イイジマだから……ねぇ〜……
「ここが……森人族のレストランなのね……」
「そうよ! 早速入ってみましょ!」
イライザを押してレストランの中に入る。
「よいしょ、それで、ここの名物は何なの?」
「あー、前に入ったことがあるんだけど、よく覚えてないのよ。本日のオススメ的なやつで良いかしら?」
「良いわよ」
店員さんを呼び、本日のオススメを頼んだ。
「それで、何でこんな所に連れて来たのよ?」
「イイジマの記憶喪失について話したかったのよ」
「? イイジマの記憶喪失がどうかしたの? いやまあどうかしたから記憶喪失なんだけれどね」
「あの記憶喪失、チートって名前の力で消されたと私達は睨んでる、そうよね?」
「ええ」
「そのチートのせいで、貴方の力も使えなくて、この村の医師の力も、リヴェットさんの力も使えない」
「そうね」
「でも……私こうも思うのよ。イイジマが、《《わざと記憶を失わせた》》んじゃないかって」
「!?」
ガタッとイライザが席を立つ。
元々私達は別の種族だから目立っていたのに、今ので店中からの視線が集まる事になった。
「あ……すみません……」
イライザはゆっくりと座り、メニューを立てて、鼻より上の部分だけをメニューの上から出していた。
「それってどういう事よ?」
「いやまあ、イイジマだからっていう所謂希望論でしかないけれど、イイジマはあのチートをやられる前に、何らかの裏技を使って先に記憶を消したっていう風に思ったのよ」
「イイジマならそれが出来るかもだけど……じゃあ何で私の力やリヴェットの力、ひいては裏技ですら治せないのよ?」
「それほど強力の裏技なんじゃないのかしら?」
「ありえ……なくもないのよねぇ……イイジマだから」
「イイジマだからねぇ……」
まあ、私自身も分かっている。その可能性がかなり低いことは。
実際、あのチートをやられた時イイジマは本気で驚いた顔をしていたし、何かの裏技をした様子も無かった。
でも、本当にイイジマはそれをやった気がする。
私達がイイジマの記憶を取り戻す事に賭けて。
「取り敢えず、今はどうにかしてイイジマの記憶を取り戻す事に集中しましょ」
「そうね」
その時、店員さんが料理を持って来た。
「「エッ!?」」
私達はそれを見て顔が青ざめていった
出てきたのは……デッカいムカデ5匹とレタスだった。
「これ……何……?」
イライザが至極真っ当な質問をして来た。
そうだった! このレストラン虫が出て来るんだった!
「あっ、あー……この村昆虫食しか出ないって事忘れてたわ……」
「何で忘れられるのよ!?」
ほ、本当に何で忘れてたのかしら……。
「ひぃっ!?」
ビキビキと脚を動かすムカデにイライザがビビりまくる。
まあ私もめちゃくちゃビビったのだけれど……。
「ど、どうするの……? 食べるの……?」
「せ、せせせ、折角出して貰ったのよ? たた、食べないとでしょ」
そういうところは律儀なのね……。
「ほら、た、食べましょ」
「そ、そうね……!」
箸でムカデをつまむ。
『ビキビキビキビキ』
「ううっ」
キ、キモ過ぎる!
イライザも気持ち悪すぎて食べれていない様だ。
あっ、そうだ、レタスが付いているんだし、一緒に食べろって事よね?
試しにレタスに挟んでみる。
『ビ……ビキ……ビキビキビキビキ』
やっぱ気持ち悪いぃー!
というか何で最初ちょっと動かなくなったのよ!
「ううう……これ……食べなきゃダメなの……?」
「元々は貴方がここに来たのが原因なんだから、頑張りなさい」
「うっ……」
それを言われるとぐうの音も出ない。
取り敢えず私は近くにあったドレッシングをムカデレタスに掛け、覚悟を決めた。
「はぐっ!」
「おぉ……」
むしゃり、むしゃりと咀嚼する。
「……ごくん」
「ど、どうだった?」
「……苦い」
「苦いんだ……」
というか、生で食べても大丈夫だったのかしら? 寄生虫とか……。
……ま、まあ、ここは森人族の村だから、大丈夫よね!
「ほら、イライザも」
「はぐっ」
「行くの早っ!」
「……確かに苦いわね」
「でしょー?」
そこから私達は、悪戦苦闘しながらも何とかムカデレタスを食べ切ったのであった。
今度こそ覚えた。
二度と来ないと。
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