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あなたが愛しすぎて  作者: m.
14/34

最悪な出来事

ー金曜日ー









私は気になっていた映画を観るため、近くのショッピングモールに来ていた。









レイトショーで映画を観終えた私は散歩がてら少し歩くことにした。









あと二日で自宅待機も終了かぁ……









早く仕事に戻りたいな………









そんな事を考えながら夜の街をブラブラと歩く。










「あれ…紗和ちゃん…!?」










「あ…矢吹さん…?お久しぶりです…」











そこにはおそらく酔っているであろう矢吹さんの姿があった。










「えーまた会えて超嬉しい!こんなとこで何してんの?一人?」










「あ、はい……今から帰る所で……」










「そうなの!?夜はこれからじゃん!明日休みっしょ?」










「あぁ…そう…ですね……」











「カラオケ行かね?」










「え…でも………」









「…………直人さんも来るよ?」










「佐々木さんも……?」










「あ、そうだ。確か直人さん紗和ちゃんに大事な話あるって言ってたな……」









大事な話…?なんだろう……










「すぐそこのカラオケだからさ、な?」










「じゃあ、少しだけなら……」









「よしっ決まり〜それじゃ行きましょーっ」









私達は近くにあるカラオケ店に入る。








部屋に入ると、矢吹さんがスマホを見る。








「………直人さん少し遅くなるって」









「そうですか…」









「俺ちょっとトイレ行ってくるから何か適当に頼んでて」










そう言うと部屋を出て行く。










私はメニュー表を開きドリンクメニューを確認する。









〜♪









「はい、もしもし」









「あ、俺だけど…青木この前車にイヤリング落としただろ」









「あ……落としました…!佐々木さんの車にあったんですね…良かった……あれお気に入りなんです」










「今気付いてさ、月曜日に渡して良いか?」










「あ、佐々木さん今カラオケ店向かってるんですか?会った時についでに受け取りま…」










「何の話だ…?」









「え?矢吹さんとカラオケの約束してるんですよね?佐々木さん私に話があるって……」









「矢吹…?いや…約束なんてしてない……」










「え……?」









「…………青木今どこに居る!?」










「えっと……ここどこのカラオケなんだろ…初めて入ったので…私の家の近くのショッピン………」










と言いかけた所でスマホを取り上げられる。









「矢吹…さん?どうしたんですか…?」









「誰と話してんの?」








「佐々木さんです……あの、佐々木さんカラオケのこと知らないみたいだったんですけど……」









「だろうな。そんな約束してねーし」










「え…?どういう…ことですか…?」









「だってそうでも言わないと紗和ちゃん来てくれないでしょ」










そう言って隣にドンッと座り込む。










「………………………」








その態度に私の鼓動が早くなる。








「…………あの……私……帰ります………」










立ち上がろうとする私の肩を両手で押さえ込み無理やり座らされる。










「どうしたの急に」









「佐々木さんが…来るって言うから私………」










「そんな寂しいこと言うなよ……な?」










そう言うと私の頬を触る。








「俺さ…紗和ちゃんとずっとこうしたかったんだよね」









そう言うと矢吹さんの顔が近付く。









私は思わず顔を背ける。









「チッ……避けんなよ…………」








そう言って背ける顔を戻し強引に私の唇に触れる。









「良い子じゃん……」









そう言うと私は矢吹さんの体をゆっくり押し倒す。










「矢吹……さん………」









「何?」









「こんなこと……したら…佐々木さん…悲しみます…」








そう言ってるそばから私に何度もキスをする。









「何言ってんの。紗和ちゃんもキス受け入れてんじゃん」









そう言って今度は私の体を服の上から触り始める。










「もしかして紗和ちゃんもその気だった?」









そう言って私の服を上までめくる。










私は思わず両手で胸を覆う。









「隠すなって…紗和ちゃんそのスタイルずりーな…」









そう言って私の両手を上にあげ押さえつける。










「矢吹…さん…やめて…下さい……」









「ほんとにそう思ってるならもっと抵抗しろよ」









そう言って今度は私の太ももを触る。










「佐々木さん…大切な人じゃ…ないんですか…?」










「……さっきから佐々木さん佐々木さんうるせーな」








そう言うと私を睨みつける。










「ご……ごめん……なさい…………」










「…………謝ってる顔も可愛いな」











笑いながら体を触りまたキスをする。










「やべ…もう我慢できねーわ」











そう言って自分のズボンのベルトを外す。










「……………………」










ドンッ









急な物音に驚いた矢吹さんがドアの方を振り返る。












「え…直人さ………」










「お前…何してんだよっ!!」









矢吹さんが私から離れた瞬間に私は急いで服を整える。










「いや…これは……紗和ちゃんが俺を誘って……」











「お前…何でっ……!」










そう言うと佐々木さんが矢吹さんに掴みかかる。











「佐々木さん…私なら大丈夫…ですから………」











「ほら!紗和ちゃんもこう言ってるし…」










その言葉で佐々木さんはまた矢吹さんに殴り掛かる。









「佐々木さん…!やめて…くださいっ…」










私の言葉で佐々木さんの手がピタッと止まる。










佐々木さんの腕から離れた矢吹さんはその場から走って逃げて行く。










「おいっ…待て……」









佐々木さんはドアの方に行こうとして、足を止め私の方を見る。









「…………………………」









佐々木さんは私に近付き無言で優しく抱きしめる。









「……………………」









「…っ……何で…こんな事に……」








「……………………………」









「とりあえず…ここを出よう……」









そう言うと私の腕を引く。









「あの…佐々木さん…」









「…………………」









「先に…お手洗い行っても…いいですか…」









「………分かった」










私はドアを閉めると、口の中をゆすぐ。









手が震えて水が上手く口に運べない。










気持ちが……悪い









体にあの人が触れた感触が残っていて、とてつもなく気持ちが悪くて吐き気がした。










私はその場でしばらくしゃがみ込む。









ガチャ









「大丈夫…か…?」









「……はい」








私は佐々木さんと車の方へ歩いていく。








バタン








私達は車の後部座席に乗る。









ドアを閉めた途端、また佐々木さんに抱きしめられる。








「ごめん…怖かったよな……本当に…ごめん………」









「……………………」









「あいつに……何か……変な事………」









「私が…悪いので……」









「え…?何言ってる……」










「…………私が矢吹さんに勘違いさせちゃって……その気にさせちゃって……だから…私が悪いんです」










「そんな訳…無いだろ…?」










佐々木さんゆっくり私から離れる。









「……………青木?」









「はい…?」









「何で笑ってる…?全然笑い事じゃないだろ…!?」









「だって…佐々木さんがすごく心配してるから…私なら平気なんで…」










「………………………」









過去の感情が蘇り、私の心は乱れていた。










「油断…したなぁ…最近…優しい男の人ばっかりだったから…」










そう独り言のように呟き、私は笑う。










「…………前にもこういう事あったのか…?」










「………………」









「青木、前にもあったのか!?」









「なんですか?これ…私取り調べされてるんですか?」









「真面目に話聞けよっ!!」









佐々木さんがすごい形相で聞いてくる。










「……話す必要……ありますか?」









「………さっきお前がされた事は普通じゃないって事は分かってるよな?」









「なんか……佐々木さん刑事みたいですね」









「質問に答えろ」









「佐々木さん怖いですよ……」









「抵抗はしたんだよな?」









「………………」









「……力ずくで抵抗したか?」









「力で勝てないですもん……私……それに…抵抗…したらもっと乱暴にされるし……抵抗しない方が優しくしてくれますし…」









「してくれるって言い方おかしいだろ!?お前被害者なんだぞ!?あいつがした事は犯罪なんだよ!!」









その強い口調に私はビクッとなる。









「わかって…ますよ……そんな大声出さないで下さい……」








「青木………頼むから、あんな事されるのが普通だと思わないでくれ……」









「………………」









「あいつのしてる事は最低の犯罪なんだよ……」









「そんなの…わかってます……でも…力で勝てないのにどうしろって言うんですか…?佐々木さんが護衛でもしてくれます…?」









私は冗談まじりでそう言う。









「青木がそうして欲しいなら傍に居る。全力でお前を守る」








「そんなの……佐々木さん好きな人居るんでしょ…?優しいにも程がありますよ…?」









すると佐々木さんが私を再び抱きしめる。









「大切だから……青木の事……」









「だから…こういうことしちゃダメですって……」









私は佐々木さんから離れる。








「佐々木さんには……そういうこと……して欲しくないです……好きな人がいるのに…私にこんなこと…しないで…下さい」









そう言うと佐々木さんは深くため息をつく。









「こんな時に言う事じゃないけど…」









「………?」









「俺が好きなのは青木…お前だよ…」









「え…?」









「好きだから…支えたいし……守りたいんだよ…」









「え…ちょ……何言ってるんですか…?大丈夫ですよ…そんな気を遣わなくても…」









「嘘……ついてるように見えるか…?」









そう言うと私の目をまっすぐに見つめる。









「……でも私…佐々木さんのこと……」









「青木が俺の事異性として見てないのは分かってる。それでも青木の事…助けたい」









「助ける…って何をですか…?」









「過去に…何かあったんだろ」










「…………………」










「少しずつで良いから…俺に話…出来ないか…?」









「…………嫌です」









「青木が過去の事思い出したくない事は分かってる」








「なら…どうしてそんな事言うんですか…?」









「俺が警官だった頃……青木みたいな子に何度か出会ってるんだよ…」









「私みたいな…」









「青木みたいに…そういう経験…して…抵抗しない方が利口だ…って思い込んで……鬱状態…になって…」










「………どう…なったんですか…?」









「自ら…命を………」









「…………………」









その言葉に全身が震える。









「ただ…その中には…過去のトラウマを話す事で…その出来事を乗り越えて、今幸せな人生を歩んでる子も何人か居る」








「………どうして……話すことが乗り越えることに……繋がるんですか……」








「一人で抱え込まないで、誰かに話して気持ちを共有する事で心の負担が減って、気持ちが少しずつ前に向くはずだ」








「…………私別に心に負担なんか……」








「……こんな事言いたく無いけど、さっきの青木の態度は普通じゃない」








「………………………………」








「心の奥底に大きな傷があるんだよ」








「………………………」









「青木にも…ちゃんと…乗り越えて欲しい」








「…………………………」








「…………………………」









「話せるかどうか……わかりません」








「うん…焦らなくても良い……ゆっくりで…良いから……」








私を抱きしめる佐々木さんの体が震えていたから、本気で私のことを心配していることが痛いほど伝わった。








だから私もその気持ちにちゃんと向き合わないといけないと思った。









「あ…の……佐々木さん…?」









「どうした…?」








「いつまでこうして……」









そう言った瞬間に佐々木さんがパッと私から離れる。









「わ、悪い…あんな事あったのに……これは別にやましい気持ちとかじゃなくて……」









「わかってます…佐々木さんのことは信頼してるので……軽い気持ちでこんなことしないって…」









それに…佐々木さんに抱きしめられると不思議と安心できた。









「………警察署…行けるか?」









「警察署…ですか…?」








「今日の事、話さないと……あいつを野放しには出来ない」







「………………」








「辛いと思うけど…」









「あの…一人で行くのは…怖い……です……」









「俺も一緒に行くから心配するな」









それから私は佐々木さんと共に警察署へ行き、今日のことを話した。








「佐々木さん…ありがとうございました」








「辛いのに…良く頑張ったな…」








「あの……矢吹さんのこと……ごめんなさい…佐々木さんと仲良かったのに私のせいでこんなことになってしまって…」








「そんな事言うな。もうあいつは俺の中で関係ない存在だから、青木は自分の事だけ考えてろ。俺とあいつがどうとか何にも考えなくて良いから」








「すみません…ありがとう…ございます」







「青木…」







「はい…」







「怖い思いさせて…辛い思いさせて……本当にごめん…俺があいつと青木を会わせなければ…こんな事には……本当に…」









「佐々木…さん…?」









俯く佐々木さんの手が震えている。









「なんで…泣いてるんですか…?泣かないで下さい……」








私は佐々木さんの背中をさする。









「もう…あんな思い……二度とさせないから……」








あの人が逮捕されたのはそれから二日後のことだった。

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