道化師達の移動方法
「ちょ! ここベーナダンジョンじゃねえか!」
「!……」
ニルの目が見開かれる。
「皆んなが……!」
なんたってニルの元いた国だからな。絶対助けてあげたい。
「分かってる。だが無策で行ったら俺らが死……なないかもな」
「ん? どういう事?」
「俺って裏技を使えるだろ?」
「そうね」
「んで今リレオ達がいるのはベーナダンジョンだろ?」
「ええ」
「でだな、ベーナダンジョンの裏技って、場所が分かれば結構使えるのが多いんだ」
「じゃあ現在地がちゃんと分かれば……!」
「まあ、何とかなるだろうな」
「……! ありがとう……! ありがとうイイジマ……!」
ニルの顔が希望に満ちる。
「うし、じゃあ早速行くか!」
テントから出ようとすると、リヴェットが俺の肩を掴んできた。
「な、何だよ? 急がねぇとヤバいんだよ。分かるだろ?」
「十分分かっているとも」
「なら行かせてくれよ」
「最後まで聞きたまえ。私が連れて行ってあげよう」
「……マジ?」
「本当だ。団員が困っているなら助けてあげるのが団長務め。ならば助けぬ理由は無い」
「なら頼む! 時間がヤバいんだ!」
「面を付けてくれたまえ」
「わ、分かった……」
お面を付けて、ルリカ達を見る。
よし、ちゃんと付けてるな。
「付けたが……一体何の為に付けるんだ?」
「その面が無ければ我々の移動方法に体がついていけずにぐにゃぐにゃに曲がってしまうのだよ」
「……やっば……」
彼らの移動方法って一体どんなもんなんだ?
「それでは移動の準備をするぞ! 移動先はベーナダンジョン11層目!」
リヴェットがそう言うと、団員達が炎をテントに付け始めた。
「ちょ、おい!」
「大丈夫だ。これが普通なのだ」
「え……?」
テント燃えちゃってるけど!?
「イイジマ……大丈夫なのこれ……?」
「分かんねぇが、信じるしかないな」
そういえば燃えてるにしてはなんか煙とか無いような……。
「なっ!?」
炎で燃えた部分から消えてる!?
「そうだ、これが我々の移動方法だ。臙脂の炎はどこへでも行ける」
臙脂の炎……一体何なんだろう?
「そろそろだ。覚悟したまえ」
その瞬間目の前が臙脂色に染まる。
「うっ!」
そして目を開けるとドワーフの街だった。
「着いたな」
「うわぁ……」
建物からは煙がモクモクと出ていて、沢山の人達が走っていた。
「な、何だこれ!?」
俺らのテントを見てドワーフ族が驚いている。
「あれ? イイジマさん!? イイジマさんじゃないか!?」
「え、イイジマさん!?」
「イイジマさんが来たのか!?」
テントに人が沢山押し寄せる。
「ちょ、これどうしたら良いんだ……?」
「【透明化】と【足音消去】を使って出たまえ、リレオはこの先だ」
「ありがとう」
ルリカ達に【透明化】は使えないので【足音消去】だけかけ、裏側からコッソリ抜けて貰った。
そして走っていると
「ん!? イイジマ!?」
リーファがいた。
あれ? でも俺今透明化してるし足音も聞こえてない筈なんだけど……?
「イイジマの気配がする! そこにいるわね!?」
何で分かるんだよ怖えぇよ……。
「ああ、いるよ」
【透明化】を解除する。
「あっ! やっぱり! 私からそんなんで隠れられると思わないでね!」
これ以上どうやったら良いんだよ……。
「なあ、俺らって今こう呑気に話していて良い状況じゃないと思うんだが……」
「あっ! 確かにそうね! イイジマに会えた喜びでつい……」
こいつ……危機感ってものが無いのか……?
「てかボディーガードとかはどうしたんだよ?」
「……全員……」
「……悪い事を聞いたな」
「別に良いわよ」
ただしリーファはやはり悲しそうな顔をしている。
「リレオはどこだ?」
「リレオ……? あ、攻めて来た奴の事ね。そいつはあっちの方よ。私もあっちから逃げて来たの」
そう言って煙がより一層濃くなっている場所を指差す。
「そうか。……あれ待てよ。リーファお前の確か魔族が攻めて来ても大丈夫な用にすげぇミサイル使ってなかったか?」
「あぁあれね……あれ発射出来なかったのよ」
「何故だ?」
リーファが設計でミスったというのは考えにくい。
「コントロール制限をリレオに奪われちゃったからね」
「マジか……」
リレオそこまでなったのか。
「だからどうにかしてコントロール制限を取り返して、あのミサイルを発射しないと!」
「そうだな! それだな!」
そして煙が濃い方に行こうとすると
「おやおや、お久しぶりですね。イイジマさん」
「……おぉー、ホント、久しぶりじゃねぇかよ……リレオ……」
右腕をレーザー砲にしたリレオがいた。
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