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あなたが愛しすぎて  作者: m.
10/34

風邪

ー6月中旬ー







「おはようございます…!」










「青木ちゃんおはよー」










「あれ……佐々木さん今日遅いですね?いつも早く出勤してるのに……」










「あー佐々木さん、体調不良だって」











「え……そうなんですか……!?」










「珍しいよねー佐々木さんが体調不良で休むなんて……」










「まぁ最近楓ちゃんの教育係?で大変そうだったしな…」









体調不良…心配だな………









仕事終わり、私は佐々木さんに電話をかける。








「…………もしもし」








「あ、青木です……佐々木さん体調大丈夫ですか…?」








「…………大丈………」








そう言いかけて咳込む。









「あの…私、必要なものあれば買ってきますけど……」









「いや……大丈夫………」










「ご飯とか…食べられてますか…?」










「いや…食欲…無くて……」










喋るのも辛そうなくらい声がガラガラだ。










「そう…ですか……」








「じゃあ…」








「あの…本当に大丈夫ですか…?」









「大丈夫…ありがとう」









「そうですか…お大事に……」








そう言うと電話を切る。










全然…大丈夫そうじゃなかったな……









私は心配になりタクシーに乗って佐々木さんの家に向かう。









ドラッグストアで色々購入し、マンションへ入る。









「青木…どう…した……?」









「あの…少しだけ…会えますか…?」









解錠されたドアを通り、エレベーターに乗る。









ピンポーン









………ガチャ









「佐々木さん…すみません突然…あのこれ…」









そう言うと私は袋を手渡す。









「え…わざわざ買ってくれたのか…?悪い……」










「ご飯…食べてないんですよね…」









「うん…」









「少しは食べないと…」









「作る気力がな…結構…きつくて」










確かに立っているのも辛そうだ。










「あの…私…作りましょうか…?」










「いや…大丈夫……」









「このままだと…倒れちゃいますよ…」








「………………」








「私結構体強いですし、普段佐々木さんにお世話になってるので…こういう時くらい頼って下さい」









「…………悪い」









そう言うと佐々木さんがドアを大きく開く。









リビングに入ると、いつも綺麗な部屋が少しだけ乱れていた。









「キッチンお借りしても良いですか?」









「あぁ…」








「佐々木さんは寝室で休んでて下さい。出来上がったら持っていきます」








「ありがとう…」









そう言うとフラフラと寝室に戻っていく。









数十分後









コンコンコン









「………………」









あれ…寝ちゃったかな………









私はそーっとドアを開く。









「お邪魔します………」








小声で言いながらベッドへ近付く。









あ………寝てる………









私はゆっくりお粥をテーブルに置き部屋を出ていく。









キッチンに戻り料理で使った食器を洗っている時だった。









ピンポーン









その音に目が覚めたらしい佐々木さんが玄関に向かう足音が聞こえる。









しばらくして声が聞こえてくる。









「直人せんぱいっ!体調大丈夫ですかぁ!?」










この声………楓ちゃん……?









「この靴……誰か来てるんですか!?」








「……………」








リビングからだと楓ちゃんの声しか聞こえない。









すると足音がリビングに近付いてくる。








ガチャ









「紗和せんぱい……!?」







「楓ちゃん…」








「なんで紗和せんぱいがいるんですかっ!?」








「えっと…」








「え…お二人まさか………」








「ち、違うよ…!?佐々木さんが体調不良って聞いて必要な物持ってきただけで……」









「なんだ……そういうことかぁ……」









「楓ちゃんもお見舞いに……?」









「はい!直人せんぱいが心配で……」








「そっか…あ…佐々木さん…寝室戻った方が……」









辛そうに壁に寄りかかってる佐々木さんに近付こうとすると楓ちゃんが小走りで佐々木さんに近付く。









「直人せんぱい大丈夫ですかぁ!?一緒に寝室行きましょ!」








そう言うと佐々木さんを支えながらリビングを出ていく。








あ…お粥のこと言わないと……









コンコンコン









ガチャ









「あの…」









と言いかけた所で佐々木さんが楓ちゃんに支えられてベッドに横になる姿が目に入る。









「あ…失礼しました……」









私はそっとドアを閉じ、キッチンに戻り食器を洗おうと袖を捲る。









ガチャ








「紗和せんぱい…なにしてるんですか?」









「あ、食器……洗おうと思って……」










「私やりますよ?紗和せんぱいは帰ってください」









「あ…じゃあお願い……」









私はバッグを手に取り、部屋から出る。










ー次の日ー









佐々木さんは今日も休みか………









「あ、楓ちゃんおはよう…!」









「おはようございまーす」








「あの後佐々木さん大丈夫だった…?」









「私がずーっとそばで看病してたんで大丈夫ですよ?」









「そっか…それなら良かった……」










一安心した私は仕事に取り掛かる。









ーPM6:00ー









プルルルル








「……………」









「あ…佐々木さん…体調はどうですか…?」









「…………大丈…夫…」









「え…ほんと…ですか…?」








佐々木さんの呼吸が明らかに荒い。








「大丈夫…だから……」








ただならぬ予感がした私は佐々木さんのマンションへ向かう。








「…………………」









「佐々木さん…!?青木です!開けてもらって良いですか!?」








ピンポーン








ガチャ









「佐々木さん……だいじょう……」








と言いかけた所で佐々木さんが私の方に倒れ込む。









「えっ、佐々木さん!?大丈夫ですか!?」








さすがに佐々木さんの体重を支えきれない私はその場に座り込んで佐々木さんの体を必死に支える。









佐々木さんの体熱いし、呼吸も荒い……









「佐々木さん……水……飲めますか?」









私は袋の中から水を取り出す。









キャップを開け佐々木さんの口元へ持っていく。









佐々木さんは意識朦朧としたままゆっくり水を飲む。








「大丈夫……ですか…?」








「………………」








佐々木さんは私に寄りかかったまま動かない。








私はどうしていいかわからず、とりあえず佐々木さんの背中をさする。










佐々木さんの呼吸が少し落ち着いたタイミングで私は口を開く。








「佐々木さん…ここだと体冷えます…ベッド…行けそうですか…?」








佐々木さんはゆっくりと立ち上がり、私はそれを支えながら寝室へ入る。









「熱……計りました?」









佐々木さんは無言で首を横に振る。








「体温計どこに………」








佐々木さんが力なく指す指の方向にある引き出しを開けると体温計があった。








ピピッ








「40度…!?」









どうりで体が熱いわけだ。








私は急いで冷蔵庫から冷えピタを持ってきて佐々木さんのおでこに貼り付ける。








「寒い…」








「…佐々木さん一回着替えましょう?」









私はおそらく衣類が入っているであろうクローゼットの中から適当に洋服を取り出す。









「この服で…大丈夫ですか…?」









「………………」









佐々木さんは無言で頷きその場で服を脱ぎ始める。でも熱で思考が朦朧としているのか、服を脱ぐのに手間取っている。









その様子にいてもたっても居られなくなった私は佐々木さんのそばに行き手助けする。










極力佐々木さんの方を見ないように気をつけながら服を脱がせて、新しい服を着せる。









佐々木さんをベッドに寝かせ、私は静かに部屋を出た。









昨日より悪化してる……なんでだろう。









そんな疑問を持ちながらキッチンへ向かう。









佐々木さん…あんな状態じゃしばらくご飯食べられないよね……









私も少し落ち着いたらお腹が空いてきた。








佐々木さん一人で大丈夫かな………








そんなことを考えながらボーッとソファに座る。









ーPM9:00ー









佐々木さんまだ寝てるかな………








私は冷えピタを取り替えようと佐々木さんの部屋を静かに開く。








佐々木さんに近付きそっと冷えピタをはがしたあと、佐々木さんのおでこに手を置く。








さっきより少し熱下がったかな…?








新しい冷えピタを佐々木さんのおでこに貼り終えた私はゆっくりとドアの方へ向かう。








「………………ん……」








その声に佐々木さんの目が覚めたのかともう一度ベッドに近付く。








あれ…?寝てる…気のせいか……








私は部屋から出ようと歩きだした所で突然腕を掴まれる。








「佐々木さん…?」







「…………」







「佐々木…さん…?」








「……………………」








すると私の腕を掴んでいた腕がすっと落ち、寝息が聞こえる。








私はどうしたら良いのかわからず、ベッドの近くに座る。








夢でも見てるのかな……









私はベッドにもたれかかりながら目を瞑る。









…………ジリリリリリリ








スマホの目覚まし音で目が覚めた私は、いつの間にか寝落ちしていたことに気付いた。








あ…今日土曜日か…昨日目覚まし消すの忘れたんだ……








「あ…あれ……青木……?」









どうやら佐々木さんもこの目覚まし音で目が覚めたらしい。








「佐々木さん……体調…どうですか…?」








私は体温計を手渡す。








「青木…何でここに……」









「え…昨日のこと覚えてないんですか…?」








ピピッ








「37度5分……良かった…!だいぶ下がりましたね……!」








「青木…ずっとここに居たのか…?」









「はい…佐々木さんが……」








「俺が…?」









「あ…いえ…なんでもないです……」









「ちょっと…今混乱してるんだけど…」









「とりあえず…ご飯食べませんか…?佐々木さん昨日の夜何も食べてないのでお腹空いてますよね…?」








「……すっげー空いた……」









「ですよね…キッチンお借りしますね?私ご飯作ります」









「あ…いや…もう青木は帰ってもらって大丈夫…」









そう言って立ち上がろうとするけど明らかに足元がふらついている。








「大丈夫ですから…佐々木さんそのまま休んでて下さい」









「……悪い……」









「少し待ってて下さい」









私はキッチンへ行き冷蔵庫を開ける。









お粥と…卵焼きで良いかな……









コンコンコン








ガチャ








「え!?あ、すみません…!」









ちょうど佐々木さんが着替えてるタイミングで入ってしまった。









急いで扉を閉め外で待つ。








ガチャ









「ご、ごめん…」









「あ…いえ…私の方こそすみません…あの…これ…どうぞ」








私はおぼんを佐々木さんに手渡す。









「あ…ありがとう……少し話せるか…?」








「あ、はい……」









私も寝室に入りベッドの近くにある椅子に座る。









「頂きます…」









「はい……」









佐々木さんが卵焼きを口に運ぶ。









「美味い……」









「良かった…です」








「本当にごめんな…ご飯まで作ってもらって…一昨日作ってくれたお粥も美味かった…あの時お礼も言えないまま帰らせてごめん…」









「いえ…お気になさらず…」










「え…と…昨日青木と電話した事は覚えてるんだが…その後の記憶が……」









「…佐々木さんは大丈夫って仰ってたんですけど、声が辛そうで…それでここに……」








「そうか……」








「佐々木さんの体がすごく熱くて…このまま一人にはできないと思って……」









すると佐々木さんが大きなため息をつく。









「良い歳して恥ずかしいな………本当にごめん」









「佐々木さん…さっきから謝ってばっかりじゃないですか……私なんて三日間も泊めてもらったんですよ?それに比べたら全然迷惑だなんて思わないです」








「いや…俺は泊めただけで別に何もしてないしな…」








「そんなことないです…!あの時私佐々木さんに救われたんですから…だからもう謝らないで下さい…」









「………ありがとう」









「あ…昨日着替えた服、洗濯機に勝手に入れちゃったんですけど…大丈夫ですか…?」









「服…?あれ…俺いつ着替えたっけ……」









「昨日すごく汗かいてたので…着替えたんですけど…覚えてないですか?」








「いや…覚えてない…あの状態で良く着替えられたな…」









「……全然着替えられてなかったのでお手伝いはしましたけど…」









「……え!?青木が…!?」








「あ…で、でも見てないですよ!?もちろん…」









「うわ…俺そんな事までさせて…最悪…青木ほんとごめん…」








「もう謝らないで下さいって…!こういう時くらい私のこと頼って下さい…」








「………………」









「でも…どうして一昨日より悪化しちゃったんですかね……」








「あぁ…涼宮がさ…あの日なかなか帰らなくて…なんかずっと喋ってて…それで全然寝られなくてさ……」








「そう…でしたか……」









「そもそも部屋に入れるつもり無かったのにしつこくて………あ…ごめん…長い事引き止めてしまって…もう俺一人で大丈夫だから…本当ありがとう…助かった」








「私もう少し居ても大丈夫ですよ…?まだ動ける状態じゃないんじゃないですか…?」









「いや…これ以上迷惑かけられない…」









「じゃあ……無理はしないで下さいね…?何かあったらいつでも連絡して下さい」







私は佐々木さんに別れを告げ、部屋を出た。

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