ハグしちゃって…ごめんね」








「……嫌…じゃない…ただ…恥ずかしいだけで…」









少しして直人さんが私から離れる。









「ごめんな…」










私を優しい眼差しで見つめる直人さんに、私はわがままを言う。









「……まだ足りない」









「え…?」








「もう一回…ハグしてくれたら寂しくなくなるかも」








すると直人さんは優しく私を抱きしめ頭を撫でてくれる。








直人さんの温もりに安心する。








「………直人さんごめんなさい…」








「何が…?」








「私…嘘ついた」








「嘘…?」








「ただ直人さんにハグして欲しかっただけ」








「何だそれ…」









「ごめんね…?」










私は抱きついたまま直人さんを見上げる。









「そんな可愛い嘘なら…何度つかれても…良い」










照れながらそう言う直人さんが愛おしい。









「………おばあちゃんの前でも…ハグしていい?」








「……それは…ちょっと…」








「……………………」








「悪い…」








「……じゃあ毎日寝る前にこうやってギュッてしてくれる…?」









「………勿論…良いに決まってる…」






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