サーカス団の団長とのお話し
サーカス団のテント内は、静寂に包まれていた。
「なんか……薄暗くて不気味ね……」
「そうだな。確かに不気味だな」
「うぅーイイジマー」
レカが俺にガシッとしがみつく。
「大丈夫大丈夫、怖くないぞー」
レカを背負い、てくてくと歩く。
「汝等、何処へ行く?」
「「「「うわぁ!?」」」」
い、いつの間に!?
「我らの団長は、そちらの方向にあらず。着いて来たまへ」
そして少し小柄な彼は歩き出した。
「なんか……団員達も怖いわね……」
「マジでそうだな……」
実際、インワドの怖いNPCランキングにて、3位が彼らだった。
因みに4位は、最初の町の武器屋の店長だ。
「これよりは彼に続け」
そう言って彼はもう一人の道化師を指差した。
今度は大柄な人で、アコーディオンを持っている。
「分かった。ありがとう」
「礼には及ばぬ。団長の命だ」
そう言ってここまで案内してくれた道化師は臙脂色の暗闇は鈴の音と共に消えていった。
「では、着いてくるのだ」
そして歩き出すと彼はアコーディオンを弾き始めた。
「ララ〜♪ 我らは臙脂のサーカス団〜♪ 鈴の音に呼ばれる者ら〜♪ 鳴られし場所が過去でも〜♪ その地に来たり〜♪ ララ〜♪ 団長が〜♪ 言うなられば〜♪ 我らは〜♪ 面の通りに〜♪」
なんか……変な歌だな……。
「アコーディオン、凄い上手いわね……」
「あぁー……まあ、確かにな」
そこ!? なんつーか移動してるのに何でアコーディオンを弾いてるの? 的な疑問は浮かばないのか!?
「何で……アコーディオンを……弾いてるんだろう……?」
そうそれ! その質問待ってた!
「……分からん」
まあ、その質問に対する回答は持ち合わせていないのだが。
「……団長はこの先におられり」
大柄な彼がとある幕の前で立ち止まり、そう言って消えた。
「よし……じゃあ行こうか」
「え、ええ」
「怖いー」
「レカ……大丈夫だよ……」
幕を少し退けて奥へと進む。
そこは広い空間で、どうやらここでサーカスのパフォーマンスをやるようだ。
天井付近には臙脂色の炎が乗った大きな燭台がある。
「団長は……何処だ?」
この空間は先程までいた空間よりも暗く、はっきり言って周りがよく見えない。
「【光球】【光球操作】」
【光球】を頭の上に浮かべ、辺りを見回す。
「……やっぱいないなぁ」
テント内が明るくなったが、やはり誰もいない。
「彼が場所を間違えたのかしら?」
「うーん……そうなのかな……?」
そう言ったその時
『ダラララララララ』
ドラムロールがし始めた。
「な、何だ!?」
上にある臙脂色の炎が凄い揺れ始める。
そして炎がボトリボトリと落ち始め、段々煙が舞い始める。
「ちょ、これヤバくねぇか!?」
急いで出ようとすると
「待ちたまえ」
と煙の方から声がした。
『ダァン……!』
ドラムロールが終わると同時に、煙の中央にスラッとしていて背の高い人がいた。
「安心したまえ、この煙に害は無い。演出だ」
おや、普通の喋り方だ。
「団員達から聞いている。君が鈴を鳴らし者だな?」
「そ、そうだ」
「私はリヴェット。この臙脂のサーカス団の長をしている」
ペコリとお辞儀をして、マントをバッと後ろにやる。
うわぁ……かっけぇ……。
「其方らの名は?」
「俺はイイジマ。で、彼女がニルで、この子がレカ。そんで俺の真後ろでなんか震えてるルリカだ」
「ちょ、言わないでよ!」
「ふむ、合っているな。呼び出した理由も把握している。現在のリレオ・レペッツォの居場所……だな?」
「な、何で知ってるの……!?」
「我らは鳴らし者の場に行けるからだ」
「……?」
「あー、えーと、分かりやすく言うとだな……彼らって鈴を鳴らせばどんな場所でもどんな時代でもやってくるんだ。
だから、未来も過去も全て知ってるんだ」
「す、凄くないそれ……?」
「めっちゃ凄い」
インワドの裏技でも時空を移動できる裏技は無い。
まあまだ見つけてないだけかもしれないが。
「要件が分かってるなら話は早い。早速リレオの場所を教えてくれないか?」
「……断る」
「え」
あれ……断られた……? マジで?
「な、何で!?」
「我らに利点が無いからだ」
「あぁー……まあ、確かにな」
そりゃあそっちにメリットがないと何もやりたくないわな。
「じゃあ何をして欲しいんだ?」
「我々のショーを手伝って頂きたい!」
リヴェットは手をグワッと上に上げる。
「ショー?」
「いかにも。我らのショーに必要な臙脂の炎の団員が足りないのだ。
どうか炎を集めて来て貰えないだろうか?」
「ん、んー……分かった……」
「感謝する。これが我らが団員の居場所だ」
そう言ってリヴェットが地図を渡してくる。
何気にこの世界に来て初めて地図を持った気がする。
「意外と……分散してる……」
これはテレポート裏技を多用する事になりそうだ……。
「それでは、頼んだ」
そう言ってリヴェットは周りから臙脂色の炎を出して消えた。
「いやー、ちょっと面倒臭いが……やるしかないか」
「そうねぇ……最初はどれに行くの?」
「やっぱ一番近いところからだろ。だったら……ここだな」
そう言って指差したのは……
「ス、スライム平原?」
「ああ、懐かしいな」
俺らが初めてやったクエストの場所だった。
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