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いざ、温泉の国へ!

「うむ。繊維も繋がっておるな。もう動いても大丈夫じゃろうて」


「ありがとうございます」


 そう言って私はベットから起き上がる。


 ふー……良かった、どこも痛く無い。


「皆に治った事を報告でもして来なさい」


「そうします」


 そうして私は部屋から百取さんの家から出て行き、皆んながいるであろう美沙羅奇へと足を運ぶ。


「ワンッ!」


「あっ、蛇郎丸〜」


「ワンワンッ!」


 蛇郎丸が屈んだ私の顔をペロペロと舐めてくる。


「あっ、ルリカ!」


「イライザ!」


 店の奥からイライザがこちらへ走ってらひ来た。


「元気になったのね!」


「ええ! あれ、他の皆んなは?」


「ニル達はイネさんと一緒に修行中。これからもあんな奴と戦うかもなんだし、戦力は出来る限り上げときたいんでしょ」


「なるほどね……」


 なら私もそれに参加しようかしら。


「やめときなよ。病み上がりなんだから」


「ま、まあそうなんだけどね……」


 やっぱりどんな時でも強くなりたいものはなりたいのよ。


「それで余計体壊したら元も子もないでしょ」


「おっしゃる通りね……」


 そう言いながら私はイライザの隣に座る。


「で、これからどうするのよ」


「うーん……他にイイジマの記憶を取り戻せそうな場所が思い付かないのよねぇ〜……」


「そう……あっ、じゃあさ、私達精霊種(スピリット)の森に……いやダメだわ。私が良くても貴方達が行ったら翌日には良くて骨になってるかも……」


「どんな所なのそこ!?」


 というか昔私そこの近くに行ったのよね!? よく生きて帰ってこれたわよね私!


「え!? 近くに行った事あるの!?」


 あっ、そうだ心読まれちゃうんだった……。


「どうなの!?」


「あ、あるわ……」


「もういっちゃダメよ! ルリカが帰って来られたのは奇跡みたいなものなんだから!」


「元から行く気は無いわよ……そんなの聞いちゃったら……」


「なら良かったわ」


 うーん……それはそれとして本当にこれからどうしようかしら……精霊種の森がダメだとすると、他の行き先は……()国か人魚族(マーメイド)の国よねぇ……。

 どちらにしようかし――


「ルリカ、ユ国に行きましょ」


「え? 何で?」


「決まってるじゃない。温泉があるからよ」


「いやいや、それが何なのよ」


「温泉ってよく言うじゃない? 体と心の洗濯だーって。つまりそれでイイジマにかかっているチートなるものも洗い落とせるんじゃないかなと……」


「何馬鹿な事言ってるのよ。そんな事ある訳ないじゃない。というか、それ貴方が温泉に入りたいだけでしょ」


「バレた?」


「バレバレよ」


 全く、こんな時に何を言ってるんだか……。


「む、失礼ね」


「失礼なのはどっちよ」


「でもさ、本当にそれくらいしか今は無いんじゃない?」


「まあ……確かにそうだけれど……」


「じゃあ思い切って行くしかないでしょ」


「……」


 確かに、そうなのかもしれない……。


 やらないよりは絶対に何か行動した方が良いものね……。


「分かったわ、ユ国に行きましょ」


「やったー! じゃあ私皆んなに伝えてくるね!」


 そう言うとイライザはその場から消えた。


「……温泉……ねぇ……」


 確か、あの国にいる機械族(マシット)達も利用するのよね……。


 そうだ、そこで仲良くなった機械族の人にバグとか詳しい人に案内して貰って何とかなったりしないかしら。


 ……流石にそう簡単にはいかないか。


 でも、想像だけで諦めちゃダメよね!


「よし、頑張りましょ!」


「何をー?」


「わっ!?」


 いつの間にか背後にいたレカちゃんに驚く。


「レカちゃん! いつの間に!?」


「私も……いる……」


「私も居ますよ!」


「い、一応俺も……!」


「私もな」


 そしてそのレカちゃんの背後に、イイジマ達がいた。


「皆んな、どうしたの?」


「いやいや、ルリカの体が治ったって聞いたら、そりゃ行くでしょ? ねえ?」


「うん……」


「そりゃそうだな」


「そうですね!」


「ううっ……」


 なんというか、気恥ずかしい……!


「それで、治ったからにはイイジマの記憶を取り戻す旅を再開するんだろ? 次はどこなんだ?」


「それはねぇ〜、なんとユ国よユ国!」


 イライザが楽しみそうな表情でそう発表する。


「ほう、ユ国か」


 イネさんが唇を少し尖らせる。


「何故だ?」


「温泉の力でイイジマの記憶が戻るかもしれないからよ!」


「そ、それにあの国には機械族が沢山いるから、もしかしたら何か記憶を取り戻せる手掛かりが見つかるかもしれないし」


 イライザがヤバイ理由を言ったので即補足する。


 あ、危なかったわ……。


「なるほど、確かにそうだな。よし、それじゃあ皆んなに挨拶したら早速行くとするか」


「そうしましょ」


 そして私達は百取さん達の元へと向かう。


「ん? おお、どうしたんじゃ?」


 百取さん達は、壊れてしまった会議室の修復中の為、大体ここにいる。


「私達、この村から出る事になりました」


「……そうか、まあ達者でな。特に、イイジマの記憶を早く取り戻してやってくれ。儂とあそこまで戦える者はそうおらんわい」


「分かりしまた」


「イネよ」


「はっ」


「お主も早く戻って来ておくれ。また任務を共にするのを楽しみにしておるぞ」


「かしこまりました」


「それじゃあ、儂はこれにて――」


「あれぇ〜? 皆さん帰っちゃうんですかぁ〜?」


 こ、この独特な喋り方は……!


「み、廻邏毘(みらび)さん!」


「そうですかぁ〜、寂しくなりますねぇ〜。まあでも〜、貴方達なら何だかんだすぐ帰って来てくれそうですし〜、大丈夫でしょ〜。まあお達者で〜」


 そう言うと廻邏毘さんはスタスタと歩いて行ってしまった。


「あ、相変わらずマイペースな人ね……」


「それが彼女なのじゃよ。それじゃ、儂も修復作業に集中するわい」


「分かりました。百取さん、お元気で」


「ははは、まだそんな歳じゃないわい」


 結構歳いってると思うんだけれど……?


 そうしてその後も、鬼姫(きひめ)さんや影蘭(えいらん)さん達にも挨拶をし、出発する事になった。


「それじゃ、行くわよ?」


 イライザが私達に確認を取る。


「良いわよ」


「それじゃあ……私達はユ国に瞬間移動した!」


 その瞬間、私達の視界にはユ国が広がっていたのであった――。


【ご報告】

 読者の皆様、投稿がとんでもなく遅れてしまい申し訳ありません。私生活の方で主に精神的に色々とありまして……あまり書く気力が湧いて来なかったのですが、最近は回復しつつありかなり執筆が出来る様になって来ました。

 これからは今までよりはマシな速度になると思うので、これからも『裏技マス』をどうぞよろしくお願いいたします。

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