四日間何する? 四日目 午後
ともかく、私達は部屋に鍵を掛けてヴァイナを地面に座らせた。
もちろん、ちゃんと囲むようにして私達は立った。
「で、何の用なの?」
「えっとですね〜☆ ただただ私は〜☆ 情報を提供しようとしただけですよ〜☆」
「情報?」
「はい〜☆ その〜☆ イイジマさんの消えた記憶について〜☆ 何ですけど〜☆」
「「「「「!?」」」」」
イ、イイジマの記憶について!?
と、とんでもない情報を持って来たわねこいつ!
「もし情報が欲しいんのでしたら〜☆ ちょっと警戒を解いて貰える事って出来ないでしょうか〜?」
「何故?」
「緊張して喋れないからです〜☆」
「……」
絶対に嘘……! だけど、そうしないと話してくれなさそうだし……。
「…………」
私は皆んなに目配りをして、少しヴァイナから距離を取って貰った。
「ありがとうございます〜☆ それじゃあ、お話ししますね〜☆」
あっ、コレだけで話してくれるんだ。
他にも何か要求されるものかと思ってたけど……。
「まず〜☆ イイジマさんの記憶が消えてるのは〜☆ チートって呼ばれる技によるものだってのは知ってますかね〜☆?」
「それくらいなら知っているわ」
「そうでしたか〜☆ ならば話は早いです〜☆ そのチート〜☆ 恐らく裏技で消せるんですよ〜☆」
「「「「「……は!?」」」」」
え? 裏技で消せ……は!?
「私がむか〜しに見つけた裏技の一つに〜☆ リロード裏技と言うのがあって〜☆ それをやれば〜☆ その名の通りイイジマさんの体や脳の構築自体が再読み込みされて〜☆ 記憶が戻るんじゃないかと思ったんですよ〜☆」
「……なるほどね〜」
イライザがそう言って顎をさする。
イライザの言わんとしている事は分かる。
本当かどうか、仮に本当だとしてもその裏技にデメリットが無いか。
そして、何故こんな情報を提供するのか。
「分かっています〜☆ 私が何でこんな情報を言うのか気になっているんですよね〜☆?」
「そうよ、その通りよ」
「ならば〜☆ イライザさんの能力で私に本当の事しか話せない様にしてみて下さ〜い☆」
「……チートで無効化してるとかは無いのよね?」
「あら〜☆? 今の私は本当の事を話すとは限らないのでは〜☆?」
ちょっとムカつくわね……。
「はぁ〜……ヴァイナは正直な事しか言わない!」
よし、これで多分本当の事しか言わなく……なったのよね?
「それじゃあ早速質問だけど、何で私達にそんな情報を与えに来たの?」
「それは〜☆ 単純に私が興味を持ったからです〜☆」
「興味?」
「私以外にこの世界の不備を知っている人はいませんでしたし〜☆ 何より私以上に知っていたので〜☆ 是非お聞きしたいなぁ〜と☆」
「そ、そんな理由で……?」
「私にとっては〜☆ とぉ〜っても重要な理由なので〜す☆」
そう言ってヴァイナはニコニコと笑った。
「それじゃあ次の質問よ、貴方の言う裏技には、何か後遺症が残るとか、そう言うのはあるの?」
「無いです〜☆ そもそも〜☆ 仮に後遺症が残る様な裏技を紹介したら〜☆ もしかしたら裏技を教えられなくなっちゃうかもですしね〜☆」
「そう……それじゃあ最後、貴方はチートで私の能力を無効化してる?」
「いいえ〜☆ ちゃぁ〜んとイライザさんの能力の効果を受けていますよ〜☆」
「……」
イライザがじっとヴァイナの目を見つめる。
「私は嘘吐きを判断出来る!」
そう言ってより一層イライザの事を見つめた。
「……嘘は言ってないわ」
「って事は!?」
「ええ、彼女が言っている事は本当。つまり後遺症無しでイイジマの記憶を治せる裏技がある」
「「「「「〜〜っ!」」」」」
遂に! 遂にイイジマの記憶を治せそうな方法が見つかった!
凄い時間が掛かっちゃったけど、行けたわ!
「それじゃあ、早速その裏技を教えて貰えるかしら?」
「はい〜☆ その方法は〜☆」
そうして、ヴァイナは裏技のやり方を話した。
「なるほど、その《《場所》》と《《道具》》があれば……」
「イイジマの記憶を治せるって事ね!」
とんでもない光量の光明が見えたわ!
「それじゃあ、早速そこにしゅっぱ――」
「待って! 明日はヴィヴィスさんから記憶を取り戻す為の装置を受け取る日よ!」
「あっ、そう言えばそうだったわね! でもこの裏技を知っちゃったし、もう必要ない気も……」
「いや……その装置で取り戻せれば……それはそれで良い……」
「その通りね。それじゃあ、明日まで待ちましょうか」
「そうしましょう! 良かったわねイイジマ! 貴方の記憶が戻るわよ!」
「はい! ありがとうございます! 物凄く嬉しいです!」
私達はハイタッチしながら、その喜びを噛み締めた。
「あのぉ〜☆ 水を差すようで申し訳ないのですが〜☆ 私普通にこのまま帰って良いんですかね〜☆?」
「「「「「あ」」」」」
そうだ、ヴァイナどうしよう。
「記憶を消して帰らせるとかは?」
「あー、それ良いわね、そうしましょうか。それじゃあ……私達にあった事と、ここに来た目的は忘れて、これから一分後の事も記憶に残らない!」
「それじゃあ〜☆ 私は宿から出ますね〜☆」
そう言うとヴァイナは、自分から宿から出て行った。
「……ねえルリカ」
「? 何かしら?」
「本当にヴァイナはあれが理由で教えに来たのかしら」
「と言うと?」
「何て言うか……あのチートを使う奴に教えてこいとか言われたとか……」
「それはないと思うけど……何で?」
「いやいや、敵だった奴よ? そういう懸念をしない方がおかしいのよ」
「……まあ、それは確かに……」
「でもまあ、あの裏技は試してみる価値はありそうね」
「そうね。わざわざ敵の本拠地まで行ってそんな嘘情報だけを伝えるのはとは思えないし」
「ともかく、今日は皆んな部屋に戻って、明日ヴィヴィさんの所へ行きましょ」
「うん……そうしよう……」
「すぅ、すぅ」
「あら、レカちゃん寝ちゃったの?」
「そうみたい……」
「なら余計解散よ解散。それじゃあまた明日ねー」
「ええ、また明日」
「また明日ー」
「ま、また明日」
そうして、私達はイライザ達を見送り、自分自身のベットへ入って、ヴァイナ達の事を話しながら眠ったのであった。
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