ダンジョンの隠し部屋は男のロマン
今ほどここにマッチ売りの少女がいたら良いなと思う事はない。
もう籠に入ってるマッチ全部買うわ。
そう、俺らは絶賛……
「ちょ! 肩そんな強く掴むなって!」
「だ、だって……んひぃ!? こ、腰に何か……」
「んひひー」
「もうレカちゃん! 今そういうのはダメよ!」
クソビビりながら10層目を探索している。
暗いの怖すぎだろ。
魔物が見えないから壁沿いにソローっと歩く。
あぁーこんな事なら光を灯す魔法とかスキルとか取っとけば……
「あ、出来るやん」
「何が?」
「灯りを灯す魔法とか俺今スキルポイント2800あるから取得出来るわ」
「……それもっと早く気付きなさいよ〜!」
「悪い悪い」
早速スキル&魔法取得画面を開き、光系の魔法のところに行く。
さてと……どれを取ろうか。
一応【太陽の光】とか【神の威光】とかいう最高位の光魔法とか聖魔法が取れるが……こういう場面でしか使わなさそうだしな……。
無難に【光球】とその光球を操作できる【光球操作】を取得しとこう。
という事でパパッと取得する。
「よし、これで明るくなるぞ」
ポワッと上に浮かべる。
「わー、ここってこんな風だったのね」
黒くてゴツゴツしていて、少しテカテカした壁だ。
これはインワドと変わらないなぁ……。
「それじゃ、ささっと探索して地図描いちゃおうぜ」
「そうね、早くやっちゃいましょ」
「おー!」
まあこの層の地形は覚えてはいるんだけど、これまでインワドと違う事が多々あったので、ちゃんと確認する事にした。
「……同じだな……」
探索した結果、地形も完璧に一緒だった。
地図をカリカリと描いてバックにしまう。
「んじゃ、帰還し――」
『ガコン』
……何か、嫌な音がした気がする……。
音がなった方を見る。
そう、自分の足元を。
「うわー……」
何か地面凹んでんだけど。
「イイジマ! だ、大丈夫なの!?」
「今んところは大丈夫だ。だが……この足を地面から離したらどうなるか分からない」
このトラップ、インワドには無かったやつだ。
ど、どうなるんだ……てかどうしたらいいんだ……。
「ルルルルルルリカ、これどどどどどうしたら良いと思う?」
「凄いビビってるじゃない! というか私に聞かれても分からないわよ!」
こういう時に使える裏技無いんだよなぁ……。
くそー! 運営! 前にも言ったがもっとバグらせといてくれよ!
「あっ! この床出っ張ってるー! えいっ!」
レカがその出っ張った床を踏む。
「あっ、おい!」
その瞬間ゴゴゴゴゴと地響きがする。
「な、何だ!?」
するとすぐ横にあった壁が動き始める。
そして奥に空間が……
「隠し部屋か!」
「とつにゅー!」
レカがスタタタと隠し部屋に入って行く。
「まっ、待ってレカちゃーん!」
ルリカも走って行く。
「あぁーもう! 俺も行くっきゃねぇじゃないか!」
そして俺も走って行く。
だが、俺が入った瞬間後ろの壁が閉じる。
「やっべ、閉じ込められた!」
……あれ? 閉じ込められた割には明るくね?
「なっ!?」
灯りが……付いている……だと!?
「見てー! 灯りー!」
「さ、触っちゃダメよレカちゃん!」
取り敢えずルリカ達の所へ行こう。
「レカー、マジでルリカの言う通り何も触んないでくれ、俺まだ死にたくない」
「分かったー」
レカがルリカに抱きつく。
「うん、それなら良いぞ」
地面に罠が無いのを確認して床に座る。
それにしてもダンジョンの隠し部屋かぁ〜……オラわくわくすっぞ。
隠し部屋と言ったら宝! あと隠しボス!
…………頼むから隠しボスポジションの敵来ないでくれ。
俺ら宝のみ受け付けてるんで。
「ねえイイジマ」
「ん?」
「この隠し部屋は何で灯りがあるの?」
「さあな、マジで分からん」
自然に生成されたもんじゃないって事は確かだ。
『ゴゴゴゴゴ』
「「「!?」」」
壁が動き始めた。
「ちょ、え!? どうする!?」
「どうするって!」
「んっ!」
レカが俺に凄い力で抱きつく。
おぉう……レベル500でもそこそこ痛いんだが……。
そして壁が完全に開いた先にいたのは……
「ぬぁ!? ちょ、何者だお前ぇら!」
ツルハシとシャベルを担いだ…… 〝ドワーフ〟だった……。
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