さあ、あの裏技を試しに行きましょう
あの後、私達は宿へと戻って、一夜を過ごした。
そして今日、ヴィヴィスさんから貰った機械族の核を使う裏技をやる為、この国から出る準備をしていた。
「皆んな、忘れ物とかはないかしら?」
「無い……というか……そもそもそんなに荷物持ってないし……」
「そ、それもそうね……」
そう、今更だが私達は、殆ど荷物を持っていないのだ。
理由は、王都の私の家に色々な物を置いてきてしまったのと、単純に今まであまり手に入れてこなかった事だ。
「私も準備出来たわ」
リーファは、女王様だからか私達よりも少し多めの荷物を持っている。
と言っても、中に入っているのはドワーフによって作られた道具が少々とそれ以外全部イイジマに関連する物なのだけれど。
「ぼ、僕も出来ました!」
イイジマもそう言ったので、私は立ち上がる。
「よし! それじゃあ行きましょう! イイジマの記憶を取り戻す裏技をしに!」
「「おー!」」
そう言って勢いよく部屋の扉を開けたが、すぐに出発は出来なかった。
「皆んな準備出来てるー?」
「あぁ、もうちょっと待ってちょうだい。今機械族の核をしまうところだから」
と、部屋の中からそう声がした。
そう、機械族の核は何かあった時用にどんな脅威でも排除出来るイライザ達に預けていたのだ。
「分かったわ」
そう返事したは良いものの、流石にどう機械族の核をしまうのかちょっと気になる。
なので、部屋の中をちょっとだけ見てしまった。
「服とかで包み込む感じじゃ……ダメ……?」
「ダメでしょ! 絶対それ精密機器なんだから! そんな事したら壊れちゃうって!」
「でも……梱包材とかそう言うの無いし……」
「梱包材がここにある!」
イライザがそう言うと本当にイライザの手元に梱包材が現れた。
「これを使いましょ」
「おぉ……ありがとイライザ」
「お安いご用よ。何せただ言うだけだしね」
そう言って、梱包材で機械族の核を包むニル達。
うん、普通にちゃんとしたやつだったわ。
何というか、イライザ達なら想像もつかない様な方法でしまうと思ってたんだけど……まあ、普通な方が良いわよね!
「よし! 出来たわー!」
「それじゃあ、出発しましょう!」
そうして、私達は宿を出た。
もちろん、機械族の核に細心の注意を払いつつ。
「あっ……待ってルリカ……」
「ん?」
「確か……あの国…… 〝人魚族の国〟って崩壊してなかった……?」
「そう、そうなのよね……だからある意味一か八か状態なのだけれど……」
「それに関しては問題ないと思うわよ」
イライザが自信満々にそう言った。
「何で?」
「人魚族の建築作業は、海中だから凄くやりやすいの。だから結構復興されているとは思うわよ」
「なるほどね……」
確かに海の中なら泳いで地上だったら色々道具が必要な所にも行けちゃうのか……。
なら、裏技が出来る可能性も高いわね!
「それじゃあ、イライザお願い」
「おっけー……私達は人魚族の国に瞬間移動した!」
その瞬間、私達は海の中へと移動した。
「う、海の中!? い、息が出来……あれ? 出来るわね」
「人魚族の国の近くなら息が出来るらしいわよ」
「そうなのね」
そうして、私達は人魚族の国を見てみる。
「……うん、まあ、こんな感じよね」
至る所の建物は崩壊しており、瓦礫でいっぱいだった。
でも、ちゃんと復興しようとしている形跡もあり、一部の建物はもう直っていた。
「でも凄いね……あの爆発から少ししか経ってないのに……」
「ええ、イライザの言った通り物凄く早いわね」
「でしょ?」
イライザがムフッと腰に手を当てて胸を張る。
いや、何であんたがそこで威張るのよ……。
「ともかく、これならあの裏技が出来る場所まで行こうね!」
「そうね。それじゃあ行きましょうか」
そうして、私達は裏技が出来る場所まで向かった。
「……ここ……かしら?」
「っぽいわね。ヴァイナの情報ではここよ」
「こ、ここなの!? 本当に!?」
皆んなが戸惑うのも無理はない。何せそこは――
「また王宮に……潜入しなきゃなの……?」
そう、私達が前に潜入した、王宮なのであった。
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