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ニルの過去 ②

 翌日、ニル達は部屋の中央にあるテーブルを囲んで座っていた。


「それでキル。もう新たな依頼が来たというのは本当か?」


 そう、彼女達が机を囲んで座っている理由は、先日依頼が来たばかりなのに、もう新たな依頼が来たからだ。


「ええ、正直私も驚いているわ」


 捕食者(イーターズ)を雇う代金は相当高い。


 なので彼女達を雇うのは、戦争をおっ始めた国か、自分の雇っている冒険者などの為に、最高ランククエストの偵察に行かせたい貴族などな訳だが、そんな人物は滅多にいない。


「それで、依頼内容は何なんだよ?」


「これよ」


 キルが一枚の紙を机の上に乗せる。


『ヴュルジュドラゴンの討伐』


「チッ」


 チドが舌打ちする。


「ドラゴンの討伐ぅ? 何でそんなもん私らに頼むんだよ?」


 そう、彼女達ならば、ドラゴンの一匹倒す事など余裕なのだ。


「依頼主の意図は分からない、が、依頼料を貰っているなら遂行(すいこう)しないと。だろ?」


「分ぁーってるよ」


 チドが机にベターっとなる。


「それで、いつ行くの?」


「今日からで良いだろう。幸いヴュルジュドラゴンの住処(すみか)はここから近い。明日の朝か昼には帰って来れるだろう」


「わーい! 楽な依頼だぁー!」


 リロが両手を上げて喜ぶ。


「んじゃ、早速準備するか」


「そうしよう」


 ニル達は各自の部屋に戻り、ドラゴン討伐の準備を始めた。


「よーし、皆んな準備出来たかー?」


「バッチリだよー!」


「私もバッチリだ」


「私も出来たわー」


「私も出来てる」


「じゃあ行こうか」


 そしてニル達は……目にも止まらぬ速度で走り出した。


 一般人にはただ風が吹いたと知覚する事しか出来ないだろう。


 しかしニル達はそんな速度で走っても全く疲れているそぶりを見せない。


 まあ実際疲れていないのだから当たり前だ。


「それで、ヴュルジュドラゴン討伐、どうやる?」


 高速で走りながらイネが皆んなに問う。


「決まってんだろ、タコ殴りにする」


「もっと細かく」


「じゃあじゃあ! 普通にバラけて倒すー!」


「まあそれがドラゴン討伐の基礎だな」


「基本的に行きましょう」


「そうだね」


「チェ、しゃーねぇーか」


 そしてニル達はあっという間にヴュルジュドラゴンが住むヴュルジュ大森林に着く。


「よーし、少し休憩するか」


「えぇー、私まだ疲れて無ぇーよー」


「お前が体力オバケなだけだ」


 ニル達は近くの木をパッと切りそこに座る。


「あ、虫」


「食うなよ?」


「ダメなの?」


「お前が虫を食べる姿を見てられないんだ」


「ん〜」


 ニルは少しだけ不満そうな顔をした。


「……分かった」


「ありがとう」


 そして約10分程の休憩をして、いざヴュルジュドラゴン討伐に向かう。


 と言っても、肝心のドラゴンがどこにいるか分からないので、探す所から始める訳だが。


「うぅーん……どこにいると思う?」


「上空」


「だよねぇ……」


 ニル達は上を見てみる。


 遠くて見えにくいが、確かに何か飛んでいる。


「あれ……か?」


「悪い、遠すぎて見えない」


「私もー!」


「私も見えないわ〜」


 ニルは目に力を込める。


「ドラゴン……だね」


「え!? ニル見えたの!?」


「私、目が良いから」


 ニルはニコッと笑う。


「でも、あんなに高いとどうしようもないな……」


 およそ高度100km。


 到底届く距離じゃない。


 だが……


「いやいや、跳べば良いだろ?」


 ここには脳筋オバケがいるのである。


「あっ、そっか」


 そしてそれに納得出来る者達である事も忘れてはいけない。


「じゃあ頼んだ」


「任されたぜ!」


 チドが足に力を込め、スキルを発動する。


「【筋力調整】!」


 脚の筋力をMAXに設定し、跳んだ。


「うおおおおお!」


 通常、人の跳んだ時の速度で上空100kmに到達するのにはやはり数分、あるいは十数分はかかる。


 だが、【筋力調整】で脚の筋力をMAXにした獣人族はものの数十秒で到達出来る。


「おらぁ! ドラゴン野郎!」


 チドはドラゴンよりも高く跳び、体を水平にし、落下速度を緩める。


 そして体をぐぅーっと前の方に倒し、ドラゴンの方に近寄る。


『グオオオオオオ!』


 とんでもない速度で現れたチドにドラゴンは炎を吹く。


「ふはははは! んな程度で私ぁ死なねぇよ!」


 そのまま炎に突っ込む。


 だが、チドは無傷だった。


『!?』


 ドラゴンは目を見開いて驚く。


 自分の灼熱の炎が効かなかったのだから無理もない。


「おらぁ! 下に落ちろ羽付きトカゲ野郎!」


 チドがドラゴンの腹を思いっきり殴る。


『グオッ!?』


 その瞬間、ドラゴンはとんでもない速度で下に落とされた。


 チドは殴る前に、【筋力調整】で右腕の筋力もMAXにしていたのだ。


「おっ、落ちてきた落ちてきた」


 段々と大きくなるドラゴンをニル達は冷静に見ていた。


「少し離れようか」


「そうだね」


 ドラゴンが落ちてきても大丈夫な様にスペースを作る。


『ドゴォォォォォォォン!』


 直後、ドラゴンが落ちてくる。


 そしてチドも落ちてくる。


 本来であればベチャッとなってしまうだろうが、【筋力調整】で筋肉をカチカチにしてるチドには関係ない。


「うし! 落として来たぜ!」


「ありがとうチド。さあ、やろうか」


 そしてニル達はドラゴンに(やいば)を向けた――。


『面白い!』


『気に入った!』


『続きが読みたい!』


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