えっ、あっ……あそこにあるんですか!?
「うぅ……結構暗いじゃない……」
「何イライザ? 怖いの?」
「こ、怖くなんか無いわよ! そう! 雰囲気あるなぁーってぎゃぁぁぁああああ!」
イライザの腰辺りにテントの幕が少し触れただけであれである。
「……イライザ、怖いんだったら私達のそばにいて良いのよ?」
「だ、大丈夫よ! 私はもう怖くない!」
そう言うと、イライザはいつもの状態に戻った。
「これで大丈夫よ」
「なら良いわ。それじゃ、進みましょ」
テクテクと歩いて行き、少しだけ光が入って来ていた幕を払いのける。
「あ……」
そこは、私達が沢山見たあのメインステージがあった。
そして私達にスポットライトが当てられて、目の前からモクモクと煙が立ちこめた。
そして――
「久方の再会だな」
リヴェットが現れた。
「ええ、お久しぶり」
「要件は……なるほど、彼の記憶が……」
「そうよ、どうにか出来ないかしら?」
「ふむ……私にはどうやら観測出来ない様だ」
「か、観測出来ない……?」
「そのイイジマの記憶を取り戻す、という行為が起きる未来を覗く事が出来ないのだ」
「なっ、何で!?」
「分からない……実に不可思議な現象だ」
「て、て事は、貴方にもイイジマの記憶を取り戻せないの!?」
「申し訳ない」
「そんな……」
足がフラフラとフラつく。
他の皆んなもそうなっている様だった。
「だが、まだ可能性はあるぞ?」
「え?」
「私はその未来を覗けないと言ったが、まだ無いだけなのかも知れない。そして、治す事が出来るかも知らない村……いや、里を、君達は知っているんじゃないのかね?」
え……どこの事かしら……?
「忍びの里の……事……?」
あっ、忍びの里!
色々あって忘れてたわ!
「その通りだ。忍びの里ならば、なんとか出来るかもしれん」
「な、何で?」
「あそこには、様々な忍者と呼ばれる存在がいるだろう? そして彼らは様々な薬品や道具、スキルなどを使う様だから、もしかしたら、イイジマの記憶を蘇らせる事も可能かもしれない」
「うーん……貴方の方が可能性ありそうだけれどね……」
「いや、忍者の里の方が可能性がある」
「本当にー?」
「本当だとも」
「……なら、私達は忍者の里に向かうとするわ」
「そうか。幸運を祈ろう」
そう言うとリヴェットは暗闇に消えてしまった。
「……忍者の里に……行くの……?」
「行くっきゃ無いわよ。イイジマの記憶を呼び戻す為だもの」
私はイイジマの事を横目で見る。
物珍しそうにテント内を見回していた。
まあ確かに、この世界じゃ珍しいものね……。
「それじゃ、早速向かうとする?」
「うーん、ちょっと今日は休んで、明日行きましょ」
「まあそうね、私は精霊種だから疲れないけど、他の皆んなは疲れてそうだし」
見ると、確かに皆んな顔が少し疲れてそうだった。
「それじゃ、この後は各自自由行動って感じにしましょ。それじゃ、戻ろうか」
そうして私達は教会の部屋へと帰ったのであった。
「……本当に行くの?」
「はい、行ってきます」
先程、イイジマがこの村を一人で探検してみると言い出したのだ。
何故かと聞いてみると、前の自分もこの村を一人歩きしたのだから、今の自分もそうしたら何かしら思い出すかもしれないから、との事だった。
そっか……イイジマも受け入れて、それを克服しようとしてるんだね……。
記憶を失ってるって現実を……。
パタン、と扉が閉じられ、イイジマの足音が遠のいて行った。
「ルリカはどうするの?」
ベットで横になって浮いているイライザがそう尋ねる。
「そうねぇー、私はまあ普通にゴロゴロしてようかしら」
「もったいないわよー? まあ疲れてるなら仕方ないと思うけど、こんな綺麗な場所にいるんだし。リーファだって、この村にある道具と、イイジマが歩んだ道を調べに出てるし」
「相変わらずね……リーファは……」
でもそうか、皆んな出掛けちゃってるのか……。
「あっ、ならイライザ」
「何?」
「一緒にちょっと行って欲しい所があるんだけど、ダメ?」
「……まあ、別に良いわよ。それで、場所はどこ?」
その質問に私はこう答えた。
「この村のレストランよ!」
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