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一人の勇者 ①

「ゆ……勇者……?」


 イライザがそう呟く。


「あぁ゛そうだよぉ、こいつ、勇者何だよぉ゛、王都の王様に選ばれたなぁ゛」


 剣を持っている手が震える。


「全くよぉ゛、探すのに苦労したぜぇ゛? あの時、森人族の村でお前をチラッと見れなかったら多分今でも分かってなかったぜぇ」


 森人族の村……あっ! もしかして彼は……!?


「貴方、樹神になりすましてた人?」


「あぁ゛そうだよぉ゛。っつ゛ーか、気付くの遅すぎだろぉ゛? さっきも気付くのおせぇし、お前ぇ本当に勇者なのかぁ゛? あぁ゛?」


「……」


「ルリカ、彼の言っている事は本当なの……?」


 イライザが私を見ながらそう言って来た。


 それに釣られて、皆んなも私を見る。


「…………ええ、本当よ」


「「「「「!」」」」」


 そう、私は……勇者なのだ。


「ルリカ……あんたじゃあ何でここにいるのよ!? 魔王退治……は、やらなくて良いとしても、あんたは国からのお金で好きなだけ暮らせるでしょ!?」


「それが……別にそんな事無いのよ……」


「え?」


 私はそう言って、過去の記憶を振り返り始めた。





「本日より! ルリカ・ファーデを勇者とする! ルリカよ、魔王からこの世を救いたまえ!」


「……はい!」


 私は、謁見の間にて(ひざまず)きながら王様にそう答えた。


「では、今宵はパーティーじゃ! 皆の者! 新たな勇者誕生に祝福を!」


「「「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」」」


 周りにいた兵士達がそう歓声を上げる。


「それではルリカ、本日の五時にまたこの城に来るのだ」


「かしこまりました」


 私はそう言って立ち上がり、家へと帰った。


「はぁ〜……」


 ベットに横になり、窓から空を眺める。


「私が勇者……かぁー」


 実感が湧かない。


 勇者とは、言わば英雄だ。


 そんな歴史に残る様なものに、私がなったのは信じられない。


 まず、本当に何で私になったのかしら?


 私より強い人はいっぱいいるはずなのに……。


「まあ良いや。これで人生安泰だしー」


 勇者になれば、各国から資金を渡され、一番最新の装備をくれたりもしてくれる。


 まあその代わり魔王を討伐しなきゃ何だけど……各国のそういう強い装備があれば簡単に倒せるでしょ。


「今何時かしら……」


 部屋に掛かっている時計を見ると二時半だった。


「約束まであと二時間半……か……」


 仮に寝ちゃってすっぽかしちゃったりしたら怖いし、ちょっと街を歩いていようかしら。


 そう思って私は外へ出た。


「うぅーん……! やっぱり外は気持ち良いわねぇー」


 私は結構アウトドア派なのだ。


「さてと、どこに行こうかしら?」


 そう言ってまずは商店街の方へ歩いていく。


「ねえねえ聞いた?」


「聞いたわよ、勇者になる方決まったんだってねぇ?」


 ん? 私の話してる。


「しかも女性だなんてねぇ」


「100年振りらしいわよ」


「100年!? そんなに久しぶりの事なのかい?」


「何というか……勇者は男性だ。みたいな風潮が強いから……」


「あと、普通に筋力的な差もあるわよねぇ……」


「そう聞くと、ちょっと不安になって来たわね……」


「……」


 何よ不安って!


 まあ私自身も確かにちょっと不安だけれど!


 ……100年振りの女勇者……かー……。


「ま、まあ、知名度を上げるには打ってつけね!」


 100年とかそういうのには人は興味津々(きょうみしんしん)になるしー。


 ……でも知名度上げたからって魔王に勝てる訳じゃ無いのよね……。


 まあ良いわ。


 どーせ私が活躍したら『流石100年振りの女勇者だ!』って感じになるのよ!


「他にも色々見て回ろー」


 そして私は商店街を満喫した。


「ふー、そろそろいい時間ね。王宮に向かいましょ」


 私は王宮に向かって歩き、兵士と共にパーティーを開催する広間へと移動する。


「おお! 皆の衆! 見るのだ! 100年振りの女勇者だ!」


「「「「「おぉ……!」」」」」


 周りの人々が私を珍しいものを見る目で見てくる。


「あはは……どうも……」


「それではこれより! パーティーを始める!」


 私をあまり気にしていない王様が、そう言った事により、パーティーが始まったのであった。


『面白い!』


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 ブックマーク等もして頂けると本当に嬉しいです!


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