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あなたが愛しすぎて  作者: m.
12/34

パワハラ

そのまま家に帰る気分になれなかった私は、居酒屋へ向かう。








注文した生ビールを一気に飲み干す。








「……すみません、おかわり」









「はい!」









運ばれてきたビールをすぐに飲み干す。










「おかわり…お願いします」









「お姉さん今日飲むっすね…大丈夫ですか?」










「はい…大丈夫…です……」









と、その時だった。









「青木…?」








私が振り向くとそこには佐々木さんの姿があった。










「あ…お疲れさま…です」










「お疲れ…」









佐々木さんが隣に座る。









「お姉さんお待たせしましたー!生です」










「ありがとう…ございます…」









私はそれをすぐに飲み干し、席を立つ。









「私…帰りますね」










「え…?今来たばっかりじゃないのか?」









「………もう充分飲んだので」









ふらつきを必死に抑えながら、レジへ向かう。









「青木…ちょっと待て…」








「…………………」










支払いを終えて店を出る。









ガラガラガラ









「青木っ……」









佐々木さんが私の後を追いかけてくる。








「…なんですか…?」









「何かあったのか…?今日ずっと変だぞ…?」










「別に…なにもないです」









「本当か…?」









「あの…もう私帰るので……」









「じゃあ…何で避け………」








「直人せーんぱいっ!」









その言葉に振り返るとそこには楓ちゃんがいた。








「楓…ちゃん………」









「何してるんですか?二人で」









「な、なにも…たまたま会っただけで…私帰る所だから……それじゃあお疲れさまでした」









私は会釈して二人から離れる。









「青木…ちょっと……」









「直人せんぱい行きましょ!」









「………………………」









私は少し早歩きで家路へと急ぐ。









「青木…!」









その声に私は振り返る。









「佐々木さん…?どうして………」









「何で逃げるんだよ」









「別に…逃げてる…わけじゃ……それより楓ちゃんは……」









「……俺の事避けてるだろ」









「…………………」








「何で急に……」









「私が……佐々木さんと一緒にいると……楓ちゃんが気にするから……」









「は…?それどういう意味だよ」









「佐々木さん…楓ちゃんのこと振ったんですよね」









「何でそれ知って……」









「楓ちゃんから…聞きました」









「…………何で青木に話するんだよ…」









「私が……佐々木さんに…気持ちがないならちゃんと断った方がいいって言っちゃったから……私のせいなんです…」









「青木のせい…?何でそうなるんだよ…」









「…………とにかく、もう佐々木さんと一緒にいる所楓ちゃんに見られたくないので…」









「涼宮に…何か言われたのか…?」









「……もう…帰っても良いですか…」









「待てって」









歩き出す私の腕を佐々木さんが掴む。








「涼宮に何言われたのか知らないけど、青木と一緒に居ても居なくても俺の気持ちは涼宮には絶対向かない」








「…………………」








「それよりも、青木の方が心配だ」









「私は…大丈夫です……別に」








「じゃあ……何で今にも泣きそうな顔してる?」









「……そんな顔…してないです」









「涼宮と何かあったんじゃないのか…?」









「…………何も…ないです……」









「…………………」










佐々木さんが私の顔をじっと見つめる。










私は佐々木さんからパッと目を逸らし歩き出す。









するとまた腕を掴まれる。









「…………離して……下さい」









「………………」









これ以上一緒にいると……ダメだ。









「もう……ほっといて下さい……」









「青木……ごめん…」








「………………………」









その言葉になぜか涙が溢れて止まらなくなる。









「青木を巻き込んでしまって…ごめんな」









「だから…違う…って言ってる…じゃないです…か……」








「……………………」








佐々木さんは泣いている私に何も言わずただ隣にいてくれた。













しばらくして、落ち着いた私は口を開く。







「私…人前で絶対泣きたくないし……泣いたことなかったのに…」








「………そうか」









「見なかったことに…して下さい」








「別に泣くのは悪い事じゃないだろ」







「それでも…嫌なんです」








「………そうか」








そう言って佐々木さんが笑う。








「佐々木さん………」








「ん?」








「お腹……空きました」









「……だろうな。お昼も食べてなかったもんな。居酒屋戻るか?」









「……………………」









「……どうした?」









「いえ……大丈夫です……帰ります」









「…………涼宮の事か?」









「楓ちゃんに誤解されたら困るので……」









「…………なら俺の気持ちはどうなるんだよ」









「え…?」








「さっきも言ったけど、俺の気持ちは青木と居ても居なくても変わらないんだよ」









「そんなの…わからないじゃないですか……」









「いや、絶対だ」









「そんなはっきりと……」









「俺の気持ちは涼宮に向かないのに、青木に勝手に気を遣われても迷惑だ」









「……………………」









「それでも帰るか?」









「ご飯…食べたいです」









私のその一言で私達は歩いて居酒屋へと戻る。










「佐々木さん、何飲みます…?」








「ビール」








「じゃあ私も……」








「お前はやめとけ、飲みすぎだ」








「えー?料理食べながら飲むのがいいんじゃないですか…!」








「ダメだ。ご飯だけにしろ。明日後悔するぞ」








佐々木さんに強く止められ私はしぶしぶ料理だけ頼むことにした。








「おいしかった…!やっぱりご飯がおいしく食べられるって幸せですね…」









「……いつも通りの食欲旺盛な青木に戻って安心した」








「食欲旺盛って…!そんなに食べてないですよ?私…」







お店を出て、佐々木さんはいつものように私を送ってくれる。







「それで、結局涼宮に何か言われたのか?」









「…………いえ…別に」








「……お前本当に嘘が下手だな」










「……楓ちゃんには何も言わないで下さい…お願いします…」








「………分かったよ。ただ、また青木を傷付けるならその約束は守れないからな」









「…………………」








「青木?」








「なんですか、そのカッコいいセリフは……佐々木さんは私のヒーローか何かですか?」









そう言って笑う。









「青木は俺にとって大切な……………後輩……だからな…」








「あら、私愛されてますね」









「………からかうな」









「すみませーん…!」









そう言ってまた笑う。









そして次の日。








〜♪








「おはようございます…どうされましたか…?」









「あぁ出社早々悪いんだけどさ、今大丈夫?」








「はい…」








コンコンコン







ガチャ







「失礼……します」








「悪い……ちょっと、そこ座ってくれる?」








私は黒崎社長と向かい合わせで座る。









「実は…青木からパワハラを受けたと匿名で報告があって……」








「パワハラ…!?」









「身に覚えはあるか……?」








「ないですっ…!」








「だよな……もちろん青木がそんな奴じゃないことはよく分かってる。でも会社としてはこういう事があるとサラッと流すわけにはいかなくて……」








「はい………」









「青木には悪いんだけど、明日から来週の日曜日まで自宅待機してもらえないかな…?その間有給扱いにするから」








「自宅待機…ですか…?」








「青木には悪いけど…」








「わかり……ました……」









私は社長室を出ようとドアノブに手をかける。









「あ、青木」








「…はい」








「これ、貰い物の温泉のペアチケットなんだけど…良かったら」







私は社長からチケットを受け取る。








「ありがとう…ございます……」









私がフロアに戻ると、間宮くんの姿があった。








「あ、紗和さんおはようございます、どこ行ってたんですか?」








「…………………」









「紗和さん…?」








「………あーちょっとね…!間宮くん、私明日からしばらく休むからさ…申し訳ないんだけど仕事引き継いでもらっていい?」








「え……休むってどうしてですか?」








「んー…有給…?溜まっちゃってて……!しばらく休めって社長が…」








「………そうですか。分かりました」








ーPM12:00ー









私は大きく伸びをする。








「んーーっ疲れたぁ…………」








「そろそろお昼行きます…?」








「あー私はいいや……!間宮くん行ってきていいよ!」








「腹、減ってないんですか?」








「あー……えっと…ダイエット中?最近食べすぎてたから…」








「………じゃ、俺行ってきますね」









「うん…!行ってらっしゃーい」









私は間宮くんを笑顔で見送る。









デスクから離れ、近くの窓を開ける。










頭の中をグルグルと色んな思考が回る。









私は気を紛らわせるように外の景色を眺める。







ガチャ








「あれ…間宮くん………どうしたの?」







「……これ」







と言って紙袋を手渡される。








「ん?何これ………」








「スープです。これ位なら飲めますか?」









「え…?なんで………」









「少しは腹に入れないと元気出ないですよ」









「私…元気…だよ?」








「…………ここのスープ美味いんで、飲んで下さい」









「う、うん…ありがと……」








私達はデスクに戻り椅子に座る。









「いただきます……………わ、超おいしい…!」








「でしょ」








そう言って間宮くんが微笑む。








「なんか…気遣わせちゃって…ごめんね」








「何かありました…?」








「うぅん…大丈夫……」








「……………………」








「ねぇ……間宮くん……」









「……はい?」









「私そんな顔に出てるかな…」









「………出てますね。紗和さん、分かりやすいんで」








「………………」








「……それがどうかしました?」









「私……結構ごまかすの上手い方なんだけどな…」









「そうなんですか?」








「今までバレたことなかったんだけど…」








「それって、紗和さんの事ちゃんと気にかけて見てない人だったからじゃないですか」







「え…?」









「紗和さんの事、大事に思ってる人だったらすぐ気付きますよ」









「………………」








「…?」








「あ…スープありがと…おいしかった」









「それなら良かったです」








「……ん?」








「どうしたんですか?」








「てことは間宮くんは私のこと大事に思ってくれてるってことだよね?」








「………そう…ですけど」









「嬉しいなぁ…私も間宮くんのことすっごく大事だよ」







「え…!?」








「間宮くんめちゃくちゃ良い子だし、今まで私一人だったからさ…秘書仲間ができて嬉しかったんだよね…」









「あぁ、そういう事…ですか」








「ん?」








「…いえ」








「私が休んでる間…よろしくね…?」








「…はい」







こうして、私はしばらく会社を休むことになった。

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