森人族の狩りの見学
「う〜ん……」
何と言うか、久々にベットで寝た気がする。
ベットってこんな感触だったっけ……。
マジで久々過ぎて覚えてないな……。
「んしょ」
ベットから降りて、辺りを見回す。
「ん〜……」
「すやすや……」
「…………」
全員寝てる。
こりゃ起こすのは悪いな。
【足音消去】を発動し、いつもの外着に着替える。
そして静かに外へ出て、朝日を拝む。
「いやー、空気が良いねぇー」
機械的な物はほぼ無し、とてつもなく高い木の樹頭の上にいるのだから、当たり前ではある。
でも何でだろうか、めちゃくちゃ空気が肺に入って来やすい。
それに風も気持ち良い。
「おや、早起きじゃのう」
「ベクト爺」
凄ぇ首飾りの量……。
「これから教会に?」
「そうじゃ、祈りを捧げんとな」
「ご苦労なこって」
そう言って息をスゥーッと吸う。
「あぁ〜、良い空気じゃな」
「樹神様が神聖な空気を下さるからのぉ」
そんな事をする神は戦わないと思うけどなぁ……。
「なあベクト爺」
「なんじゃ?」
「昨日俺魔矢を作ったじゃん?」
「ああ」
「で、あれで狩りをするんだろ?」
「そうじゃな」
「見学させて貰ったり出来ないか?」
ベクト爺がビックリする。
「別に構わんが……何故じゃ?」
「森人族の狩りを見て戦いを学べないかなと」
正確には、俺の銃のエイムの訓練の参考にならないかと思ったのだ。
「良いじゃろう。今日狩りをする者らに伝えておく」
「ありがとう」
「それじゃ、儂はもう行くわい」
そう言ってベクト爺は教会の中に入ってった。
「そういや今って何時くらいだ?」
教会に付いている時計を見る。
「うわ、六時ちょうどじゃねぇか。マジでベクト爺早起きだったんだな」
俺も教会内にある部屋に戻る。
「……あ、イイジマ〜おらよ〜」
寝起き過ぎて呂律が回っていないルリカがいた。
「ああ、おはようルリカ」
次にニルが起きた。
「あ……おはようイイジマ」
ニルって、めちゃくちゃ朝に強いんだな。
傭兵やってたんだし普通か?
レカはまだ寝ている。
当たり前だ、まだ六歳だぞ?
起きる訳がない。
「それで……今日はどうするの……?」
「今日は森人族の狩りの見学でもする予定だ」
「え、そんなもの見て良いの?」
「許可取った」
「早!?」
「流石……イイジマ……」
「よせやい照れる」
その後、レカも起きて皆んなで朝食を気合いで食べ、狩りを見る時間となった。
「お前がベクト様が仰っていたイイジマ達か?」
「ああ、そうだ」
「ふん、ベクト様に共に連れて行けと言われているから連れて行くが、足を引っ張るなよ?」
何だコイツ、態度悪っ!
「よし! 行くぞお前ら!」
「「「「おう!!」」」」
そして彼らは木の枝を凄いスピードで走る。
「何でこの枝の上であんなスピードを出せるんだ……?」
まあ、出来なくはないんだが。
【神速】を発動し、駆ける。
ルリカも【加速】を使って走る。
因みにニルはそのままで走り、レカは俺の背中だ。
いや待てニル、お前の身体能力どうなってる?
お前もベクト爺側か?
「ふっ、アイツらなんて放っておいてとっとと狩りをしちまおう」
「酷いなぁおい」
「うぁっ!?」
先程から態度が悪い奴にそう言うと驚いて転んだ。
近くに枝があったので落ちはしなかった。
「な、何で!? 人族だろお前!? お前らがこの木の枝の上を俺らと同じ速度で走れる訳……」
「おいおい何勘違いしてる?」
「な、何をだ?」
「走れる速度は、お前ら以上だよ」
「は、はぁ!?」
目の前の男は顔が真っ赤になる。
恥ずかしいのか怒ってるのかは分からない。
「チッ」
舌打ちをして彼は走り出した。
「感じ悪いわね……」
「それほど私達が……嫌っぽい……」
「まあ、森人族じゃないしなぁー」
そう言って、置いて行かれないように俺らも走った。
「あれが今日の獲物だ」
そう言って指差された方向には、大きめの猪がいた。
「デカいな……」
「人族にはそう思えるかもな」
コイツ、事あるごとに嫌味言ってくるな……。
「森人族の目はお悪いようで」
「何だと!?」
彼が顔を赤くして立ち上がる。
「おいおい、そんな声出すとあの獲物に逃げられるぞ?」
「誰のせいだと……!」
「お前だろ」
「うるさい!」
そう言って彼は弓を構える。
そしてよく狙って……放った。
『ギィィィィィィ!』
放たれた矢は見事猪の腹に命中した。
「くそ! 仕留め損なった!」
他の狩人さん達が猪を仕留める。
「……!」
こっちを凄い睨んできた。
何だよ、お前が嫌味言って来るのが悪いだろ。
その後も彼らは狩りまくった。
狼や鳥、魚に……大量の虫。
いらねぇ! 最後のはいらねぇ!
「よし、帰るぞ!」
そして狩人達が走り出す。
「俺にとっても中々に良い収穫があったな」
「何が?」
「彼らの手の動きを見て、少しエイムを安定させる動きが出来るようになった……と思う」
「凄くない? それ」
そうルリカにツッコまれつつ、俺らも駆け出した。
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