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あなたが愛しすぎて  作者: m.
25/34

二人の想い

あれから龍也が私の前に現れることはなかった。









約三週間後。









直人さん………あっそっか…今日会議があるから早めに会社行くって言ってたっけ……









朝目覚めた私はボーッとしながら仕事の準備をする。









「おはよう〜!」








「おはようございます」









いつも通り間宮くんと挨拶を交わし仕事を始める。










「紗和さん、今日飲みに行きません?」









「あぁーごめん…!帰って夕ご飯作らないと…」









「夕ご飯?飲んだ時に食べれば良いじゃないですか」








「……直人さんも…居るから……」









「佐々木さん…?……同棲してるんですか…?」










「あ…うぅん…ちょっと色々あって…直人さんの部屋にいさせてもらってるっていうか…」










「…そうですか。じゃあまた今度」









「うん…今度飲み行こうね…!」










それから仕事を終え、直人さんの家でご飯を作り始める。









20時………直人さん遅いなぁ………










いつもなら19時過ぎには家に帰ってくる。









私は電話をかける。










プルルルル









プルルルル








プルルルル









出ない………どうしたんだろう………









不安に思い、メッセージを送ろうと画面を開いた途端に直人さんから電話がかかってくる。










「もしもし直人さん?今どこ?」









「さーわちゃん♪」









「え…龍…也……!?」









「ピンポーン!」









「な、なんで龍也が直人さんのスマホ………」









「今、一緒にいるから」










「一緒って…どういう意味…!?」









「紗和ちゃんも来なよ」









「え…?」










「良いの?この人がどうなっても」










「何…言ってるの…!?」










「とにかく、住所送るから!じゃ」









そう言うと電話が切れる。










手が震え心臓がバクバクしている。









私はすぐに家を飛び出し、送られてきた住所へタクシーで向かう。









直人さんに何かあったらどうしよう。










目的地に着いた私は走って向かう。










そこは、廃墟ビルで暗くて視界が悪い。









私はなんとか奥に進んでいくと向こうに薄暗い明かりが見える。









「おー来た来た」










そこには倒れた椅子に縛られた直人さんの姿があった。









「直人さんっ!!!」









私は直人さんに駆け寄る。








直人さんは龍也に殴られたのか、服も乱れ顔も体も痛々しい状態だった。









「直人さんに何したの…!?」










「この前色々言われて腹立ったからさ」










必死でロープを解こうするけど中々解けない。










そこに龍也が近付きしゃがむ。









「紗和ちゃん、久しぶりに会ったらますます可愛くなってるね」









そう言って私の髪を触る。










「……………………」









「そんなおじさんより、俺の方がよくない…?俺ならもっと紗和ちゃん満足させられるし…」










「………直人さん……すぐに解くからちょっと待って……」










「紗和ちゃん、向こうでちょっと話しない?」










「………ならこのロープ外して」










「向こうで話してくれたらね」









「……わかった」









私は立ち上がる。








「紗和…………行く………な………」









直人さんが声を振り絞るようにそう言う。










「直人さん…大丈夫………すぐに助けるから…」









私は龍也には聞こえないくらいの小さい声で直人さんに言う。










「何してんの、早く」








私は立ち上がり龍也に付いて歩いていく。










奥の茂みに来た所で、龍也が立ち止まる。










「話ってなに?」









「俺さぁ、やっぱ紗和ちゃんすきだわ」








「……は?」








「どの女よりなんだかんだやっぱ紗和ちゃんが一番だなーって」








「……………………」









すると龍也が私に近付いてくる。









「……あのおじさんとマジで付き合ってるわけじゃないでしょ?」










「本気に決まってるでしょ」










「まじ!?なに、お金超持ってるとか?」









「……………………」









「てかそっか、借金返せるくらいだもんな」










「………いい加減にして」










「そんな怒らないでよ〜あのロープ解いてほしい?」









「………早く解いて」









私がそう言うと、龍也が耳元で囁く。








「……なら俺としてよ」









「何言ってるの…?ふざけないで」









「……いやふざけてないし。マジなんだけど」









龍也はあの頃から全然変わってない。









「ロープ解いてほしいんでしょ?あの人待ってるよ?」








「…………………」









「紗和ちゃん…!」









「…………わかった…じゃあ向こうからロープ…持ってきて……」









「ロープ…?………え、なにすんの?」










龍也は楽しそうに笑っている。











「取ってくるからちょっと待ってて…!」










「………………………」










数分後。









「紗和ちゃん持ってきたよ!」










私はロープを受け取る。









「……ちょっとそこに立って」










「え、なになに?」










そう言いながら龍也は木のそばに立つ。










「そこ座って」









「え、紗和ちゃんそんなSっ気あったっけ」









座った龍也の両腕を後ろに回して木に縛る。










私は完全に固定されたのを確認してから、電話をかける。









「あ…あの、元彼に付け回されてて…彼氏も殴られて怪我してて……」










「ちょっ紗和ちゃん!?」









「はい、住所は………」










「おい!何言ってんだよ!」










私は電話を切り、直人さんの元に走る。










「直人さんっ……!今警察呼んだから…!もう大丈夫だから…」









数分後、パトカーのサイレンが聞こえてくる。









警察官が直人さんのロープを解いてくれ、すぐに救急車で運ばれた。









私は借金のことも全て話して、警察署を出たあとすぐに病院へ向かう。









その日は面会できず、次の日まで待ってすぐに病室に入ると、直人さんが寝ている姿が見えた。










直人さん…………









私はそばに座り直人さんの顔を見つめ、髪を無でる。










その痛々しい姿を見て涙が溢れてくる。










私が俯いて泣いていると髪に何かが触れる。










顔を上げると直人さんだった。










「紗和……無事で…良かった………」









優しく頭を撫でながらそう言う。










「直人さん…私のせいで……ごめん…なさい……」










「紗和は悪く無いだろ……」









「うぅん……私のせいだよ…痛かったよね……本当にごめんなさい………」










私は直人さんの顔を触りながら謝る。










「これ位平気だって……紗和もう疲れたろ……家帰って休んで…」










「…直人さんのそばにいたい……」










「でも……」










「お願い…いさせて……」










「……分かったから……もう泣くなって……」









泣いている私の涙を直人さんが優しく拭ってくれる。









「でも紗和があいつの事ロープで縛って…警察に電話するなんて驚いたよ…紗和があいつと離れた時…気が気じゃなくてさ…」








「直人さんのおかげだよ…自分の身は自分で守れって教えてくれたから…」









「そうか…すごいな、紗和…」









そう言って微笑む。









私は直人さんのその顔を見て心がキュッと痛んだ。









そして次の日、直人さんは退院した。







「傷…まだ痛む…?」









「いや、全然平気」









絶対嘘だ。









顔も体もまだ痛々しい。










家に帰ってきて直人さんは着替えに寝室へ行く。









ガチャ









「うわっ!さ、紗和!?」









着替えてる途中の直人さんの体を見て思わず抱きつく。









「え…ど、どうした!?」










「直人さん…アザが……」









「あぁ…見た目程痛くないから大丈夫だ」









「本当に…ごめんなさい…」









「紗和…本当に大丈夫だから…もう謝るなって…」









「……ねぇ直人さん…」









「ん?」









「私達…別れよう…?」








「別れる…?」








直人さんは私から離れ、私の顔を見つめる。








「何で……」









「私と付き合ってなければ直人さんがこんな怪我することもなかった…私のせいでまた直人さんに何かあったらって思うと…」









「怪我なら別に平気だって言っただろ…?」










「直人さんが平気でも私は平気じゃない…!私なんかと居るより…直人さんにはもっと良い人が絶対居るから…だから…」










すると直人さんが私を力強くギュッと抱きしめる。











「紗和以外に良い人なんて居ない」










「居るって……だって…直人さんみたいな完璧で素敵な人…世の中の女性がほっとかないよ…私なんかにはもったいない…」









「………………………」











「借金は…別れてもちゃんと返すから……」










「紗和……」









「…………………」










「あのさ……一緒に暮らさないか…?」










その言葉に私はパッと直人さんから離れる。











「………直人さん…私の話…聞いてた…?」










「うん…聞いてた」









「私といると直人さんに迷惑かけるから…だから……」










すると直人さんは私を優しく抱きしめる。










「俺は…紗和と一緒に居たい……」









「…………………」









「紗和は…俺と居るの嫌か…?」











「………そんなわけ…ない…」









「紗和……」








「なに…?」










私は直人さんの顔を見る。










「………愛してる」









直人さんはすごく優しい眼差しで私を見つめる。









「………………………」








「……………紗和?」










「そんな顔…ずるい……」








「え…?」








「そんな顔されたら…別れたくなくなるじゃん……」








「え……俺どんな顔して……」








直人さんが不思議そうな顔をする。









我慢できなくなった私は思わずキスをする。









「直人さん……私も直人さんのこと…すごく愛してる」








「……………」









「なんで照れてるの?先に言ったの直人さんだよ…?」








「いや…そうだけど……恥ずかしい…な……」









「直人さんがそんなこと言ったら私まで恥ずかしくなるじゃん……」









少しの沈黙のあと、私は口を開く。









「直人さん……一緒に暮らそうって……本気…?」









「……あぁ、紗和が良ければだけど」









「本当に…良いの…?」









「紗和は…平気か…?同棲する事……」










「私も…直人さんと一緒にいたい」









私は直人さんに近付き抱きつく。









こうして、別れるつもりだったのに直人さんの言葉で一転して私達は同棲することになった。










そして引越し当日。








「荷物これだけか……」








元々部屋に物があまりなかった私は、引越し作業も割とすぐに終わった。









夕ご飯を食べ終え、ソファでのんびり過ごす。










「今日からよろしくお願いします……」









「何だよ改まって…今までとそんなに変わらないだろ。何回も泊まってるし」









「そうなんだけど…なんか変な感じ…」









そう言って私は笑う。









「あ、風呂先に入って良いから」










「あ、じゃあ……お借りします…!」









「もう同棲してるんだから、そんな遠慮するなって」









そう言って笑う。









同棲して初めてのお風呂……









そわそわした気分で私はシャワーを浴びる。










「………気持ちよかったぁ〜」








「じゃあ俺も入ってくる」








「行ってらっしゃい…!」









直人さんがお風呂に入ってる間に、私は着替えてソファに座る。









数十分後。










直人さんの足音が聞こえる。









「紗和、そういえ……ば……」










「ん?なに?」










直人さんが私の姿を見たあとパッと目を逸らす。










「紗和…!?ど、どうしたその格好……」









「可愛いでしょ…!なかなか着る機会がなくて…」









「……………」








「直人さん?」










「……寝るまでずっとその格好で居るのか…?」










「うん…ていうかいつまでそこに立ってるの?ソファ座ったら?」









リビングの端に立ってる直人さんを手招きする。









「…………………」











直人さんは私の方を見ないままソファの端に座る。










「直人さん私のこと全然見ないじゃん」









「いや…そんなの…直視出来ないだろ………」








「別に初めて見る訳じゃないでしょ?前の彼女とかもこういうの着てたでしょ」








「え…いや…………」








私は距離をとる直人さんに近付き顔を覗き込む。








「直人さんって……絶対私より恋愛経験豊富なのに……いっつもそういうリアクション取るよね……わざと?」








「そんな訳…無いだろ………どう…反応したら良いか分からないんだよ……」









「もう見慣れてるでしょ…」









「………………」








直人さんは俯いたまま、全然こっちを見ない。









その可愛い反応に私はつい意地悪したくなる。









「ほらよく見てよ…!このレースの所とかめっちゃ可愛いんだから…」









そう言って直人さんをソファに押し倒して上に乗る。









「わ、分かったから……」









「そういえば、直人さんなんで私と同棲しようって思ったんだっけ?」









「……前にも言っただろ…」









「もう一回ちゃんと聞きたい」









「…………愛してる……から」










「……ねぇもう一回言って?」









私はキスをしながら直人さんの服を少し捲り腹筋に触れる。









「愛し……ちょ…紗和………」










直人さんが私の手をどける。










「私…直人さんが喜ぶと思ってこれ着てるんだけど…似合ってない?」










「え……」









「似合ってない…かな」










私は直人さんの顔をじっと見つめる。










「い…や……」










「…………もういい。着替えてくる」








ソファから降りようとする私の腕を直人さんが掴む。








「似合ってる…」









そう小さい声で呟く。










「嘘つき。ちゃんと見てもないのになんで似合ってるかわかるの」









そう私が言うと、直人さんが立ち上がり私を抱きしめる。









「可愛いし…色っぽ過ぎて直視出来ない…けど似合ってる…本当に……」










その言葉に全身が熱くなる。










「直人さんも…色っぽいとか思うんだ……」









「そりゃ…一応…男だからな………」










「……嬉しい」









そう言って私は微笑む。









「じゃあ…ゲームでもする?」









そう言って直人さんから離れソファに座る。









「え…このまま…か…?」









「そうだけど?」







「……………………」








「どうしたの?ソファ座ったら?」








「あ…あぁ……」









直人さんは私から少し距離を取り座る。









私はコントローラーを手渡し、ゲームを始める。








「直人さんよっわ…」









「……………………」









「すっごいHP減ってるけど大丈夫?今日調子悪くない?」









「……集中…出来ないんだよ……」









そうボソッと言う。









「え、なんで?」









「何でって………」








「ゲームより…したいことが…あるとか?」









「え…?」









直人さんの焦ったような表情が可愛い。









「……あるんだ」









「いや…無いよ別に……」









頑なに私を見ない直人さんに私はしびれを切らす。










私は直人さんに近付きキスをする。









「ゲームよりしたいこと…言っていいよ」








「だから…無い…って……」









「……直人さん可愛い」










「………………………」









そして私達は同棲して初めての一夜を過ごした。










目が覚めると隣に直人さんは居ない。









顔を洗い、リビングに行くと朝ご飯の準備をしている。








「直人さんおはよ…!」








「………おはよう」








「起きるの早いね…!もう少し一緒に居たかったのに…」








「お前の傍に居たら…何されるか分からないからな…」







「なにそれ…!今日はどんなランジェリー着ようかなぁ…実はあと何種類かあるんだよね〜」









「やめてくれ……」








「直人さんもその方が嬉しいでしょ?」









「……俺の身が持たないから………」










「……わー直人さんやらしい〜」










そう言って私は口を押さえて笑う。










「いや、そういう意味じゃなくて…!ドキドキして落ち着かないって事だよ…!」










「焦っちゃって……可愛い〜」










「だから!そういう意味じゃ……!」










「はいはい!わかりました!」









私はリビングの椅子に腰掛ける。









「紗和…とりあえず普通の服に着替えろ……」









「なんで?」









「その格好…目のやり場に困る…」









「いいよ、見て。そのために着てるんだから」









「そういうのって…朝から着るもんじゃないだろ…」








「そんな決まりないでしょ」









「いや…そう…だけどさ……」








「こんな格好してたら朝から変な気分になっちゃう…とか?」








私は直人さんの顔を覗き込む。









「は!?ちが……」









「直人さんってほんと可愛い反応するよね」










「俺を弄ぶな…」








そんな直人さんが愛おしくて私は席を立ち、後ろからギュッとハグをする。








「じゃあ…私、着替えてくるね…?」








「あ、あぁ…」









私は部屋に戻って着替える。









ガチャ








「直人さん着替えたよ…!これで変な気分にならない?」








「だからやめろってその言い方……」








私がこういう感情になるのは直人さんを愛してるし、すごく愛されてるって思えるからだろうな…

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