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あなたが愛しすぎて  作者: m.
22/34

記念日

月曜日。









「紗和さん、おはようございます」










「おはよ!間宮くん」










「この間…大丈夫でしたか…?」










「うん!全然平気。間宮くんにあんな所見せちゃってごめんね?」









「いえ…」









「それじゃあ…今日の業務内容確認しよっか!」











あれから私は直人さんにキス以上を求めるのをやめた。










「紗和…」









「ん?」









「大丈夫か…?」









「何が?」








「いや…」









「送ってくれてありがとう!またね…!」









バタン









「………………」










帰ってきた私はソファに座り深いため息をつく。










最近デートから帰ると毎回この調子だ。











必死に明るく振舞っている分疲れがすごい。










佐々木さんに見合うような大人にならないと……










でもいつまでこんな状態が続くんだろう……











そんな中、私達は付き合って半年を迎えた。










「「かんぱい…!」」









「すっごいオシャレなレストランだね…!」









私はキョロキョロと辺りを見渡す。









「何食べたい?」









メニューを見ても英語ばっかりで何がなんだかわからない。









「直人さんにお任せして良い…?」










すると直人さんはスマートに注文してくれる。










「なんか…直人さん大人の男性って感じ…!」









「まぁ大人だからな」









と冗談っぽく笑う。










普段と違う空間でいつもより大人の雰囲気な直人さんが、さらにカッコよく見えてドキドキする。











「わ…これ美味しい…!」









「美味いな」










そう言って直人さんが微笑む。










なんかはしゃいでる私がすごく幼稚に思えて恥ずかしくなってくる。









直人さんはこういう場に慣れてるんだろうな……











「あれ……?直人…?」










「え…綾音!?何で……」










「ここ知り合いのお店なのよ。試食して欲しい料理があるって言うから来たの」










「そうか……」









「え…青木さん…?どうして…」









松本さんが私と佐々木さんを交互に見ながらにやける。










「付き合ってる人って青木さんのことだったわけ!?なんで早く言わないのよ」









「いや……」









「……え、ちょっと待って。私この間一緒に飲んだ時…あぁ…!青木さん、ごめんなさいっ!」









そう言って頭を下げる。









「あ…いえ…お気になさらないでください…!」









私は焦って立ち上がり両手を振る。









「もうっ…!直人がちゃんと青木さんと付き合ってるって言ってくれたらあんなこと…」









「悪い……」










「青木さん、直人のことよろしくね!」









「はい…!」










「それじゃ、お邪魔しました〜!」











そう言うと向こうに去っていく。










「ここ松本さんのお知り合いの方のお店なんだね…」








「そうみたいだな…何かごめん」










「なんで謝るの…別に平気だよ…?」









私はカウンターに座る松本さんを横目に料理を頬張る。









カウンター越しに居るシェフと楽しそうに笑ってる姿が見える。










「もう半年経ったんだな…あっという間だな」










「ほんと……あっという間だったね」










私達は思い出話をしながら過去を振り返る。










そして最後のデザートを食べていると直人さんが席を立つ。










「ごめん、ちょっと電話」










早歩きで向こうに歩いていく。











私はデザートを食べながら直人さんを待つ。











ふと松本さんの方を見ると松本さんと目が合いニコッとされる。










そして私の方に近付いてくる。










「直人は?」









「あ、ちょっと電話かかってきたみたいで……」










「そっか。……付き合ってどれくらいなの?」










「半年…です」










「へぇ…一番楽しい時ね…!良いなぁ〜」










いつの間にか直人さんが座ってた席に座り頬杖をついている。











なんか……酔ってる…?










「でもさぁ…直人ってなんか淡白でしょ。甘えてくる訳でもないし…かと言って冷たいって訳でもないんだけど」










「そう…ですね」









「全く変わってないのね」









松本さんが持ってきたワイングラスのワインを一気飲みする。









「普段全くそういう雰囲気出さないくせに、キスが無駄に上手いのずるいと思わない?それに……」










そう言うと松本さんは顔を覆いながら笑う。










「あぁ…ごめんなさい急にこんな話…あなた見てたら昔のこと色々思い出しちゃって」










「いえ………」











「綾音、何してる…」










「あら直人。青木さん一人にしちゃダメでしょ?それじゃ私行くね」










「あ…はい…」










松本さんが向こうに戻っていく。










「紗和ごめん…仕事の電話で…」










「うぅん…大丈夫……」










私はグラスに入ったワインを一気に飲む。










「松本さんって…すごく…綺麗だよね…なのにフレンドリーで話しやすいし…」










「フレンドリーと言うかお節介と言うか…」










私はおかわりを頼みグイッと飲み干す。










「直人さんが松本さんを好きになる気持ちわかるなぁ……」










「どうしたんだよ急に……」










「………………………」










「紗和…そんなに飲んで大丈夫か…?」










「うん…ワインってあんまり飲まないけどおいしいね」










私はモヤモヤする何かを払拭するようにお酒を飲み続ける。











「直人さんも飲も…?」











「あ…あぁ…」











レストランを出る頃には、私は自分の限度を超えて泥酔していた。










「紗和…大丈夫か…!?」










「うん!平気っ!」










直人さんの部屋に着くと、私はリビングのソファに座る。










「直人さんのスーツ姿…めっちゃかっこいいね」











キッチンで飲み物を用意している後ろ姿に酔っていてもドキドキする。











「ど、どうした急に…」











私はソファから立ち上がり、そのまま直人さんにハグする。









「だって…かっこいいんだもん」










私は直人さんを見つめ目を瞑る。










すると直人さんは私の気持ちに応えるようにキスをしてくれる。











「ね…ベッド行きたい」









「え…?」









私は直人さんの手をゆっくり引き、寝室へと向かう。








「紗和…ちょっと…待って……」









ガチャ








バタン









寝室に入り、私は着ていたワンピースを脱ぐ。









「え、ちょ……」









直人さんが私から目を逸らし後ろを向く。










「直人さん…」










私はそのまま後ろからハグする。










「紗和…酔ってる…だろ」









「酔ってる……」









私は後ろから直人さんのジャケットを脱がせる。









「紗和待って…こういうのはさ…酔った状態じゃ…」









「大丈夫だよ、私…ちゃんと覚えてるから」










今度は直人さんのシャツのボタンを外す。










「いや…でも…もう少しゆっくり……」









「もう私達付き合って半年だよ…?」









「……………………」










「今日…記念日でしょ…?」










「記念日だからって今日じゃなくても……」










直人さんのその反応に私の手が止まる。










「じゃあ…いつなら…良いの…?」









「それは………」










「………………………」










「紗和…?」









「……直人さん…私と…無理して…付き合ってくれた…?」











「え…?何で……」











「…私に…気を遣って…付き合ってくれたの…?」










「は…?何言ってるんだ…」








「松本さんと…より…戻していいよ…私なら大丈夫だから……」










そう俯きながら言う。










「何で綾音と…もう過去の話だって言っただろ…?」









「だって…松本さんと…心も…体…も……相性…良かったんでしょ…?」










そう自分で言いながら泣きそうになる。










「いや…それはあいつが勝手に……」











「でも松本さんとは…そういう…こと……私とは…したく…ないんだよね……」











涙が溢れて上手く喋れない。










「え…?いや違う…そういうつもりじゃ…」











「ごめん…やっぱり私…帰るね」











そう言って私はワンピースを着る。











「紗和、待てって…ちゃんと話を……」











「今酔ってて…頭回ってないし…また次に…しよ…?」










私は玄関で靴を履く。










「紗和…送る……」











「大丈夫…タクシー呼んでるから…」










そう言って玄関を出る。










「紗和…!」









「お願い…今は…一人になりたい……家に着いたら連絡するから…」











「本当に大丈夫か…?」










「うん…今日はありがとう…じゃあね」










そう言うとエレベーターに乗り込む。










マンションの入口を出ると、あてもなくゆっくりと歩き出す。












ポツ…ポツポツ……










雨が降り出してくる。











私はそんなこと気にする余裕もなく、歩き続ける。










直人さんのことが好きで好きでたまらない。









だからものすごく悲しかった。







〜♪










「もしもし…間宮くん…どうしたの…何か…あった…」









「紗和さん…?」










「何か…仕事の…トラブル…」










「いえ…紗和さんの仕事用スマホ会社に忘れてますよ…俺もさっき忘れ物に気付いて会社戻った時に気付いて…明日日曜日ですし、今日渡せたら渡したいんですけど…」









「…………」










「紗和……さん?外に…居るんですか…?」










「間宮…くん…ごめん…スマホ…預かってて……」










「紗和さん…泣いてるんですか…?」











「ごめん…もう切るね…」











私はスマホを耳から離す。










ザーッ










雨がどんどん酷くなってくる。










寒くて、歩く気力がなくなった私は屋根のある近くのベンチに腰掛ける。










時間が時間だけに人通りは少ない。










私…何やってるんだろう…










せっかくの記念日…直人さんに少しでも大人っぽく見られたくてこの日の為に買ったワンピース…










俯きながらワンピースを見つめているとまた涙が溢れてくる。










あれからどれくらい経っただろう。










バタンッ










その急な物音に私は思わず顔を上げる。










「間宮…くん…?」









「紗和さんっ!!!」








「なんで…間宮くん…どうしたの…?」









「どうしたはこっちのセリフですよ!」










間宮くんは羽織っていたカーディガンを私に羽織らせてくれる。










「寒くないですか?」









「…………………」









「すみません、ちょっとだけ失礼します」










そう言うと間宮くんが私を抱き締める。









「間宮くん…やめて……」










私は間宮くんから離れようと抵抗する。









「体……震えてる。このままだと風邪引きますよ」










間宮くんは全然離れてくれない。









「間宮くん…私…佐々木さんと付き合ってるんだよ…?だからこういうことは…やめ……」









「なら…何でずっと辛そうなんだよ…!そんな顔されたらほっとけないだろ…!?」









間宮くんの抱きしめる手に…言葉に…優しさが溢れていて、つい甘えてしまいそうになる自分が情けなくなる。









「間宮くん……お願い…離して………」









その言葉に間宮くんはゆっくり私から離れる。









「ごめん…紗和さん……」










私は首を横に振る。










「ごめんね…間宮くん…いつも迷惑かけてばっかりで…私…先輩なのに……」









「そんなの…気にしないで下さい。もっと俺を頼って下さい」








「……ありがとう……」









「………家送ってくんで、車乗って下さい」









「自分で帰れるから……大丈夫…」









「今自分がどこに居るか分かってるんですか?」








「え…?」









「とにかく…車乗って下さい」










私は言われた通りに車に乗る。









「間宮くん…どうして私のいる場所がわかったの…?」








「紗和さん前に、今日レストラン行くって行ってたじゃないですか。でも時間的にレストランには居ないだろうし、だったら佐々木さんの家かな…と」










「間宮くん…探偵みたいだね」









「……ちょっと俺キモいですね。すみません」










「うぅん…間宮くんがいてくれて…良かった」









私は間宮くんに家まで送ってもらった。









「間宮くん…ほんとにありがとう…あ、カーディガン…洗って返すね」










「返すのいつでも良いんで。早く風呂入って体あっためて下さい」









「なんか…間宮くんの方が年下なのにお兄ちゃんみたいだね」










そう言って笑う。










「……紗和さんにお兄ちゃんとか言われるの傷付くんですけど」










「あっごめん…老けてるとかそういう意味じゃないから…」










「………紗和さんってほんと鈍感……」









「え…?」









「いや、何でも無いです。早く帰って下さい」









「うん…ありがとう…今度お礼させてね…じゃおやすみなさい…」








バタン









「はぁ……紗和さん何度も傷付けんなよ……」

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