何でも(裏技)ありの鬼ごっこ
「うおおおおぉ!!」
「待てぇー!」
今俺は、壁を貫通しつつ、鬼ごっこをしていた。
鬼は魔王で、俺は今絶賛逃走中。
「おらっ!」
壁抜け裏技を使用し、別の通路へと逃げる。
だが……
「凄い魔法だね!」
既に先回りされていた。
タッチされそうになるのを躱して、さらに壁抜けをする。
さて……こうなったのはざっと10分ほど前の話である。
「なあレカ」
「なぁにイイジマ?」
リレオに遊んであげて欲しいと言われていたのでレカに話しかける。
「ちょっと一緒に遊ばないか?」
「え!? 良いの!?」
「ああ良いぞ、何して遊ぶ?」
「うーん……鬼ごっこ!」
「またかぁー?」
「あれ楽しかった!」
俺は死を感じたよ。
「分かった、じゃあ今度は俺が鬼か?」
「私が鬼やるー!」
「ほぉ、別に良いが……鬼が好きなのか?」
「うん! 追いかけるの楽しーから!」
なんかちょっと怖いな……。
「じゃあ俺逃げるからなー」
「うん!」
そして扉に手をかけて、一つだけ提案をする。
「なあレカ」
「何ー?」
「一つ提案なんだが……魔法とかアリにしないか?」
「面白そー! 良いよー!」
「んじゃ、俺今度こそ逃げっから!」
そう言って扉を開けてすぐさま壁に向かって空中でターンをしながら突撃する。
「抜けろぉー!」
足が壁を貫通する。
「よっしゃ!」
そのままズルっと全身が壁を貫通し、隣の通路に出る。
「行けたぁー!」
両手を上げて喜ぶ。
壁貫通裏技はただ空中でターンをして壁にぶつかれば良いわけじゃない。
角度とか体制とかにも注意しないと行けない。
と言っても、壁貫通裏技は複数あってぶっちゃけ他のやつの方が簡単だ。
では何故それをやらないのかというと……それをやる為の装備がない。
剣や盾なんかだ。
なので俺は最高難易度の壁貫通裏技をやっているのだ。
まあもうインワドプレイ時代に慣れたので問題は無いのだが。
ただ最近はあまりやっていなかったので行けるかどうか心配ではあったのだ。
「おっと、喜んでる場合じゃないな」
レカはもう追って来ている筈なので、急いで何回も壁を貫通する。
「一旦ここまで来りゃあ……」
だが、なんか風切り音がする。
まるで電車が来る前の様な……。
「マジかよ」
これ来てるな……また目の前の壁に飛び込む。
慣れているとはいえマジでミスが許されない裏技だから、集中力を使う。
他の裏技も使おうかと思ったが、即出来るものが無い。
「このまま貫通しまくるしか無いか……」
また貫通する。
だが……
「いたー!」
通路には既にレカがいた。
「うおっ!? マジか!」
【神速】を発動してタッチされない様に避け、急いで壁を貫通する。
「待てぇー!」
何で出た先にいるんだよ!
移動速度イカレてんのか!
すぐ地面を蹴って自分が出てきた壁に戻る。
やっべー、ビビって戻っちまった。
壁から出たらすぐに壁を蹴る。
「とりゃー!」
危ねー壁を蹴ってなかったらタッチされてた!
「もー! 待て待てー!」
いやマジで何で【神速】発動してるのになんで追いつけるんだよ!?
絶対今度ステータスを見せて貰おう。
そう思いながら壁を貫通する。
ここら辺の通路は大体覚えている。
そしてここに来るには少し曲がった道を走らないといけないので少し時間がかかるので、その隙にまた壁を貫通する。
貫通して走ったのだが……
「えーい!」
『ボコォォ!』
「……は?」
壁が、ぶち壊されていた。
「うおおおおぉ!!」
「待てー!」
壁ぶち壊すってなんだよ!?
大丈夫なのかあれ!? てか直せるのかあれ!?
「おらっ!」
そう思いつつまた壁を貫通する。
「凄い魔法だねー!」
先回りは……予想済みだ!
体を捻って回避。
「わわっ!」
そしてまた壁を貫通する。
すると、どこかの部屋に出た。
紙が乱雑に置かれていて、何か色々書かれている。
部屋の奥には変な装置が見えた。
あ……あれぇ……? こんなとこに部屋なんてあったか?
ていうか、扉はここら辺には無かったし……。
「ドーン! タァーッチ!」
「ぐあっ!」
少し吹っ飛ばされる。
因みに壁は盛大に吹っ飛ばさていた。
「痛ててて……」
「私の勝ちー!」
「強いなぁレカは」
「んふふふふー!」
辺りを見回してレカの頭を撫でる。
「なあ、ここが何の部屋か分かるか?」
「んー? 分かんなぁーい」
レカも知らないのか……ここは一体……?
「イイジマさん」
部屋の奥からリレオが出てくる。
「リレオ、この部屋は……?」
そう言った途端急に魔法を放ってきた。
「うぁぶ!? 何すんだ!」
「この部屋を見られてしまいましたので……申し訳ございません……」
「いや俺この部屋が何かも分かってないぞ!?」
「部屋の存在を知るだけでもダメなのです」
そう言ってまた魔法を放ってくる。
「レカッ! お前は逃げとけッ!」
そう言って壊れた壁からレカを逃がす。
まあレカの走るスピードなら捕まる事は無いだろう。
「さぁて、リレオ、お前にはちょっと聞きたいことがある」
「教える事は無いですよ、何も」
そして俺はリレオとの距離を詰めるのだった――。
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