第1話
初投稿です。
よろしくお願いします。
初っ端から、自死の表現があります。ご注意ください。
前世で徳を積むと、来世では幸せな生活ができる。
と、ネットで目にしたことがある。
じゃあ私は、前世で一体どんな悪行をしたのだろう。
スピリチュアルなことにそこまで興味はないし、神様もそこまで信じていないが、
明らかに今生きている私の人生は、困難が多すぎやしないだろうか。
産声を上げた時にはすでに、学業を放棄して遊び歩いて未成年で出産した母の腕の中だったし、
気が付いたら父親とい存在は消えていて、一つ下の弟の面倒を見ながら、典型的な長女として育った。
ぽっと現れた、血のつながらない父親に何度も蹴られ。
睡眠時間は正座の姿勢で、バレないようにちょこちょこ眠り。
朝夕食事抜きでの三年間、弟も死なぬよう気を配り、うまく立ち回るスキルを身に付けながらなんとか生きながらえた。
その後も、恋多き母に翻弄されながらも、流石に再婚はしなかったのが救いで
少し貧乏ではあるが、三食ご飯をもらえ、睡眠もしっかりとれるようになった。
ごく平凡な中学時代を過ぎ、高校に合格した。
高校は教材もなかなかに高いので、母はとんでもなく大変だったと思う。
そんな矢先に、難病を患い、食事制限、そして、アレルギーにもなり、陽の下に出ることもできなくなった。
平和は時間は、そんなに長く続かないらしい。困難を与えられることに嫌気もさす。
入院治療、副作用に苦しみながらも、何とか緩解期を迎え、留年することなく卒業。
この経験のおかげで、限りある人生を生きることの大切さを学んだ。
病気は治ることはなく、いつか私の体を大きく蝕んでいく。
それでも、前向きに、よい人生だったと思えるように生きていこうと思っていた。
が、今私はトイレにいる。
正確に言えば、鍵をかけたトイレのドアに寄りかかるように、座っている。
ドアノブに、さっきまで身に着けていたエプロンをひっかけて捩り、首にかけて。
顔は鼻水と涙でぐちゃぐちゃだ。
どうしてこんなことになったのだろう。