四日間何する? 四日目 午前
「ふあぁ〜あ」
昨日、皆んな特に行く所も無く暇だったのでお酒やら何やらを飲みながらゲームとかしだけれど、そのせいで二日酔いが凄い……。
「うぅ〜、頭いた……」
部屋を見ると、リーファも二日酔いな様で頭を抱えていた。
「あぁ……ルリカ起きたぁ〜?」
「ええ……起きたわよ……」
「貴方は大丈夫?」
「……これ見てそう思う?」
「頭痛くて見れない」
「……」
頭が痛すぎてこんな会話しか出来ない。
まさに、頭痛が痛いとか言ってしまいそうな具合だ。
「リーファさんもルリカさんも……早く元気になって下さいね?」
「「ありがと(う)イイジマ……」」
流石に今日はゆっくりしましょう。明日、ヴィヴィスさんの所に行かないとだし、今日中に治さないと。
「俺、ちょっと薬でも買ってきます」
「お願いするわ……」
「じゃあ行ってきます」
そう言って、イイジマは部屋を出て行った。
「……ねえルリカ〜」
「何かしら?」
「こんだけ痛いけれど、昨日は楽しかったわよね」
「そうね。皆んなでいわゆる馬鹿騒ぎをしたわよね」
「酒場、迷惑じゃなかったかしら……?」
「大丈夫よ。酒場っていうのは基本ああいうものだから」
「そうなの?」
「そうよ。二日酔いが治ったらニルにも聞いてみたら? ニルの過去はよく知らないけど、何というか冒険者とか傭兵と同じ気配がするわ」
「何なのよその気配」
「勇者の勘ってやつよ」
「勇者の勘ねぇ……名前だけなら当てになりそうなのに、貴方が言うと……」
「んっ! 何よ!?」
「あーあー、大声上げないで……頭に響く……」
「うっ……私も自滅した……」
そうして二人で頭を抱え、また少しの間静寂が訪れる。
「…………明日ね」
「……そうね……」
明日、遂にイイジマの記憶が戻るかもしれない。
今まで記憶を取り戻す道具や機械なんかを使って全部ダメだった訳だけど、本当にこれで思い出して貰いたい。
「大丈夫、絶対」
「リーファ……」
まるで私の心を見透かした様にリーファがそう言った。
「そもそも私達が大丈夫だって信じてなきゃダメでしょ? そうじゃないとイイジマも不安がっちゃうだろうし。それに……」
そう言ってリーファはこっちを向き
「私も早くイイジマが最も愛してる人が私だって事を思い出して欲しいし」
と、自信満々にそう言った。
「……最後のだけはないわね」
でもほんと、全くその通りね……。
「いやいや、全部ありまくりよ」
私達が信じなきゃいけなかったのに……。
「絶対にイイジマは私の事が一番――」
はぁーもう、私も何やってたんだか。
「? ルリカー?」
これからは、全面的にイイジマの記憶が戻る事を信じましょう!
「あっ、もしかして、負けを認め――」
「だからそれはないから」
「あるぇー?」
「ただいまー」
丁度その時、イイジマが薬を買って帰って来た。
「おかえりなさい、薬ありがとうねイイジマ」
「良いんですよ。早く治して下さいね」
「ううっ、イイジマのやさしさが沁みるわ〜!」
さっきのテンションはどこに行ったのよ……!
「あ、そう言えば何ですけど、お客さんが来てるっぽいんです」
「「お客さん?」」
「はい。すみません、入って来て下さい」
扉が開け放たれたその瞬間、私は薬なしで二日酔いが治った。
「「っ!?!?」」
「どうも〜皆さぁ〜ん☆ お久しぶりですね〜☆」
この独特な喋り方! 間違いない!
「何であんたがっ……!」
「え、誰?」
私はすぐに身構えて近くに置いてあった剣を構える。
「そんなに警戒しなくても良いじゃないですか〜☆」
「よくもまあそんな口を……」
「ル、ルリカさん、誰なんですかいったい?」
「彼女は、前に戦った世界的な宗教の大司教、ヴァイナ・リョコタよ! それに彼女達はチートを使ってた人とも繋がってるみたいだし、何より……彼女は裏技についても知っているわ」
「!?」
リーファが驚きの表情を浮かべて立ち上がる。
「そうですね〜☆ それで合ってます〜☆」
「ヤ、ヤバい人部屋に入れちゃったじゃない! というか、裏技知ってるってどゆことよ!?」
「それは〜☆ 過去に色々ありまして〜☆」
「もう、何よさっきから。ずっとうるさいんだけd――」
隣の部屋からやって来たイライザも、ヴァイナを見た瞬間目を見開いて後退りした。
「え、な、何が起きてんのよ!? どっかに飛ばした方が良い!?」
「いや待って! もしかしたらチートに対して何か聞き出せるかもだし……」
「じゃあ吐かせる!?」
「いやでも、チートによって吐かせられないかもしれないわよ!?」
「あ゛ぁーもどかしい!」
「あらら〜☆ 私ってばやっぱり人気者ですねぇ〜☆」
こうして、突如私達の前に現れたリョコタに、どうしたら良いか分からずにこの後来たニル達と共に取り乱しまくるのであった。
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