炎には水を……え? 炎?
カーテンを開き、窓を開け、一言。
「……マジか」
下では俺を一目見ようとする人だかりがあった。
「なんか昨日より多くなってないか……?」
ここ動物園じゃないんですわ……。
下の人達にバレないようにそっと窓を閉める。
「……なんでこんな事になった……」
「まさかこんなに有名になるなんてねー」
「ううっ」
別の国に行っても良いのだが……テレポート裏技を使える場所までが結構遠い。
まあ昨日寝る前に習得しておいた【炎伝い】と【水伝い】を使えば結構楽に行けるだろうが……。
「それで……今日は……どこに行くんだっけ……?」
「あぁえと」
地図を取り出して机の上に広げる。
「今日はここだ」
ブリュード城跡地。
昔は豪華な城だった様だが、今では魔物がが棲みついてしまっている。
「ブリュード城跡地……なんか……怖そう……」
「幽霊系の魔物は出ないだろ……多分」
「ヒェ……」
インワドでは出た事はないが、万が一があるからなぁ……。
「うし! 行こうぜ!」
そして【透明化】を発動し、ジェットパックで飛ぶ。
ルリカ達は俺の足に掴まっている。
お……重い……。
ジェットパック頑張れー!
「うし、ここからテレポートするぞー」
目的地の木に着いたので下りて、早速木の幹にダイブする。
「うおっと」
飛び出た木の所がちょっと足場悪いの忘れてた。
何とか転ばずに体勢を戻した所で
「わっ!」
後ろからルリカが飛び出て来て俺にダイブ。
そしてレカ、ニルの順に飛び出て来て四段重ねになった。
「痛っつつ……」
地面に手をついて起き上がり、三人共立たせる。
「んじゃ、早速攻略するか」
「え、ええ……」
「頑張ろー!」
「怖いの……やだなぁ……」
「ん? ニルって怖い系無理なのか?」
「幽霊とか……無理……」
「へー、可愛いところあるじゃないか」
「かわっ!?」
「お化け倒すー!」
レカがトテトテとブリュード城跡地に向かって走って行く。
「あぁおい!」
全く……レカには少し危機感を覚えさせた方が良いかもしれない……。
レカに付いて行き、跡地の中心に立つ。
うーん……いないなこれ。
臙脂色の何かは無いし……燃えてないし……。
「意外と広いわね」
「だなー。ま、パッと見でいないのは予想付いてたから、探してしまおう」
「それなんだけれど……」
ん? なんだ?
ルリカが少し先の床を指差している。
「そっちになんかあるのか?」
「多分……地下へ続く道が……」
「え!? マジ!?」
インワドにはそんなの無かったぞ!?
「よし! 行ってみよう!」
早速ルリカが指差した方向に行って、床を調べる。
「……あっ! 本当だ! なんかある!」
蓋みたいなのがされていたので、それをどかすと……
「おぉ」
「階段……だね……」
地下へと続く階段……ロマン溢れるぅー!
【光球】を撃ってみるか……。
「【光球】!」
おー、結構長い階段だな。
「んじゃ下りてみるぞ」
【光球】を頭の上に浮かせながら下りる。
そして大体5分程下りて遂に階段が終わった。
「さてと……ここにいないかなー?」
周りをぐるっと見渡す。
「おっ」
いた。
焚き火がパチパチと燃えていて、その炎の色は臙脂色だった。
「あれが……団員かしら?」
「多分な……」
炎の目の前まで歩いてしゃがむ。
「えーっと……」
『願いはいかに?』
「うぉ」
最初から喋るのか。
少しビビった。
「願いは分かってるだろ? 団長の元へ戻って欲しいんだ」
『承りき。然れども我ら、その幼女の力を存ぜぬ』
「……またこのパターンか……」
『手合わせを願いたく』
そう言って炎がポッと出てレカの足元に落ちた。
……えマジ?
団員さん、相手魔王でっせ? 死にまっせ?
「レカ、大丈夫か?」
「ふんふん!」
うわ、凄いやる気だ……。
「団員さんは……ほ、ほんとに彼女と戦うって事で良いのか?」
『構わぬ』
南無阿弥陀仏。
「殺しちゃダメだぞ」
と、レカに小声で言う。
「分かったー!」
うーん心配!
「んじゃ、俺らはどいていよう」
レカの力少し怖いし……。
『ふっ!』
団員が炎を飛ばし、自分もそれに紛れ、本体がどれか分からなくさせる。
おぉ、分身か!
いやー、インワドでもそういう奴いたなぁー。
裏技で即行見抜いてボコボコにしたけど。
「んー!」
レカが右手を勢いよく突き出す。
「は!?」
レカの手から炎が出て……相殺した!?
炎には炎って事!?
脳筋すぎるだろ!
てかおい運営、レカって一応ラスボスなんだよな?
何だこのチートは。勝てないだろ。
「おらおらおらぁー!」
炎だけで沢山の相手の炎を消してる……。
しかもレカの炎の威力強すぎて、相手の炎を消してからも少しの間飛んでる!
再認識したわ。
レカを怒らせたらダメだ。
今の俺がレカと戦ったら多分勝率は五分五分だろうし。
『ふむ……よい』
そう言って彼は、攻撃をするのをやめた。
ほぉー、ちゃんと自分から辞めれる奴なのか。
『我、汝の強さを把握せし。承りき命を為すとしよう』
そう言って炎は人の形となった。
『イイジマよ』
「なんだ?」
『残るは一人だな?』
「ええーっと……」
地図を開いて見てみる。
「ああ、確かにそうだな」
『其奴の事を頼む』
そう言って彼は消えた。
「……少し警戒して行った方が良いか……」
彼がそう言うって事はなんかあるのかもしれないしな。
「それで、最後の場所はどこなの?」
「ここだな」
ルチャベド洞窟。
インワドでは横幅が狭くてめちゃくちゃ暗い事で有名な洞窟だ。
最後の場所がそこか……。
「うし、気を付けて行こう」
「ええ」
「行こー!」
「頑張ろう……!」
そして俺らは木の幹にダイブした。
『面白い!』
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