機械族が温泉に入る理由
「こちら報酬の5000Gです」
「どうもー」
部品収集の報酬を貰い、ルリカ達の元へ帰る。
「んぐー!」
「まだやってたのか」
地面に突き刺さったルリカを引っこ抜き、頭に付いた土を払う。
「ありがとう。これやっぱり凄い難しいわ」
「体重を傾けた方向に行くから、それを上手く調節するしかないな」
「うーん……出来る気がしないわ……」
「ははは、まあ頑張れ」
そう言って部屋に戻る。
「うーん……」
「お前らは何してるんだ?」
5000Gを机に置き、椅子に座る。
「神経……」
「衰弱……」
「いつの間にトランプ買ったんだよ……」
どんどん捲られていくトランプを見る。
おおっ、意外とお互い暗記してるんだな。
因みに俺はもう覚えた。
その後も試合は進み――。
「勝った……」
「ぬわぁー!」
ニルが勝った。
いや子供相手なんだから手加減してやれよ……。
「もっかい! もっかい!」
「良いよ……」
そしてまたカードが並べられ、どんどんと捲られていった。
「んじゃ俺、ちょっと温泉行ってくるわ」
「分かったー!」
「分かった……」
宿を出て、温泉に行き、早速湯船に浸かる。
「ふぅ〜……良いねぇ〜」
あったまったら次は泡がブクブクと出ていて、寝っ転がるタイプの風呂に入る。
これ長時間入り続けるとなんかかゆくなるんだよなぁ……。
なんでだろ?
そして10分ほど経って、かゆくなってきたのでそろそろ水風呂に入る。
個人的には、長時間水風呂に浸かった後、熱い風呂に入った時のジーンという感じが好きだ。
ゆっくりと体を慣れさせながら入る。
「ふぅぅ〜」
やっぱこれだわ。
この冷たさが気持ち良いんだ。
「おいしょ」
別の人が入って来た。
この人も……機械族か……。
「おや? 今朝もこの水風呂に入ってましたが、好きなんですか? 水風呂」
「大好きです」
「そうなんですか……どんなところが?」
「やっぱこの冷たさですかね。あと長時間入った後に熱い風呂に入った時のジーンって感じが好きです」
「なるほど……お気付きでしょうが、私は機械族でしてね。そういうのを感じれないんですよ。
ですから貴方の様に感じれるのが羨ましいです」
機械族にもそういう事を思う奴っているんだなぁ……。
「失礼かもしれませんが、機械族は何故あったかいとかいうのを感じれないのに温泉に入るんですか?」
「……人族に、憧れたからです」
「憧れた?」
「はい。私達は言わば、人族の脳の電気信号をこの機械の体にぶち込んで、そこからひたすら新しいパーツを古いパーツと入れ替えたりして生き延びてきた種族です。
種族、と呼べる存在ですらないのかもしれません。
ですが人族は、パーツをいちいち変える必要はないし、何かを感じ取る事が出来るのです」
彼は俺の事を真っ直ぐと見てきた。
「私達は、そんな何かを感じれる人族に、憧れたんです」
そして彼は視線を戻した。
「さてと、私は別の風呂に入るとしますよ。長ったらしい話をしてすみません」
「あぁいえ、全然」
「では、またどこかで」
そう言って彼は水風呂を出て行った。
「……人族に憧れたねぇ……」
ちょいとばかし不思議な気持ちになりながら、俺は水風呂に浸かり続けた。
「おいしょ」
あれから一時間が経って水風呂から出る。
そして45℃のあっつい温泉に入る。
「うおー……」
やっぱバカ熱いとこに入るとジーンの強さも凄いなぁ……。
そのジーンを堪能しまくって、温泉から出た。
「いやーすっごい気持ちよかったなぁー」
インワドで俺が温泉に入る理由は裏技探しだっから全然温泉に浸かった記憶ないんだよな……。
少しは楽しめば良かったなー。
宿に戻り、扉を開ける。
「あっ! イイジマ! これ見てこれ!」
扉を開けた途端ルリカがはしゃぎながら突き出してきたものはクエストが書かれた紙だった。
「何だ?」
手に取って見てみる。
『源泉周囲の魔物討伐』
「これが……なんなんだ?」
「それをクリアすれば、色んな所の温泉入りたい放題なのよ!」
「やるしかないじゃないか!」
温泉入りたい放題ってのはやり得すぎるだろ!
「温泉好きだから嬉しいー!」
「私も……嬉しい……」
レカとニルも乗り気だな!
「あれ? ちょっと待て、ニルって猫人族だよな? 水とか好きなのか?」
「温泉に入ると……毛が良くなる……」
なるほど、だから好きなのか。
「んじゃあ明日早速行くか!」
「「「おー!」」」
ルリカとニルはベットで寝て、俺とレカは浮いて寝るのだった。
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