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あなたが愛しすぎて  作者: m.
18/34

佐々木さんへの気持ち

それから私もなんとなく佐々木さんを避けるようになった。








時間が経てば、この理由のわからないモヤモヤも消えると思った。









そして一ヶ月近く経とうとしていた時。









その知らせは突然だった。









「え、佐々木が!?……あぁ……はい……分かりました………失礼します」








私と間宮くんが帰り支度をしていると、フロアから部長の声が聞こえる。









「今佐々木さんって……聞こえませんでした…?」








「うん……」








私は秘書室から出て話を聞きに行く。








「どうかされたんですか…?」








「あぁ……今病院から電話があってな……佐々木が営業先の工場で怪我をしたらしい……」








「えっ…!?」









部長からその話を聞いて、私は血の気がひく。









「私…タクシー呼びます!」









「え?あ、あぁ…」









私はすぐにタクシーを手配し、部長と病院へ向かう。









病院に着いた私達は佐々木さんがいる病室へと足早に向かう。









ドクン………ドクン…………








心臓が痛い。









病室の扉を開くと、そこには起きて窓の外を見ている佐々木さんの姿があった。









「えっ……部長……青木…?どうして………」









「……………………」









「いやぁ、病院から連絡があってな……」










「それは…知ってますけど……大した事無いって……」










「僕は念の為、佐々木の顔を見てから帰ろうと思って……」








「あぁ……ありがとうございます………」










「………………………」









「青木さん…?大丈夫…?」









俯く私に部長が優しく声をかけてくれる。









「………はい…大丈夫…です……」








「青木さんが不安そうにしてたから一緒に来たんだが…一応大事には至ってないって話もしたんだけどね…」







「…………………」









「じゃあ…僕はそろそろ……佐々木も思ったより元気そうだし……」










「すみません病室まで来て頂いて…ありがとうございました」









部長が病室を出ると、私と佐々木さん二人になる。









「青木…大丈夫か…?」









「……………はい…………」









「椅子……座るか?」









私はベッドの横に置いてある椅子に座る。









「大きな怪我……してなくて……本当に良かった……」








「うん……」









「佐々木さんが生きててくれて……良かった……」









「……大袈裟だな」









そう言って佐々木さんが笑う。









「来てくれてありがとう。心配かけてごめんな」








「…………………………」









「え、青木…!?何で泣いてる……」









「…………………」








泣いている私をみて佐々木さんが焦っている。









「えっ……悪い…そんなに心配させちゃったか……」









「…………佐々木さんを……失うかも……って……考えたら……不安で……怖くて……たまらなかった…」









「……………………」









佐々木さんは何も言わない。









「青木……」








「はい………」









「俺は…もう大丈夫だから……青木は帰って」









「え…?」









「ほら、ピンピンしてるだろ?」








「…………………」









「………明日には退院出来るし、もう心配するな」









「……………はい」









なんとなく、突き放された気がした私は立ち上がる。









「………失礼……します」









私は病室を出て扉を閉める。









「はぁ…………俺も早く前に進まないと………」










そして二日後。










佐々木さんは会社に戻ってきた。









いつもと変わらない日常。








そして終業時間間際。









「紗和さん…?」









「ん……?」








「どうしたんですか?」









「なにが…?」









「……ずっと向こうの方見てるんで」









「え…?」









「佐々木さん…ですか」









「あ……うん……」









「…………退院できて良かったですね」









「うん……ほんとに…良かった……」









パソコンを閉じた佐々木さんが立ち上がりフロアから出て行く。









その後ろ姿を見て私は確信する。









この気持ちは依存なんかじゃない。









私は走って佐々木さんを追いかける。









「紗和さん!?どこ行くんですか!?」









フロアを出ると、エレベーターを待っている佐々木さんの姿が見える。









「佐々木さん……!!」









「青木…どうした…?そんなに慌てて……」









「あの…伝えたいことが……ちょっと来てもらえませんか…?」








私は使われていない会議室に向かうため佐々木さんの手を引く。









「どうした…?」









「紗和さーん?どうしたんですかー?」










遠くで間宮くんの声が聞こえる。









「間宮呼んでるぞ…?」









「………………」









「青木…?」









「……ちょっとここ入って下さい!」









そう言ってすぐそばのトイレの用具室に入り鍵を閉める。








「な、何…どうした…?」









ギリギリ触れるか触れないかで向かい合わせになる。









私の鼓動が早まる。









「あの…佐々木さん………」









外ではまだ間宮くんの声が聞こえる。









「私…確かめたいことが…あって……」









「確かめたい…事…?」








「佐々木さんといると…ドキドキするこの気持ちは…依存…ですか…?」









「………………」








「佐々木さんに…抱きしめて欲しいって思うのも…依存…ですか…?」








「………………」








俯き、そう呟いていた私は佐々木さんの顔を見上げる。








「佐々木さんと…キスがしたい…って思うのも…依存…ですか…?」








「え…?」








私が見つめていると佐々木さんが目を逸らす。








「佐々木さんは…もう…私のこと…好きじゃないですか…?」









私はじっと佐々木さんを見つめる。










「いや……それは……」










「好きじゃないならはっきり言ってください…」









「いや…………間宮の方がさ……青木と歳も近いし…俺は……」









「私は佐々木さんが好きです」










「……………………」










「佐々木さんの気持ち…聞きたいです」









「…………………………」









佐々木さんは何も言ってくれない。









心臓がキュッと痛くなる。









「…………わかりました……もう…大丈夫です…すみません急に呼び止めて……」










私は扉に手をかける。









すると、佐々木さんに腕を掴まれる。









私は振り返り佐々木さんの顔を見る。









「好きな気持ちは…変わって無い………」









私の目を見ずにそう言う。









「ほんと…ですか…?」









「本当だ…」










その言葉に私は嬉しくて佐々木さんに抱きつく。










「嬉しい…!」










「…………本当に…俺で良いのか…?」










「佐々木さんが良いんです……」










そう言って佐々木さんを見つめる。










「キス……します?」










「は!?何言って…………痛てっ!!!」









佐々木さんが焦って私から離れようとした拍子に掃除用具に足をぶつける。









「しーっ!間宮くんにバレますよ…!」









「青木が変な事言うからだろ…!」









「好き同士なんだから良いじゃないですか…!」










「ここ会社だぞ…何考えてるんだ……」









「じゃあ会社じゃなければ良いってことですか?」









「………ほら、もうそろそろ間宮の所戻れ。あいつ待ってるぞ」









そう言って用具室のドアをそっと開く。









なんか………はぐらかされた。










「じゃあ…お疲れ」










「お疲れ…さまです…」










私は納得いかない表情を浮かべながらデスクに戻った。









「ちょっと紗和さん!どこ行ってたんですか!?明日のスケジュールの確認しないと帰れないですよ…!」









「ごめん…ちょっと急用思い出しちゃって…」










「…………お詫び…してくれます?」









「上がる時間過ぎちゃったもんね…ご飯奢るから許して…?」








「……じゃあいつもの定食屋で」








「了解!」








そして定食屋に着いた私達はご飯を頼む。









「紗和さん…なんかソワソワしてません?」









「え…そ、そう?」









「なんか…良い事でもありました?」









「何もないよ……ほら…食べよ…!」








間宮くんからの疑いの視線を感じながらもなんとかごまかし、ご飯を食べ終えたあと間宮くんと別れた。

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