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ダンジョンを掘って国にしている訳

 壁から掘り出して貰って一時間後、俺らは宮殿内の一室に集まっていた。


 黒曜石ゴーレムと戦う前に約束しておいた、何故ここまでドワーフ族が弱くなっているのかを知るためだ。


「で? 何があったんだ?」


「まずそれを話すには……私達が何故このダンジョンに国を造り始めたかを話さないといけないわ」


 そう言ってリーファは話し始めた。


「私達は数ヶ月前までは普通に地上の洞窟内で暮らしていたの。

 だけど……ラーヴァ国の近くだったのが災いしたわ」


 ……ラーヴァ国って……。


「イイジマの察した通りよ、魔王の軍勢がラーヴァ国を攻める時に私達の国にも攻めて来たの。

 勿論私達は戦ったのだけれど、相手が強すぎたわ。

 白い髭を生やした魔族の腕が……変形したりして……」


 それリレオじゃねぇか!


 あいつドワーフ族襲ってたのかよ!


「うぅ……」


 レカが少し(うつむ)いている。


 あっ! レカにとっては自分の仲間達がやっちゃた様な物だ!


 しかも年齢低いから自責の念とか絶対ある!


「大丈夫だレカ」


 小声でレカにそう言う。


「う、うん……」


「そして、その魔族の影響により、ドワーフの精鋭の8割が壊滅。人口も4割減らされました」


「え!」


 ルリカが手を口に当てている。


 四割……ドワーフはかなりの人口だから何千万、何億人かは死んでる。


 リレオ……やっべーな。


「私達はその後魔王の軍勢から逃げ続け、このベーナダンジョンの11層目からを国にしているの」


 ドワーフ族の技術力ならばダンジョンの壁を壊す事は容易いから、中々良い案だな。


「でもここに逃げて来るまでにも沢山の人が殺されて……それでここまで弱くなってしまったの」


 いやーでもまさかドワーフ族にそんな事が……。


「なるほどなぁ……だからあんなに弱くなっちゃってるのか……」


「そうなんです……はぁ〜、イイジマに恥ずかしいところを見られちゃった……」


 そう言って平然を装おうとしているが、過去の悲劇を思い出した事によって話す前より顔色が悪い。


「無理すんな。流石に今話した事はキツいだろ」


「うっ、ううっ、イイジマァ〜!」


 そう言って俺に抱き付く。


「やめっ! おい! 離れろ!」


「え? 今の言葉抱きしめて欲しかったから言ったんじゃないんですか?」


「な訳無いだろ!」


「えへへ〜」


 何か……コイツ大丈夫な気がして来た。


「私もー!」


 レカも俺に抱きつく。


 先程の話の事もあってか、いつもより少しだけ力が強かった。


「イイジマ、それで、これからどうするの?」


「んー……どうするか」


 そう、この国の事情を知ったところでぶっちゃけ俺らにはどうする事も出来ない。


 教えてくれと言ったのは単純に俺が気になったからだ。


 そして俺達は今クエストの最中だから、本来であればもう帰っているべきなのだ。


 だがここで「まあ頑張れ」と言って立ち去るのも後味が悪すぎる。


 でもなぁー……流石の裏技(バグ)でも何かを生き返らすのは不可能だ。


 ゾンビ化させるという方法があるが……そういう事では無いだろう。


「そうだリーファ、毎度お馴染みの〝取引〟をしようぜ?」


 そう言うとリーファの目が細くなる。


「……良いわよイイジマ、取引、しましょ」


 リーファは取引が大好きなのだ。


 正確には俺との取引が。


 インワドやってる時にはよく取引していた。


「二人は先部屋に帰っててくれ、10分くらい話し込むと思う」


「わ、分かったわ……考えといてね」


「またねー」


 そう言って二人は帰って行った。


「さてと……まず取引の内容を話そうか」


「分かったわ」


 リーファがそう言ってから俺はベルトに挟んであった銃を取り出す。


「……それは?」


「おや、知らないのか。意外だな。コイツは銃って言う武器だ」


「これが……武器……」


「飛び道具で、この穴から弾を高速で射出するんだ。やり方はこのレバーみたいなのを引くだけだ」


「なるほど、それでこれがどうしたの?」


「コイツを改造して欲しい」


「……なるほど?」


「具体的に言えば、威力増強、耐久力増強、後はまあそうだな……反動を少なめにしてくれれば良い」


「それで、イイジマは何をくれるの?」


「代わりに俺らは……お前らに今必要な裏技を教えてやる」


「なっ!?」


 そう、リーファは、裏技を知る数少ないNPCの一人なのだ。


「裏技をって……イイジマが方法をひた隠しにしていたやつじゃ……」


「銃を改造して貰うってのは俺にとってそれくらいありがたい事なんだよ」


「分かった、リターンがそれならもうこちらから喜んで取引させて貰うわ」


 そう言って俺らは立ち上がって握手をした。


「取引、成立だな」


「ええ」


 そしてお互い笑顔を浮かべた。


 もちろん悪役がやるような笑みや、裏があるような笑みじゃない笑顔を。


『面白い!』


『気に入った!』


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