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演奏中のトラブル

「……人族……ですよね?」


「そうだが? 何だ?」


 ニルの演奏する場所は意外とちゃんとした所で、いわゆるコンサート会場的な場所でやるのだった。


 だが……


「人族が獣人族の演奏を聴きに来るというのは……」


「ダメなのか?」


「いえ、ダメでは無いのですが……」


 何故だか入れて貰えない。


「じゃあ早く入れてくれよ」


「しかし……」


 係員っぽい人がそう言った時――


「その人達は……通して……」


 奥からニルが出てくる。


「ニ、ニル!?」


「その人達……私の……主様……」


「ブフッ!」


 係員が笑いを(こら)えきれず吹いた。


「ん゛っん゛! で、でしたら、お通り、くださいっ……」


 やっぱ少し(こら)えられなかったようだ。


 でも獣人族はやはり人族を見下しているんだなぁ……。


 ニルは大丈夫だろうか? いじめられてるとか普通にありそうだけど。


「ニル、あのさ」


「ん……?」


「俺に負けて従属になるってなって、変な事されたりしてないか?」


「……されてない」


「な、なら良かった」


 途中で別れて、俺らは客席に座る。


「ねえ見てあれ」


「人族?」


「なんで人族なんかが……」


 うわーめっちゃ見られてるー。


「これより、演奏を開始いたします」


 そう天井から聞こえ、俺らの事を言う者はいなくなった。


 そして、ステージの横から一人の獣人が出てきた。


 あれは……兎人族(ラビッター)だな。


 彼女は持っていたヴァイオリンを弾き始めた。


 すると、またステージの横から兎人族が出てきて今度はフルートを吹き始めた。


 そしてどんどん増えていって凄い迫力になった。


 いやー、俺コンサートとか行った事無かったからどういうのか知らなかったけど、結構凄いんだなぁ……。


 演奏が終わり、兎人族達がお辞儀をしてステージから去っていく。


 そして次は沢山の弦楽器を持った獣人達が出てきた。


「おっ」


 その中に、ニルもいた。


 演奏が始まる。


「……聞こえないな……」


 と小声で言う。


 何が聞こえないのかというと、ニルの弾いてるコントラバスの音だ。


 まあ低い音を出す楽器な訳だし、聞こえなくても当たり前っちゃ当たり前なのだが。


 そして演奏を聴いていると……


『ドォーン!』


 突如、凄い音と共に地響きが起こった。


「な、何だ!?」


 出入り口の方から煙が出てきている。


 火事……ではなく、ただ単に何かが落ちて煙が舞っているだけの様だ。


「イ、イイジマ、何が起こってるのこれ!?」


「分からねぇ!」


「イイジマー!」


 レカが俺に抱きつく。


「大丈夫だぞーレカー」


「う、うん……」


 って言っても、ホント何が起こったんだ……?


 また地響きしてるし……。


「皆様! 大丈夫ですか!?」


 扉の方から係員が来る。


「指示に従って下さい!」


 そして獣人達が避難し始める。


 一応ステージを見て、逃げ遅れてる人がいないかを見る。


「いないっぽいな……」


 という訳で俺も逃げる。


 たがその時


「ぐあぁっ!」


 前にいた奴が倒れた。


 胸には剣で斬られた傷痕がある。


「きゃ、キャー!」


 ルリカが腰を抜かす。


「……おいおいマジか」


 そしてもちろん倒れた奴の前には斬った奴がいた。


 顔はお面を付けているので分からない。


 そしてそいつは剣で俺を斬りかかろうとしてきた。


「よっ!」


 ルリカを担いで剣が当たらない位置にある椅子に座らせ、あいつが持っている剣をはたきおとす。


 そして蹴りを腹に入れる。


「ぐあっ!?」


 俺を斬ろうとして来た奴は吹っ飛んでいった。


「ほんと、何が起こってるんだこれ……大丈夫かルリカ?」


「イイジマのおかげで大丈夫よ」


「よせやい照れる」


 そう言った時、遂にこの部屋の天井も崩れた。


「イイジマ……!」


 いつの間にか背後にニルがいた。


「ニル! 無事だったか! 良かったー!」


「は、早く逃げるよ……!」


「待て待て、何が起こってるんだよ?」


「私も知りたいわ!」


「私もー!」


「え……えーと……敵対してた国が……攻めて来た……」


「ウッソだろ!?」


「そんな……」


「だから……早く逃げないと……」


「だが、どうやって逃げるんだ?」


「非常階段を……使う……意外と……こういう時を想定して……見つかりにくい場所にあるから……多分大丈夫……」


「よし! じゃあそれで行こう!」


 そして俺らは、ニルに案内して貰って、非常階段へと走るのだった。









「…………」


 イイジマ達がいた部屋の崩れた天井。


 その上に、イイジマ達を見て目を細める白髪の獣人がいた――――。


『面白い!』


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