テレポート魔法陣って一長一短なんだよねぇ〜
ベーナダンジョンのエレベーターを使用して一気に10層へ行く。
金銀財宝を狙う冒険者が沢山いた。
この間あの隠し部屋から出る時に誰もいなかったのは本当にたまたまだったっぽいな。
「押すな押すな!」
「押してねぇよ!」
「どけどけぇー!」
そう言って皆11層へと続く階段を降りていく。
いやー、階段にこんなに人がいるのは見た事無いわ。
金銀財宝は流石に見つからないだろうが、行き方を知られると後々面倒な事になるかもだし、さっさと行ってしまおう。
人混みをかき分けて11層目に降りる。
階段よりもかなり広い空間に出たので、人が分散する。
「んじゃ、バレない様に行くか」
「ええ」
レカを背負いながらその場所へと向かう。
11層目からは中々に層毎の広さが広くなる。
なので、人が沢山いても誰が何をしているのか分かりにくいのだ。
「んーと、こんなもんか?」
「何してるの?」
「魔法陣描いてた」
「ま、魔法陣?」
魔法陣は、わかりやすく言うと設置型魔法の事だ。
トラップみたいなものだな。
「それでそれを描いてどうするの?」
「この上に乗れば金銀財宝に行く為の道に行ける」
「えっ、つまりそれってテレポート?」
「まあそういう感じだ」
「えー!」
この魔法陣は実は裏技で作ることができる魔法陣だ。
本来テレポート系の魔法陣はもっと大きく描かないといけないのだが、小さく描ける裏技を見つけた。
まあ本当の裏技の可能性があるが、この魔法陣を描くのに普通は描かない様な記号も描いているのでおそらく裏技という事になっている。
「あれ? テレポート出来るならそのまま金銀財宝の場所にテレポート出来ないの?」
「この裏技には欠点があって、テレポートが出来る距離が本来の魔法陣より大分短くなるんだよ。だから金銀財宝に直接行けない」
「意外と不便なのね……」
さてと、じゃあ行くとしよう。
ルリカを魔法陣の中央に立たせる。
「うわぁ!?」
その場からルリカが消えた。
「さてと、もっかい描くか」
魔法陣が使えるのは一回ポッキリなのだ。
普通の人が描いたら15分くらいはかかるだろうが、俺は慣れているので3分で描き終わる。
そしてレカを背負いながら俺も乗ってテレポートする。
「あっ、来た!」
ルリカが体育座りして待っていた。
「悪い悪い、少し描くのに手間取った」
「それじゃ、行きましょ」
「ああ」
そう言って歩き出した――が
「あ、ここで裏技やるぞー」
裏技やってから5秒で違う裏技をやる。これが俺クオリティー。
「何の裏技をやるの?」
「誰でも出来る! 壁貫通裏ァー技!」
壁貫通と一言で言っても沢山のやり方がある。
俺がいつもやってるのはその中で一番難しいくて一番早く出来るやつだが、そんなものがあるなら手間がかかるが誰でも出来るやつも勿論ある。
さっきの魔法陣を描いても良いのだが、ここでは普通に壁を貫通するだけで良いので、壁貫通裏技をした方が良い。
「ど、どうやるのそれ?」
「簡単だ、壁に向かって30回ジャンプして右足を高速で動かして壁に埋まったら右にターン、そして手を上に伸ばして下にやる。
そんで左にターンして左足をピンと前にやれば貫通出来る」
「工程多いわね……」
「まあそれでも皆これ出来るだろ」
「まあねぇ」
そう言ってルリカは壁に向かってジャンプし始めた。
「でもっ! 工程多いからっ! 凄いっ! 疲れるわっ!」
そう言う穴に右足を高速で動かし始める。
「まあそれはしゃーないだろ」
「そうなのだけれどぉ!?」
壁の中にルリカが埋まる。
ま、あと30秒くらいしたら俺らも行こう。
「イイジマー」
「ん? どうした?」
「ルリカお姉ちゃんの魔力の気配壁の中になーい」
「向こうにいるからそりゃあ……」
「向こうにもなーい」
「!?」
おいおい待て待て! ルリカの気配が消えた!?
レカは魔力を見れるから壁の中にいても分かるのだが、その魔力の気配がない!?
ちょっ、マジか!
「探すぞ!」
「うん!」
くそ! 俺の知らない裏技の〝不具合〟が起きちまった!
何で、何で今何だよぉぉー!
読者の皆様。
数日投稿しなかった事についての弁解をさせて下さい。
率直に申し上げますと、スランプでした。
数日間アイデアが浮かばなかったのです。
楽しみにして下さった方々、本当に申し訳ありませんでした。
次回を楽しみにしていて下さい!




