地上の空気美味ぇー! ……あれ? 何か騒がしくね?
長い階段を登り、空から陽の光が照らしてくる。
「地上だぁー!」
何だかんだ空気が美味く感じるぅー!
「じゃあ早速町に行こうぜ!」
「ちょ、ちょっと待って……」
ルリカがぜぇぜぇと息を荒げている。
「ルリカお姉ちゃん情けなーい!」
俺に背負われているレカがルリカを指差してそう言って笑う。
「背負われている貴方に言われたくないわ!」
その言葉でまたレカが笑う。
「【超回復】」
「あ……」
ルリカの疲労を回復してやる。
いやぁーほんと【超回復】は便利だなぁー。
「じゃあ行くぞー」
そう言ってレカの位置を少し上に上げて歩き出す。
「ちょ、ちょっと待ってー!」
ルリカが走って俺の隣に来てトイトイと押したりしてくる。
「ちょ、押すな押すな」
「うふふふふ」
レカを背負ってるのに笑いながら押してくるとかサイコパスか……?
そうして町に帰ったのだが……
「おい、今日行くのか?」
「ああもちろんだ。絶対に金銀財宝が眠ってるに決まってる」
「でもなぁ……」
「うーむ……」
凄い町が騒がしい。
というか金銀財宝が眠ってる? どういう事だ?
取り敢えず冒険者ギルドに向かおう、何か分かるかもしれないし。
冒険者ギルドにテレポートして、掲示板の前に行く。
「うおぉぉ……」
掲示板に貼られているクエストがとんでもない事になっていた。
『【急遽】ベーナダンジョン11層目探索』
『【緊急】ベーナダンジョン11層目探索』
ほぼ同じ事が書かれたクエストが壁に貼られまくっていた。
「な、何が起こってんだこれ……」
「分からないわ、でも10層目が発見された時はこんな風になってなかったわ」
ちょっと受付嬢にクエストクリア報告ついでに聞いてくるか。
「あー、えと、10層の探索終了しました」
「かしこまりました。こちら、報酬の5000Gになります」
「どうも。あぁそれと、なんか11層が騒がれているんだけれど何か知らないか?」
「つい最近ベーナダンジョンに11層目が発見されたのですが……今までと全く違うモンスターや素材がありまして……あそこには金銀財宝が眠ってるんじゃないかと皆騒いでるんです」
あぁーなるほど、確かにダンジョンには10層ごとにステージの内容がガラッと変わってるやつもある。
インワドの最初の頃もこんな事になったりしてたっけなぁ……。
「なるほど、ありがと!」
そう言ってルリカ達の元へ戻る。
「何か分かった?」
「分かったー?」
「どーやら、ベーナダンジョンの11層目が他の層と違うから皆金銀財宝でもあるんじゃないかって思ってるらしい」
「へぇー、あるのかしらね?」
「あるぞ」
「まああるわけな――え!?」
そう、ベーナダンジョンの11層目には本当に金銀財宝がある。
まあ皆が想像するような量ではないが、それでもかなりの額だ。
「あ、あるの!?」
「ああ、ある」
「総額って……どれくらいなのかしら?」
「大体……5000万Gじゃないか?」
「5 0 0 0 万 G ! ?」
……あ、ルリカの頭オーバーヒートしたな。
「イ、イイイイイイイジマ! 早く取りに行くわよ!」
「何でだ?」
「5000万よ5000万! 一年は遊んで暮らせるわよ!」
「行かない理由は単純だ。そこに行くまでが面倒なんだ」
「ならいつもの裏技で……」
「裏技使ってもめんどいんだ」
「何で?」
「単純に距離が長い。あと使っても大してショートカットにもならない」
「あぁ……」
今言った一文で大体の事を察したのか、先程までの様なキラキラした目ではなくなった。
……まあ5000万欲しいっちゃ欲しいな……。
「だが、楽が出来る事に変わりはない」
「え?」
「正直なところ俺も5000万欲しいっちゃ欲しいから行くよ」
ルリカが満面の笑みを浮かべる。
「イイジマァ〜! そう言ってくれると信じてたわ!」
そう言って肩をグイグイしてくる。
「ほらほら、さっさと行くぞ」
「ええ!」
「頑張ろー!」
そう言って俺らはベーナダンジョン11層目にある金銀財宝を取る為に冒険者ギルドから出るのだった。
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