楓ちゃんの想い
佐々木さんの体調が治って、久しぶりにお昼を一緒に過ごした。
「佐々木さんの体調が良くなって安心しました…!」
「青木のお陰だよ。ありがとう」
「いや…私は何も……」
「今度お礼させてくれ」
「お礼なんて…別にいいですよ……」
「それじゃ俺の気が済まない…」
「それより…楓ちゃん誘ってあげて下さい…!楓ちゃんも佐々木さんの看病してくれてましたし…」
「いや…涼宮はさ……」
「楓ちゃんもすっごく佐々木さんのこと心配してたんですよ…?」
「それは……」
「もしかしたら楓ちゃんが佐々木さんにとって大切な人になるかもしれないですし…」
「いや……でも俺………」
「………?」
「涼宮の気持ちには応えられない…」
「そう…ですか……」
「……あぁ……」
「でも…佐々木さんにその気がないなら、きちんと楓ちゃんに言った方がいいですよ…?」
「そう…だな」
ー一週間後ー
私は楓ちゃんに呼び出されていた。
「楓ちゃんどうしたの?こんな時間に……」
「紗和せんぱいとすこーしお話がしたいなぁって思って♪」
「それは嬉しいけど……」
「紗和せんぱい、直人せんぱいに何か言いました?」
「何かって…?」
「私、直人せんぱいに振られたんですよねぇ」
「あ………」
「紗和せんぱいが何か言ったからじゃないですかぁ?」
「あ…え……と……」
すると楓ちゃんがバッグから何かを取り出す。
ピッ
「佐々木さんにその気がないなら楓ちゃんにきちんと言った方がいいですよ………」
この音声……私がこの前佐々木さんに言った………
「これせんぱいですよね?」
「そう…だけど………どうしてこの会話……」
「そんなことはどうでもいいんですよっ!!私、まだ直人せんぱいに告白するつもりなかったのに…もう少し仲良くなってからって思って…」
「……………………」
「早く私を振らせて、自分のものにしたいとか思ったんですか!?」
「え……違う……違うよ…?」
「じゃなんなの!?」
「ごめ……ごめんなさい……楓ちゃんが傷付くと思って私……」
「………まじで迷惑なんですけど」
「本当にごめんね……私…余計なことを……」
「大体、私が直人せんぱいのこと好きって知ってるくせに青木せんぱいがいっつも仲良くしてるから私のこと好きにならなかったんじゃないですか!?」
「え……」
「反省してるなら……協力してくださいよ」
「協力…?」
「私と直人せんぱいの距離が近付くようにですよ」
「それ…は……」
「やっぱり直人せんぱい取られるの嫌なんですか?」
「そうじゃなくて……」
私がそう言うと、楓ちゃんが手に持っていた水を私の頭からかける。
「…………………」
「協力…してくれますよね?」
「………わか……った……」
「それじゃ、また連絡しますねっ!」
そう言って楓ちゃんは向こうに歩いて行った。
ー次の日ー
私は一睡もできないまま準備をして家を出る。
職場に着くと、楓ちゃんが視界に入る。
「おは…よう……」
「紗和せんぱいおはようございまーすっ」
楓ちゃんは私に笑顔を向ける。
「間宮くん、おはよう」
「おはようございます」
私はパソコンを開き、今日の業務内容を確認する。
「……間宮くん明日佐藤さんにお渡しする手土産私買いに行ってくるね」
「…俺も行きます」
「私一人で大丈夫だよ」
「あの和菓子店人気店なんで結構並びますよ。待ってる間紗和さんと仕事の話もできますし」
「……じゃあ一緒に行こっか」
私達は社用車で和菓子店に向かう。
「ほんとだ…すごい並んでるね」
「これは…一時間超えそうですね」
列の最後尾に並び、順番を待つ。
「紗和さん」
「…ん?」
「何か…ありました?」
「何かって?」
「なんか、元気無いように見えたんで。気のせいだったらすみません」
「……なにも…ないけど」
「…そうですか。何かあれば言って下さい。俺で良ければ話聞くんで」
「うん…ありがとう」
ーPM12:00ー
「はぁ…………」
屋上に出た途端に自然とため息が出る。
今日は弁当を作る気力もなかった。
でも食欲ないからちょうどよかったかも。
ガチャ
「あれ…青木?今日は間宮と一緒じゃないのか」
「佐々木…さん………」
「もう弁当食ったのか?」
「いえ…ちょっと食欲なくて」
「え…珍しいな……」
「………あの、私もう行きますね」
「え?まだ休憩時間…」
私は佐々木さんに会釈し、屋上を出る。
「紗和せーんぱい!直人せんぱいと何話してたんですか?」
「楓ちゃん……別に……何も……話してない…」
「私〜直人せんぱいと二人で飲みに行きたいんですよねぇ…!協力…してもらえます?」
「うん……」
終業後、私は佐々木さんに電話をかける。
「……あ、佐々木さん…お疲れさまです」
「お疲れ…どうした?」
私は楓ちゃんのことを話す。
「いや……俺涼宮の気持ちには応えられないって言ったはずだけど」
「でも……佐々木さん…楓ちゃんのこと…そんなに知らないんじゃないですか…?」
「…………………」
「楓ちゃんのこと……もっと色々知ったら……もしかしたら……」
「……それは無い」
「え…?」
「涼宮の事は異性として見れない」
「…………………」
「青木…?」
「そう…ですか……わかりました……」
電話を切ったあと私はため息をつく。
そして、楓ちゃんに電話をかける。
「は…?紗和せんぱいちゃんと言ってくれたんですか!?」
「うん……でも……行けない…って」
「………………」
「ごめんなさい……」
「………紗和せんぱい全然役に立たないですね。もういいです。自力でどうにかするんで」
そう言うと一方的に電話を切られた。




