獣人族、ドワーフ族の国に住む
「ルリカ!」
「あっ! イッ、イイジマ!」
白髪の狼人族を倒した俺たちはあの後、順調に別の非常階段に行く事ができ、無事ルリカ達と合流した。
「お前らは大丈夫だったか?」
「うん、大丈夫だったわ、で、でもイイジマの方はなんかあったんでしょ?」
「ん? 何で知ってるんだ?」
「凄い戦闘音がしてたし……爆発もしてたし……」
「あぁ〜」
確かにそんな派手な音聞こえたらまあそう思うか。
「でも俺らは大丈夫だ。まず【超回復】があるしな」
「そ、そういえばそうね……」
辺りを見回す。
「しっかし、ひどい有様になってるなぁ……」
建物とかはほぼ崩壊しており、至る所から火事が起きてる。
……待てよ、火事が起きてるって事は……。
「なあニル」
「何……?」
「ここって通気口みたいな空気を入れ替えるための物ってあるか?」
「……そういえば、無い」
「やっばいなぁー」
「何がヤバいの?」
「このままだと俺らは一酸化炭素中毒で死んじまう」
「えっ!? 死ぬ!?」
今まではこの広い空間と、強靭な肉体のお陰で大丈夫だったんだろうが、今回の煙の量では流石に耐えられ無いだろう。
「取り敢えず生存者と共に逃げるぞ」
「ど……どこに……?」
「ドワーフの国!」
「え!? あそこ行くの!?」
「逆に俺らの泊まってる宿に今の生存者全員泊められると思うか?」
「……無理ね……」
という訳でドワーフの国に行く事になった。
ドワーフの国に繋がる階段の横を掘った道を進み、壁を移動させてゾロゾロと階段を降りる。
「うわぁ……」
「凄い……」
生き残った獣人はドワーフの造った国を見上げる。
「あれ? イイジマさんじゃねぇですかい」
「お、ギーダ!」
久しぶりだなぁー!
「後ろの獣人族は一体どうしたんで?」
「実はな……」
事情を説明する。
「俺らの国に繋がる階段に別の国に行く為の通路があったなんて……今まで気付かなかったぜ……」
「んで、俺は新しい拠点が見つかるまでここで住まわせてあげたいんだ。ダメか?」
「そりゃあ俺が決める事じゃねぇですぁ。女王様の所に行ってくれ」
「分かった」
ニル達にリーファに会って、住めるかどうか聞いてくる事を言った。
「ありがとう……本当にありがとう……イイジマ……」
そして俺はリーファのいるであろう工房へと向かった。
「リーファー? いるかー?」
「!? イッ、イイイイイイイジマ!?」
「イイジマさんだ」
「イイジマァー!!」
リーファが飛び上がって俺に抱き着こうとしてくるので、スッと横にずれて避ける。
リーファはそのまま地面にビターンとぶつかった。
「痛たーっ! なんで避けるのよ!」
「いきなり飛び上がって抱き着こうとして来たら普通避けるだろ」
「ん〜!」
怒ったリーファを宥めつつ、近くの椅子に二人で座る。
「で、私の元に来たって事は……」
「おっ、察してくれて助かる」
「やっと私の魅力が伝わって会いたくなったのね!」
「違ぇよ! 何でそうなる!」
「違うの!?」
「はぁ〜……本当は、知ってるんだろ?」
「……獣人族を私の国に住ませてあげるかどうか、ね?」
「そうだ」
全く、耳が早いってレベルじゃないぞこれ。
もう耳が自立して聞き回ってるだろ(?)
「あのくらいの人数ならば、住まわせる事は可能よ」
「よぉーし! じゃあ……」
「ただ、私にメリットが無いわ」
「メ、メリット?」
「そうよ。メリットが無い、むしろ私達ドワーフが住む場所が少なくなるというデメリットがある」
うーん、よく考えたら確かにそうだ……メリットどころかデメリットがあるのに何かをしてあげるって普通はやらな――
「……なあリーファ」
「何ー?」
「メリット、あるぞ?」
「どんなメリット?」
「俺の願いを叶えられるってメリット」
「!?」
「……どうだ?」
「やるわ」
即答かよ!
「即答かよ!」
おっと、心の声が口に出てしまった。
「そりゃ即答するわよ! イイジマの願いを叶えられるなんて〜。
というか何で私取引を持ちかけようとしたのかしら? ちょっと過去の私をぶん殴りたくなってきたわ」
「落ち着け落ち着け」
荒ぶるリーファを落ち着かせて、獣人族が住んでも良い事になった。
というか、ジルファーナとこの国を遮っている壁をぶっ壊す事も決まった。
ちゃんと一酸化炭素中毒にならないように、大きめの空気穴を造るようだ。
この事をニル達に伝えた。
「やったぁー!」
「ここに住めるんだぁー!」
「ワオォォーン!」
凄い喜んでくれてる……一人吠えてる奴がいたけど、まぁ、良かった。
「んじゃあ俺らは……そうだなぁー、そろそろ次の国にでも行くかー」
武器の強化や、色んな国に行ったし……そろそろ次の国に行く頃合いだろう。
「んじゃあルリカ、明日くらいに出発するぞー」
「えっ、もう行くの?」
「結構長居したしなー。まぁ、俺が行きたいだけだから、嫌なら言ってくれ」
「……あと一週間くらい……ダメかしら?」
「分かった。じゃあそんくらいに」
そして俺はドワーフの国に住んでいた部屋の自室に入ったのだが……。
「…………」
「…………」
何故かニルがいた。
「なにして何してるんだ?」
「その……私は……イイジマの従属……でしょ?」
「んー、まあそうだな」
「つまり私も……イイジマの旅に付いて行ってもいい……って事?」
「……え来てくれんの?」
「うん……」
マジか、来てくれると思ってなかった……。
「大歓迎だが……本当に良いのか?」
「もちろん……! ……イイジマとなら……旅したい……!」
「分かった。んじゃあ一週間後くらいにこの国を出て……まあどっかの国の冒険者ギルドでクエストでも受注する予定だから、よろしくな」
「うん……! よろしく……!」
そして俺はニルと握手をした。
それから、ニルに部屋から出て行ってもらって、そのままベットに潜り込み、寝た。
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