ニルの過去 ③
『グオオオオオオ!』
ドラゴンが咆哮を上げる。
「行くぞ!」
イネが駆け出し、瞬時に自分の周りに複数の炎を浮かべる。
そしてその炎達はドンドン大きくなり、ピュンとドラゴンに向かって放たれた。
『グオオ!』
ドラゴンがその炎を自身の吐く炎で打ち消そうとしたが
「そうはさせない」
ニルが剣でドラゴンを斬り、剣の先端から爆発を起こす。
『ギャオオォォ!』
腹を斬られた痛みで炎を出せず、そのままイネの出した炎をモロに喰らう。
だが、流石ドラゴン、まだ倒れない。
「チッ! さっさと死ねやぁ!」
チドがドラゴンの顔面にパンチをする。
『ギュオエエエ!』
「私もやるわー」
キルが脚を振り上げて、高速で落とす。
すると、足が落とされた部分がベコォッと凹む。
ドラゴンの骨はもうバッキバキに折れまくっている。
『ガアアアアアア!』
「おりゃー!」
そこにリロがスキルの【捕食】を使って齧りつく。
『グアアアアアア!』
体の約3割が急に無くなったドラゴンは、血をダラダラと流しながら動き回るが、出血が多すぎて、力無く倒れる。
そして、死んだ。
「よっしゃ! ドラゴン討伐完了だぜ!」
チドが両手を上に上げて喜ぶ。
「やったねー!」
リロもピョンピョンと飛び跳ねている。
ニル達にかかれば、本当にドラゴン一匹などこの程度で倒せるのだ。
「でもホント、何で私達にこんな依頼してきたんだろうなぁー?」
「まあ、無事に終わったんだから良いじゃないか。帰って祝杯でも――」
「まだ終わってないわよー?」
キルがニル達にそう言う。
「え? でも依頼内容は、ヴュルジュドラゴンの討伐じゃ……」
「うふふ」
キルがパチンと指を鳴らす。
『ザザザッ』
「なっ!?」
辺りに隠れていた獣人達がゾロゾロと出てくる。
「嘘……私の嗅覚でも分からなかった……」
リロは犬人族なので鼻がとてつもなく良い。
だが、それを知っている彼らは、臭い消しを体中に塗りたくっていたのだ。
「キル! これは一体どういう事だ!?」
イネがキルを睨みながらそう言う。
「私、貴方達を彼らに引き渡せば、このクソッタレな生活ともおさらば出来るのよ」
「何っ!? 売ったのか! 私達を!」
「そうよ」
キルがにまぁ〜っと笑う。
「はっ! だがこの人数で私らを倒せるかなぁ?」
チドが手足に力を込めて、前方にいる獣人族を吹っ飛ばそうとする。
「んぉっ?」
だが、急に力が抜けた。
「まさか……お前……」
「ええそうよ、貴方達に弱体化魔法を掛けたの」
「いつの間にそんな魔法を……」
ニル達を大柄な男性達が取り押さえる。
「それでは、さようなら。どうやら私が捕食者側のようね?」
キルがそう言った直後、後頭部に強烈な痛みが走って、ニル達は気絶した。
「んん……?」
ニルが目を開けるとうす暗い部屋が目に映った。
手足は縛られていて動けない。
どうやらこの手足を縛っているものは漆黒の蜘蛛の糸のようだ。
これまた随分と高価な物を、とニルは思った。
「お目覚めかい?」
遠くで部屋の向こうで声がした。
「うん、今起きた」
「なら良かった。このまま目覚めないとなっちゃ俺らの楽しみが無くなっちまうからな」
そして奥から数人の獣人族が現れた。
「それで、今から私に何をするの?」
「簡単だ。すぐ終わる。抵抗しなければな」
「何?」
「お前らは、国や貴族様やらから依頼を貰うことが多い、だな?」
「……」
依頼主の事を喋るなど、傭兵をやっている以上絶対にやってはいけない事だ。
なので、こういうのにも一切喋らない。
「返事をしろやおらぁ!」
ニルの真横にいた男が思いっきりニルの腹を殴る。
「うぐっ」
どうやら、まだ弱体化の魔法は解けていない様で、普通であればこの程度痛みも感じないのだが、とても痛かった。
「で、どうなんだ?」
「……」
それでも、言わない。
傭兵とはそういうものだ。
「チッ、まあ良い。取り敢えず俺らは、お前から国の事とかなんやらを聞き出す。まあ、そうだな…… 〝拷問〟とかしてやるよ」
「そう」
傭兵をやっているなら、捕えられた時に拷問されるのは目に見えているので、こういう時の訓練なんかもしてある。
だが、この時ニルはまだ知らなかった。
弱体化魔法を受けた状態で受ける、拷問の辛さを……。
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