ヴィヴィスさんとこのお店へゴー!
「「「「「グビッ、グビッ、プッハ〜!」」」」」
温泉から出た後、私達は牛乳を片手に近くのベンチに座って一気飲みしていた。
「やっぱりコーヒー牛乳が一番よね!」
「確かに美味いとは思うが、やはり普通こそ至高。そのままの味の方が美味いよ」
「いやいや、分かってないわねイネ。一番良いのはフルーツ牛乳よ!」
「何言ってるのよ。最高峰の味はシンプルな味付けのいちごミルクよいちごミルク!」
「ニル達はどう思う!?」
「私は……猫人族だからか……イネと同じく普通のミルクが好きかな……」
「ぬっ、レ、レカちゃんは!?」
「私わねー……全部混ぜたやつー!」
((((全部混ぜたやつ……!?))))
「そ、それは美味しそうだな……」
「うん!」
そんな軽快な返事を聞きながら、私達は瓶を片付けて服を着る。
「さてと、ここからどうするの? 温泉じゃあ記憶は戻らなかった訳だけど」
「そうねぇ……」
やっぱり聞き込みとか……いやでもそうするともしこの国にあのイイジマの記憶を奪った奴の手下がいるとしたら情報が筒抜けになっちゃう……。
うーん……どうしましょ。
「そうだ、折角だし先程のリレオなる者が言っていたヴィヴィス殿の店に行ってみないか?」
「あっ、良いわねそれ!」
ヴィヴィスさんは機械をよく作ってるらしいし、もしかしたら……。
「じゃあ行きましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
そうして、私達は地図を見たりしてヴィヴィスさんのお店の元へと向かった。
あっ、因みにだけれど、ちゃんと道中でイイジマの体を女から男に戻しておいたわ。
じゃないとヴィヴィスさんと会う時色々面倒な事になっちゃいそうだし。
「ん? おおお!? イイジマァー! お前っ! そんなに女を連れてくるとは何だぁー!? 俺への当てつけかー!?」
「え、ええと……」
あっ、ヴィヴィスさんはイイジマが記憶を失ってる事を知らないからグイグイ行っちゃってるけど、イイジマはまずヴィヴィスさんの事を名前でしか知らないから困惑しちゃってる……!
「あの、ヴィヴィスさん」
「おっ、何だい!?」
「イイジマは今、記憶を失っていまして……」
「は!? き、記憶を失っている!?」
「はい」
「マ、マジかよ……」
ヴィヴィスさんはカウンターから出て来るとイイジマの肩をガッシリと掴む。
「本当に、俺の事覚えてないのか!?」
「す、すみません……」
「おぉうマジか……」
ヴィヴィスさんがふらふらっとした足取りで後ろ歩きをし、近くにあった椅子に腰掛ける。
「それでヴィヴィスさん、その――」
記憶を取り戻せる道具があったら貸して欲しい、そう言おうとしたその時、ヴィヴィスさんが右手をスッと上げて制止した。
「あんたらが言いたい事は分かってる! だがな……んな機械や装置は申し訳ねぇがねぇ!」
「っ……そ、そうですか……」
まあ、ぶっちゃけ察していたところはある。
まず、普通記憶を取り戻すための装置なんかを作ろうとする訳が無い。
更にヴィヴィスさんは聞くところによると主に体のパーツなどの製作をしているらしいし……余計作る機会が無いわね……。
「だがな!」
そのとき、ヴィヴィスさんが声を張り上げてそう言った。
「五日! いや四日! うーん……三日! 四日か三日あれば作れる!」
「ほっ、本当ですか!?」
私達の顔に笑顔が宿る。
「本当だとも! 俺の親友が記憶失くして困ってるってんだ! 手伝わない訳ねぇぜ!」
「ありがとうございます!」
「おうよ! んじゃあ四日後あたりにまた来てくれ!」
そんな会話をして、私達はニコニコとした笑みを浮かべながら店を出る。
「まさか、作って貰えるなんて事になるとはね」
「そうね! 今の展開は無いから無理! って感じだったものね!」
「いやーほんと、ありがたい限りです」
「それで、期限の四日まではどうする予定なの?」
皆んながそれぞれ「うーん」と唸り始める。
「それじゃあ、宿の場所だけ決めて、以降は各自自由行動で良いんじゃない?」
「それ……良いね……!」
「私さんせーい!」
「私も!」
「私もです!」
「私もだ!」
「わ、私も……!」
「それじゃあ、まずは宿屋に行こっかー!」
そうして私達は、非常にワクワクして、そしてソワソワしながら、宿屋へと向かうのであった。
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