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呪われた性別不明の令嬢ですが、知らぬ間に溺愛されていたようです  作者: 白まゆら


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お久しぶりです

 ここ最近の私は、久しぶりにやさぐれる日々を過ごしていた。

 やさぐれるといっても昔のように、泣いて暴れて周りに迷惑をかけるような真似をしているわけではない。

 一人で静かに拗ねているだけだ。

 それにだって、ちゃんと理由がある。

 それは、ケリエル様に全然会えなくなってしまったからだ。

 ケリエル様が我が家に来られなくなった理由は、王太子殿下の婚約者ヴァレット・ニア・ジェルニング様が、とうとう来日されてしまったから。

 そのお陰で城は大騒ぎ。

 お父様もケリエル様の父であるイブニーズル侯爵も、連日城に泊り込んでいる状態だ。


「ケリエル様のお仕事は魔法の研究なのに、どうしてお忙しくされているのかしら?」

 エリオットとカーターと共に談話室で寛いでいた私は、唇を突き出しながらも首を傾げる。

「あ、そうか。王太子殿下の幼馴染として、そばにいるのかもしれないわね」

 ポンッと手を打ったところで、エリオットに冷めた目で見られた。

 そのまま何故か、部屋の隅に控えていたカーターのそばまで歩き出す。

『姉上は、ケリー兄様が殿下の護衛についていること知らないの?』

『ケリエル様が、仰ってはいませんからね』

『どうして?』

『クリス様を殿下に渡さないための条件ですから。流石にクリス様に隠れての取引なので、言いにくいんじゃないですか?』

『こじれてるなぁ、ケリー兄』

 ボソボソと話していた二人は、同時に大きな溜息を吐いた。

 仲がいいなぁと思いながら見ていると、扉をノックして入ってきた侍女が、嬉しい知らせを持って来てくれた。

「クリス様、エリオット様。ケリエル様がお見えになりましたよ』


 私はサッと椅子から立ち上がり、急いでエントランスへとお出迎えに向かった。

 後ろからゆっくりと、エリオットとカーターもついて来る。

 エントランスに着くと、我が家の老執事と話しているケリエル様の姿を見つけた。

「ケリエル様!」

 私の姿を確認したケリエル様は、ニッコリと優しく微笑んでくれる。

 はぅ! 久しぶりに拝見すると、目が潰れそう。

「クリス、元気だった? 何も問題はなかったかい?」

「大丈夫です、ケリエル様。この通り、まだ女性の姿です」

「うん。紫色のドレスを着てくれているんだね、可愛いよ」

 ボッと一気に赤くなる私の頬を片手で触りながら、甘い色気をまき散らすケリエル様。

 やめて、ただでさえ最近まで男で人嫌いだった人間には、色気なんてものの免疫はないんだよ~。


「あ~、玄関でイチャつくのは遠慮してもらいたいんだけど……」

 後ろからついて来ていたエリオットに注意されるも、ケリエル様は私から視線を外さないまま「やぁ、エリオットも元気だった?」と訊いている。

 因みに頬に添えた手もそのままだ。

「ついでに言われいる言葉にも、一応礼儀として返しておくよ。元気、元気。だから応接室に行こう。玄関でイチャつかれていても落ちつかない」

「そうだね。二人にも大切な話があるから、そうしようか」

 そう言って、当然のようにエスコートしてくれるケリエル様に、にやけた顔が戻らない。

 あああ~、久しぶりに会うとケリエル様の美丈夫っぷりが目立ってしまう。

 本当にいい男だな~♡



 応接室に到着すると、慣れたように私の隣に座るケリエル様。

 何故か手は握ったままだ。

 前のソファにエリオットが座ろうとして、何かに素早く気付き、反射的に動いたのだろう。カーターを扉付近で捕獲していた。

 どうやら、どさくさに紛れて姿を眩まそうとしていたらしい。

『僕を一人にするなよ』

『ケリエル様の笑顔がやばいんですって。あれは多分、相当鬱憤が溜まっていますよ。触らぬ神に祟りなしっすよ』

『だったら尚更、僕を一人にするな~』

 ボソボソと話し合う二人に、私は首を傾げる。

 どうしちゃったのかしら、エリオットは?

 せっかくケリエル様が久しぶりにいらっしゃったというのに、放っておくほどカーターと仲が良かったっけ?

 私は『見逃して』『見捨てるな』と攻防戦を繰り広げる二人を、唖然として見ていた。


「……カーター、ちゃんと控えていて。エリオット、君が座らないとお茶の用意ができないだろう」

 私の片手を両手で握りながら、ケリエル様がチラリと二人に視線を送る。

 扉付近には、お茶の用意をした侍女さんが困り顔で立っていた。

 ビシッと固まった二人は、ケリエル様を見ながら観念したようにこちらに歩いて来る。

 エリオットはソファに座ると、上目遣いでケリエル様に懇願した。

「ケリー兄様、八つ当たりだけはしないでね」

「クリスを補充しに来てるんだ。邪魔さえしなければ、何もしないよ」

 ボソッと呟くエリオットに、ケリエル様は私から視線を外さずに笑顔で答える。

 なんだかよく分からないけれど、とりあえずはケリエル様、私の方に体を向けて私の片手を大事そうに両手で包み、ジッと見つめるのはやめてください。いたたまれません。


 ケリエル様の視線に照れまくる私をよそに、お茶とお菓子の用意をして侍女が去った後、エリオットからお菓子をもらっているカーターが「ケリエル様、そろそろ本題に入りませんか?」と提案した。

「そうだな。全然足りないが、クリスの補充はこれぐらいにしておこう。話が進まない」

「いや、話が進まないのはケリエル様の所為……」

 カーターに突っ込まれながらも、やっと私の手を解放してくれたケリエル様。

 自由になった手でお茶に手を伸ばす。

 はぁ~、恥ずかしかった。

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