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ホント、猫って凄い!

「暗いなぁー」


「ほんと、真っ暗ね」


 ルチャベド洞窟に来たわけだが、まあ暗い。


 マジでなんも見えない。


【光球】を使っても15m先が見えない。


 いやホントになんなんだこの洞窟は。


 多分システム的にも暗くする様に作られてるんだろうけど……それにしても暗すぎるだろ!


 なんか専用アイテムでも必要なのか!?


 まあ裏技(バグ)を使えば明るく出来なくもないのだが、横幅が狭いこの洞窟だと出来ない。


 いやー、普通に【光球】の光の強さを強める裏技でも見つけとくんだった……。


 絶対今度見つけよう。


「ばぁー!」


「きゃっ!」


「こらこら」


 レカよ、ニルを怖がらせるな。


「も……もう……やめてね……? レカちゃん……?」


「わ、分かった……ごめんなさい……」


 レカのこういう素直な所は普通に凄いよな。


「んで、最後の道化師(クラウィー)はどこにいるんだ?」


「分からないけど……多分一番奥じゃない?」


「まぁ……普通はそうだよなぁ……」


 でもなんか違う気がする。


 実際一つ前の奴は地下の部屋にいたし。


「なんか隠し扉とか無いかぁ?」


「え? そんなのあるわけ――」


「ある……」


「あるの!?」


 ほぉーら、やっぱあるじゃないか。


 でもニルさんや……なんでその情報を知ってるんです……?


「私……獣人族(ビースター)だから……空気の流れや音の違いが……分かる……」


「おぉー」


 獣人族って凄ぇ!


「じゃあ早速その方へ案内してくれ」


「分かった……」


 そして歩く事数分。


「ここの壁……」


 ニルがグッと押すと壁がゴゴゴゴゴと動いた。


 ……なんか既視感あるなぁ。


 なんというか……ニルの元々いた国の入り口のような……。


「行こ……」


「ん、ああ」


 この世界ではこの隠し扉(?)が主流なのかな……?


 隠し通路を進み、一つの部屋に出る。


『我、汝等(うぬら)を待ちいたり』


「うおっ!?」


 ど、どこにいるんだ!?


「向こうにいる……! 光が届いてない……!」


 姿を見るために近づこうとするが


『それより前に進まらば、我、場を移らんとせり』


「それはサーカス団へ戻るって事か?」


(いな)。時と地を移るのだ』


「やっぱそうだよな」


 普通にサーカス団に帰ってくれるなら良いんだが……。


「で、お前らが戦ってないのはニルだけだから……そういう事だよな?」


()


「って訳なんだが……ニル……大丈夫か?」


「うん……大丈夫……」


『では、イイジマよ』


「何だ?」


『【光球】を消させて頂くよ』


 その瞬間頭の上にあった【光球】がパリンと割れた。


「うぉい!? 真っ暗で何も見えねぇぞ!?」


『暗闇の中に意味がある。我らの臙脂色(えんじいろ)の炎はそこにあった』


「……?」


 何言ってんだこいつ?


『それでは始めよう』


 そして辺りにチリンチリンと鈴の音が響き渡る。


 あっ、あいつそのままの姿なんだ。


 なんか今までの奴が変化してたから謎の違和感がある。


 絶対これが普通なんだけど。


「ふっ!」


 ニルは迷いなく突き進み、剣を振る。


 あれ? 何でこんなに暗いのに迷いが無いんだ?


『流石猫人族(キャッター)夜目(よめ)()くか』


 あ、確かに猫は夜の間普通に見えるわ!


 うわこの洞窟とめっちゃ相性良いじゃん。


『されども、これは如何(いか)にする?』


 何だ!?


「うっ!」


 急に周りが臙脂色になる。


「眩しっ!」


 今まで極度に暗い場所にいたので急に明るくなった世界に目がやられる。


「見えない……」


『すまぬな』


 チリンチリンと鈴が鳴っているが、洞窟内に反響しているのでどこにいるのか分からない。


「【超回復】!」


 自分とルリカ達にかけ、目を治させる。


 ニルにはかけられない。一対一なのに手助けしたら最初に言われた様に別の場所へ移動されてしまうかもしれないからだ。


 なのでニル自身で治して貰うしかない。


「ん」


『!?』


 ク……道化師(クラウィー)の攻撃を目を閉じながら避けた!?


「音で分かる」


『ぬぅ……!』


 そっか! ニルは耳も良いんだった!


 実際ニルの聴力(ちょうりょく)のお陰でここに来れたんだしな。


『猫人族、(うぬ)軽視(けいし)していた。

 真剣に行かせて貰おうぞ』


 その瞬間炎が物凄い勢いで飛び、それと共に道化師が持っていた剣で斬ろうとするが、ニルは(かろ)やかに避けて、剣で道化師を斬る。


『ぐっ!』


 斬られた部分を抑えながら、残った方の手で魔法を放って斬ろうとする。


「遅い」


 ニルは道化師に強烈な蹴りを入れた。


『うぐぁ!?』


 そのまま壁に凄い勢いで激突し、項垂(うなだ)れた顔に向かって剣を向ける。


「勝負あったな」


『うむ……』


 道化師が立ち上がり壁にもたれかかる。


『見事なり。汝等(うぬら)……否、其方(そなた)らの力、認めようぞ』


「よっしゃー!」


「やったわねー!」


「やった! やった!」


「ふぅー……」


 まあ向こうが吹っかけて来たんだけどな。


『ならば、団長のショーも大事ないだろうな』


「……?」


 ま、まあ団員がちゃんと集まってくれたから……そうだな?


『我は()こう。其方らも早く来るのだ』


 そう言って彼は消えた。


「うし! 取り敢えず全員集めたな!」


「やったわね!」


「楽しかったー!」


「疲れも……したけどね……」


「まあ良い思い出になったんじゃないか? アイツらと戦うなんて滅多に出来ないぞ?」


 インワドでもアイツらと戦った者は少ない。


 戦おうとしても別の時間と場所に移動されてしまうのだ。


 俺もそれやられて萎えたなぁー。


 あいつらの裏技見つからんなかったー! って。


「それじゃ、行きましょ」


「ああ、さっさとリレオの居場所を聞こう」


「リレオ……」


「大丈夫だよ……レカちゃん……」


 そして俺らは、臙脂のサーカス団のテントへと行く為にテレポート裏技をするのだった。


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