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あなたが愛しすぎて  作者: m.
15/34

エレベーター

ー月曜日ー








金曜日は色々なことがありすぎて、疲れてしまった私は結局土曜日、日曜日と家でボーっと過ごした。










今日から会社復帰…頑張らないと…










「おはようございます…!」









「青木さんおはよー!久しぶりだね〜有給休暇楽しんだ?」









「はい!リフレッシュできました…!」









部署のみんなが次々話しかけてくれる。









今じゃ普通に接しているけど、この環境も佐々木さんが作ってくれたんだよね……









「………おはようございます」









「おはよう間宮くん…!電話もらってたのに出られなくてごめんね…」









「紗和さん、大丈夫ですか」









「え、何が…?」









なんだか間宮くんの様子がおかしい。









殺気立ってるように感じる。








「………仕事終わったら時間もらっても良いですか」








「うん…良いけど……」









そしていつも通り仕事を始める。










でも間宮くんは全然喋らない。









どうしたんだろう……










ーPM12:00ー









「間宮くん…休憩………」









「近くのカフェに行きましょう」









「う、うん……」








カフェに着いた私達は向かい合って座る。









「アイスコーヒー1つ」









「え…それだけ…?体調…悪い…?」










「大丈夫です。紗和さんは気にせず食べて下さい」










「うん…じゃあ…ランチプレートで……」









「かしこまりました」









「間宮くん……やっぱり何かあったの…?私話…聞くよ?」









「………今話せる内容じゃないんで」










ーPM6:00ー









「間宮くんすごいね……!ほとんど仕事終わらせてるんだもん…!もう立派な社長秘書だね!」









「……………」








「間宮くん?」









「もう時間なんで、話良いですか?」









そう言うと席を立ち上がる。









「あ、うんそうだね…!じゃ行こっか……」









デスクの電気を消し、私達はエレベーターへ向かう。










「………間宮くん…何があったの…?」










「それはこっちのセリフです」









「え…?それってどういう………」








ポーン








エレベーターが到着し、扉が開く。








エレベーターは誰も乗っておらず、私と間宮くんの二人きりだ。








「「……………………」」








ポーン








下に降りている途中で、また扉が開く。








「あ……佐々木さん…お疲れ様です…」









「………お疲れ……」









「……………………」









佐々木さんと会うのも金曜日ぶりだ。











「「「…………………………」」」











き、気まずすぎる………










私は早くエレベーターが着かないかと、数字を目で追う。









………と、その時だった。








ガコンッ








すごい音がして、エレベーター内が暗くなる。










「え…何!?」









「紗和さん大丈夫ですか!?」









「あ…うん…大丈夫……」









間宮くんと佐々木さんがスマホのライトで足元を照らす。








私もバッグからスマホを取り出し、エレベーター内を照らす。








「すみません、エレベーターが止まったんですけど」









佐々木さんが非常ボタンを押し状況を伝えてくれる。








「ただ今原因追求しておりますので、しばらくその場でお待ち下さい。中に居るのはお一人だけですか?」








「あと二人居ます」








「三人共、お怪我はありませんか?」








私も間宮くんも首を振り佐々木さんがそれを伝える。








「分かりました。またご連絡します」








「…………………」








「…………………」









「こんなこと…ほんとにあるんだね……」








三人のスマホのライトで照らされているとはいえ、エレベーターの中は少し薄暗くて怖い。









すると間宮くんがその場に座り込む。









それを見て、私と佐々木さんも座る。









「すみませーん!」








その声に佐々木さんが立ち上がり非常ボタンへと向かう。








「はい」








「原因が分かりました、ただ復旧に一時間程かかると思います。何かありましたらすぐにご連絡下さい」









い、一時間………








「……………………」







「………………………」








私は沈黙に耐えられず口を開く。








「三人でいる時に止まるなんてすごいタイミングだね…」







そう言って笑う。








「…………そうだな」







「……………………」









どうしよう…会話が続かない。








私は何か話題はないかと必死に頭を回転させる。








「あの、紗和さん。話なんですけど」








「え…今…?」








「佐々木さんにも関係ある事なんで」








「え…?」








「土曜日に、前に紗和さんと行った定食屋で会った男に会ったんですよ」









「………それって…………矢吹……さん……」









私はまたあの光景を思い出して、胸が苦しくなる。









「で、紗和さんにあの時の事謝ってて欲しいって言われて。酔った勢いでつい…って」









「…………………」








「意味が分からなかったんで詳しく話聞こうと思ったんですけど、逃げるように行ってしまって。で、昨日ニュースで見たんですよ。あの人が逮捕されたって」









「…………………」









「何があったんですか?紗和さん」









「その事はもう……」









「佐々木さんは黙ってて下さい。紗和さんに聞いてるんで」








「………………」








「そう簡単に話せる事じゃないんだよ……もう逮捕されてるんだから良いだろ」








「あの人に何かされたんですよね、俺言いましたよね?気を付けろって」









「……………」








私は気持ちを落ち着かせるように右手を左手でさする。








「どうして二人きりで会ったりしたんですか?危険だと思わなかったんですか?」









「………………」










「間宮。もう良いだろ、これ以上は」









すると間宮くんが大きくため息をつく。










「……佐々木さん、あなたの知り合いですよね?なんで紗和さんこんな危険な目に遭わせたんですか?」








「………それは…本当に申し訳無いと…思ってる……」









「……ふざけんな」









間宮くんがそう小さく呟く。









「間宮…くん……?」









「……だったらちゃんと守れよ!!!」









そう言うとスマホを投げ捨て、勢いよく佐々木さんの方へ向かっていく。









「ちょ……間宮くん!?」










佐々木さんの胸ぐらを掴み殴りかかる。










「謝るぐらいならちゃんと守れって!俺お前もあいつもぜってー許さねーから」










「間宮くんっ!やめて!!」










こんな間宮くん初めて見た。










「お前のせいだっ…」









私は必死に佐々木さんから間宮くんを引き剥がす。










「ふざけんな…紗和さんの事傷つけやがって……」










そう言うとまた佐々木さんのことを殴りだす。









「……っ………」









「間宮くん、お願いだからもう…やめて…!」










そう言っても間宮くんはやめない。










薄暗くて、佐々木さんの状態が見えない。









「お願い……だから……やめ……て………」










私は震える両手で顔を覆う。










「……………………」









私の状態に気付いた間宮くんが佐々木さんから離れる。









「紗和さん……?」








「…………………」









間宮くんが震える私を抱きしめる。










「紗和さん………ごめん………」









「…………………」










体の震えが止まらない。









「全部…私が悪いから……お願い…佐々木さんのこと……傷付け…ないで……」










「分かりました…分かりましたから……」









「……………………」









私はゆっくり間宮くんから離れて佐々木さんの近くへ行く。










「佐々木…さん……大丈夫…ですか…?」









「……あぁ………」









佐々木さんに近づくと口から血が出ているのが見える。









「……っ……ごめんなさい……」










私は佐々木さんの頬に触れる。










「大丈夫…か…?」









「え…?」








「青木は…大丈夫か…?」










「……私のことは…良いですから…」










「……良くない…まだ辛いのに………不安にさせて…ごめん」









「血が…ごめん…なさい…私のせいで……」










頬から涙が伝う。









「青木のせいじゃない…間宮の…言ってる事……何も間違ってない…から……俺が青木の事もっと早く…助けられてたら……」










「そんなことない…!…佐々木さんが…来てくれたから……私あれ以上は何も……されなかった……」










「……俺が…全部悪い……」










そう独り言のように呟く。










私はバッグを取るため佐々木さんから離れる。










「紗和さん……すみません」









「………………」








私はなんて答えていいかわからずバッグを取り佐々木さんの所へ戻る。









持っていたハンカチで佐々木さんの血を拭う。









「紗和さん……俺…紗和さんの事、好きです」









「え…?」









その急な告白に私は後ろを振り返る。









「だから…今回の事……許せないです」








「……………」








「あいつも……佐々木さんも」








「……………」








「俺、紗和さんの事本気なんで…紗和さんも俺の事ちゃんと考えてもらって良いですか?」








「……………」









「紗和さんは俺が守ります」








「え…あ…の………」








私が言いかけたその時だった。









ポーン









エレベーターが明るくなりボタンが再び光る。









明るいエレベーターで見ると佐々木さんの傷は思った以上に酷く痛々しかった。









するとエレベーターが開き、そこには佐々木さんの姿に驚く救急隊員がいた。










「えっ……大丈夫ですか!?」








救急隊員の一人が佐々木さんに駆け寄る。









私達も別の隊員に話しかけられ、エレベーターの外へ出る。








怪我のない私と間宮くんはすぐに解放されたけど、佐々木さんは応急処置が必要だった。








「間宮くん…先帰ってて……私佐々木さんの処置が終わるまで待ってるから……」









「…………分かりました」









間宮くんが帰ってから数分後、佐々木さんの処置が終わった。









「佐々木さん…!大丈夫ですか…?」









「待ってて……くれたのか?」









「こんな状態の佐々木さん置いて帰れないです……」









「悪い…心配かけて」










私達は佐々木さんの車が停めてある駐車場へ向かう。








「………どうして…間宮くんに抵抗しなかったんですか…?」








「………殴られて当然だと思ったから」










「殴られて当然!?何言ってるんですか…!?もっと酷い怪我負ってたかもしれないんですよ!?」









「これ位…青木の心の痛みに比べたら……何とも無い」









その言葉に心がキュッと痛くなる。









私は立ち止まり俯く。









「青木……?」








「……………………」









「どうした……え!?何で泣いて………」









「そんなこと……言わないで下さい………そんな怪我して平気なんて………」








「え……」








「私は…佐々木さんが傷付いてる姿見るのすごく辛いです……だから…そんな悲しいこと……」









「ごめん…もう言わないから………泣くなって……」










そう言って私の頭を優しく撫でる。









私は佐々木さんの前ではなぜか簡単に泣いてしまう。








「佐々木さん……運転できそうですか…?」









「うん、顔だけだから平気」









「じゃあ気を付けて帰って下さいね…?」










「送るから乗って」









そう言って助手席のドアを開けてくれる。









「大丈夫です…歩いて帰れるので……」









「お前の事守るって言っただろ」









「………そこまで守ってもらわなくても平気です…」









「………まだ気持ち落ち着いてないだろ…?あんな事があったばっかりなのに今日の事も……」









「…………………」









「遠慮するな、ほら」









そう言うと優しく微笑む。









「すみません…ありがとう…ございます……」









二人で車に乗り込むと少しの沈黙が流れ、私は口を開く。









「佐々木さん……」









「ん…?」










「佐々木さんは…私のこと守るって言ってくれますけど…私は何をお返ししたら良いんですか…?」










「別に何も要らない」










「それじゃ佐々木さんになんのメリットもないじゃないですか……」








「大切な人の力になりたい。そこに見返り求めないだろ普通」








「なら…佐々木さんの気持ちは誰が満たすんですか…?」








「青木が救われたら…じゃないか…?」









「そんなことで…満たされるんですか…?」








「そんな事…じゃないだろ。お前のトラウマは」








「…………………」








佐々木さんの嘘の無い、心のこもったその言葉が私の心を少しだけ軽くした。

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