さぁて、お祭りを楽しも……じゅるり
「おや、帰って来たのかい?」
「ああ、久しぶりだな、おばさん」
宿屋にてあの納豆の作り方を教えてくれたおばさんと話す。
「ったく、あの日あんたはおっ死んじまったと思ってたよ」
「あんたも俺が死んでると思ってたのかよ」
「まあね、遠い所へ行くって言ってたからねぇ……本当に遠い所にでも行っちまったと思ったよ」
「ひでぇなぁ婆さん」
「で、泊まってくのかい?」
お金を一泊分払う。
「……今晩だけかい?」
「ああ」
「……部屋の鍵だ、飯の時間は7時だよ」
「ありがとう」
部屋に入り、一旦宙に浮く。
「イイジマ、一泊分だけなのは何故?」
「ちょっと明日から次の町に行こうかなと思ってな」
「次の町?」
あーそうか、プレイヤーにとっては次の町だが、NPC達にとってはただの町だもんな。
「ルード町だ」
「ルード町……行くのに大体二日くらいかかるかしら?」
「確かにそんくらいだが……10秒で行ける方法あるぞ?」
「察したわ」
「何何ー?」
「人族領に来る時に葉っぱに落ちて来たでしょ?」
「うん!」
「それと同じ種類の移動方法……テレポート裏技というのを使うのよ」
「楽しそー!」
「ま、木登りみたいなもんだから楽しいっちゃ楽しいだろうな」
「下手したら死ぬけれどね……」
「普通の木登りもそうだろ?」
「まあそうなんだけれど」
くるくると空中で回転する。
「私も飛びたい飛びたぁーい!」
「じゃああのベットの隅に立って数回飛び跳ねてからでんぐり返し、バク転などをすれば良いぞ」
「ちょ、子供に出来る訳ないじゃない!」
「出来るよー!」
「え」
レカがベットの上でバク転をする。
「ね!」
「す……凄いわね……」
そしてレカも宙に浮く。
「わー! 楽しー!」
可愛い……。
「今日がこの町にいる最後の日になる訳だし、お祭りにでも行かないか?」
「良いわねー! 行きましょうか!」
「お祭りお祭りー!」
部屋を出て町でやってるお祭りのお店に向かう。
「わぁ! これとか美味しそうね!」
「これ綺麗ぇー!」
「はしゃいでんなぁ……」
よし、俺もなんか探す事にしよう。
と言っても何を探したら――
「らっしゃいらっしゃい! 美味いよー!」
…………じゅるり。
何かあれ凄い美味そうなんだが……何だあれ?
「それは何なんだ?」
「おっ、お兄さん興味あるかい? コイツはイカっていう海で取れる生物を焼いたもんだ。
見た目が魔物みたいだから食わない人が多いんだが……控えめに言ってめちゃくちゃ美味い。
それに毒とか無いから安心して食べれるぞ」
イ カ 焼 き ! ?
これが!? でもまあそう言われたらなんかそう見えてくる……。
よし! 買おう!
「一つくれるか?」
「毎度ありぃー!」
お金を払って早速頂く。
「はぐっ!」
…………美味ぇ……。
一応元の世界に居た時からイカ焼きは好きだった。
というかこの味付け……焦がし醤油か?
店主さぁーん分かってるねぇ〜!
3分程で食べ終わる。
「美味かったー!」
その後もお店を見て回ったが良い物はなかった。
さてと、そろそろルリカとレカの所へ合流しよう。
「あー惜しいわねー」
「難しーい」
あっ、ルリカとレカだ。
何してるんだろ?
…………輪投げやってる……。
「順調かー?」
「あっ、イイジマ!」
「どれどれ……」
……なんか壁に刺さってる輪っかがあるんだけど?
「ルリカ……あの輪っかは……」
「あぁ……あれはレカちゃんが勢い余って……」
予想通りだな。
「店主さん、すいません……」
「いやいや、あれくらいの傷ならなんか貼っとけばバレないから、大丈夫だよ」
良い人ッ! この人良いだっ!
「さぁて、最後の一個よ! 頑張って!」
「うん!」
レカが狙いを定めて……投げた!
『スポッ』
「やったぁー! 入ったぁー!」
「やったわねレカちゃん!」
「ほら、こん中から好きなの取ってきな」
「わーい!」
出された景品の中から何かを取った。
「何取ったんだ?」
「これ!」
レカの手にはプラスチックで出来たピンク色の宝石が付いたネックレスがあった。
「ほー、良いじゃないか」
「でしょー!」
頭を撫でると凄いにまぁとした顔で笑った。
この笑顔を守らないとな……いや本当に守らないとだ、レカって一応魔王だし、人にバレたらヤバい。
「結構いい時間だし、宿に戻るか?」
「そうね、帰っても良い時間ね」
「もっと遊びたーいー!」
「イカ焼き買ってやるから我慢してくれ」
「いかやき?」
「えっ、私も知らないのだけれど……何それ?」
「まあ食ってみ食ってみ」
先程の店に行ってイカ焼きを買う。
「うぇぇ!? 何それ!?」
「これがイカ焼き」
「……魔物?」
「違う」
「毒は?」
「無い」
「……食べてみるわ」
刺さっている棒を持って一口齧る。
「!?」
「どうだ?」
「美味しっ!」
「私も食べたーいー!」
「ほら」
「はむっ……美味しい……」
どうやら気に入って貰えたようだ。
「じゃ、それ食いながら帰ろうぜ」
「ほうひまひょ」
「もぐもぐ……」
宿屋の部屋に帰り、お祭りで食べたイカ焼きで腹が減っていないので俺たちはそのまま寝る事にした。
因みにレカが俺の真似をして宙に浮いて寝たのだが、寝相が悪くて俺にめちゃくちゃぶつかって来た。
まあ……可愛かったから良し!
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