一人の勇者 ⑤
私達は急いで森を出て、辺りの状況を見る。
「な、何よこれ……!」
目の前には、大量のモンスターの大群。
間違いなく、これが魔王軍ね。
「ルリカさん! ここまで来られてしまっては仕方ありません! 倒しましょう!」
「そうね!」
剣を抜き、構える。
……いやこの量、倒せる私?
「んん? 貴様、何者だ?」
モンスターの大群の奥から、一匹の大きなゴブリンが現れた。
「私はルリカ・ファーデ。貴方は?」
「俺様はゴブリンキングのギラシャだ。見たところ人族の様だが……これが魔王様の側だと知って前に出たのか?」
「そうよ」
「ぶっ……ははははははははは! そうかそうか、命知らずの人族の女か。そいつぁ……何とも美味そうだなぁ……!」
そう言ってギラシャは下衆な目をして、舌なめずりをしながら私を見て来た。
うわぁ……気持ちわる。
「それじゃあ、お前ら……かかれぇぇ!」
ギラシャがそう叫ぶと彼の周りにいたモンスター達が一斉に襲って来た。
「手助けします!」
リリーフィアさんがそう言いながら上から魔法を放ってくれた。
「ぬぅ……! 貴様……リリーフィアだな……!?」
「おや、私をご存知で?」
「当たりめぇだ! この森を侵略する時に一番気を付けにゃならねぇって言われたのが貴様だからなぁ!」
へぇ……分かってはいたけど、リリーフィアさんって相当強いのね……。
「私も有名になったものですね」
「お前ら! あの飛んでる女から狙えぇ!」
モンスター達がリリーフィア飛びかかるが、より高く飛んだリリーフィアさんに届かず、皆んな地面と衝突していた。
「はぁ!」
その隙に私はモンスターを斬り、魔王軍の数をほんの少しずつ減らしていく。
「はぁ……はぁ……」
とはいえ、流石に数が多すぎる。
斬っても斬っても数が減った気がしない。
「これは流石に私達が不利ですね……」
リリーフィアさんはそう言うと、少しだけ後方に下がり、そして――
「皆さぁーん! 援護をお願いしますー!」
と森に向かって叫んだ。
「「「「「「はぁーい!」」」」」
すると大勢の精霊種が飛び出して来て、魔王軍を攻撃し始めた。
「なっ!?」
ギラシャは少し驚いた顔をしたが、
すぐに戻し、
「お前らぁ! 皆殺しにしろぉ!」
と、曖昧な指示を出した。
「さてと、これで何とかなる……と思います」
「そうですね……」
目の前ではとんでもない勢いでモンスター達がやられていっている。
「一つ質問なんですけど、何で最初から彼女達を出さなかったのですか?」
「あぁ……それはですね……」
リリーフィアさんが彼女達の方を指差す。
「「「「「ヒャッハァー!」」」」」
「!?」
そこには、嬉々とした表情を浮かべたながらモンスターを倒す人達がいた。
「こ、これって……」
「ええ、そういう事よ……」
戦闘狂って事……!?
「まあそういう訳だから、私達は私達の用事をやってしまいましょう」
「用事?」
「勇者の剣を抜くのです」
「あぁ! そうでしたね!」
「行きましょう!」
「はい!」
そひて私達はすぐに勇者の剣の場所へと戻った。
「ふんぬ〜!」
ダメだ……抜けない……。
「大丈夫ですか?」
「はい……」
何だか非常に申し訳ない。
彼女達は皆んな魔王軍を攻撃してくれているのに、自分は剣を抜く事すら出来ないなんて……。
「ひとまず、休みましょうか」
「分かりました……」
柄から手を離して、地面に座ったその時
「ふんっ!」
「うわっ!?」
上からギラシャが降って来た。
「チッ、当たらなかったか!」
「何で貴方が……」
「俺様かは鼻が利くんでなぁ……貴様らが逃げた後、すーぐ追っただけの事だぁ……」
め、面倒な事になったわね……。
「取り敢えず! 俺様がすぐに殺してやるから、感謝してそこで待ってろぉ……!」
そう言いながらギラシャは近付いて来た。
「来ないで!」
私は立ち上がって剣を抜き、ギラシャを睨む。
「そうか……抵抗するか……良いだろう! お前らまとめてぶっ殺してやる!」
そうして私達は、ギラシャと戦い始めた。
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