リーファの秘密道具
『ブピャラフォォォォー!!』
「なっ、何今の音!?」
「ふふふ、彼らが来た合図よ」
「彼ら……?」
「汝等は再度我らを呼ぶか」
「うわぁっ!?」
いつの間にか、私達の背後に道化師が立っていた。
「ええ、しかも今回はかなり重要な案件よ」
「……確認した。我らのテントに入るが良い」
そう言うと道化師は消えてしまった。
「え、えぇ!? 今の何!? 何なの!?」
「彼らは道化師、今イイジマが鳴らした鈴は、彼らを呼ぶ為の道具なの」
「か、彼らを呼んでなんになるのよ!」
「彼ら……臙脂のサーカス団の団長は、呼ばれればどんな場所でもどんな時間でも来るのよ」
「それがな……どんな時間でも?」
「そうよ」
「つまり、彼らは時空を超えて来てるって事?」
「そういう事。つまり、彼らは超常的な力で行ったり来たりしてるって訳」
「じゃあ……!」
「イイジマの記憶を取り戻す方法を知ってるかもしれないのよ!」
「ルリカァー! 私信じてたからねぇー!」
「ふふっ、そういう事にしておいてあげる」
「なら早速行きましょ」
「行くって……どこへ?」
「さっき彼が言ってたでしょ? テントって」
「テ、テント……?」
イライザが辺りを見回すが、どうやら無いらしい。
私も見回したが、確かに無かった。
「あれ? どこにあるのかしら?」
「ふっふっふっ……ここは私に任せて頂戴!」
そう自信満々に言ったのはリーファだった。
「な、何をしようしてるの?」
「私、ここに来る前に言ったでしょ? 色々な道具を持って来たって」
はっ! 確かに言ってたわ!
「もしかして、その道具で……!」
「そうよ! 見つけてあげるわ!」
そう言うとリーファはバックから何かを取り出した。
「テッテレッテッテー、テッテー! おーさーがーしーぼーうーしー!」
「な、何その効果音と言い方?」
「何となくこうしてみたくなっただけよ」
「そ、そう。それで、それは何なの?」
「このお探し帽子はね、風が吹いている時に投げると私達探しているものまで飛んでいってくれるのよ」
「めちゃくちゃ便利じゃない!」
「ふふーん、でしょ? これを開発するのには苦労したわー」
「それじゃ、風が吹いたら早速投げてみましょ!」
「ええ!」
そうして、待つ事30分。
「風……吹かなくない?」
「そうね……」
「あぁ……言い忘れておったが、この村に風は来んぞ?」
「「「「「え?」」」」」
「いやの、外部の物が入ってくるのを阻止する為に、風防止魔法を村全体に貼ってあるのじゃ」
シーン、と、その場が静かになる。
この時の皆んなの気持ちは間違いなく同じだ。
そう!
(((((それ早く言えやぁぁぁぁあああああー!)))))
「汝等、何をしている?」
あっ、遂に向こうから来ちゃった。
「テントの位置が分からなくて行けなかったのよ」
「把握した。テントの場所はあそこなり。早急に来い」
テントの場所を指差した道化師は、すぐに消えてしまった。
「今の道化師、あっちの方を指差してたわよね?」
イライザがその方角を眺める。
「んー? ……あっ、あった!」
「え!? どこどこ!?」
「ほらあそこ!」
イライザが指差す方向を見ると、木と木の間に少しだけ臙脂色の何かが見える。
間違いなくあれが道化師達のサーカステントだろう。
「あんな……分かりにくい所に……あったのか……」
「これは……酷いわね……」
「取り敢えず、向かうとしましょ」
そう言って私達は臙脂のサーカス団に向かおうとした――が、
「あー、皆んな、一つ質問良い?」
イライザによって止められた。
「何?」
「あそこまでどうやって降りるの?」
「え?」
「いやだって、ここは裏技で落ちても上にテレポートするんでしょ? だったらどうやって下まで降りるのかなぁーって」
た、確かにそうじゃない! どうやって降りるのよ!?
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、そこは安心せい、ほら見るのじゃ、あそこから下に伸びる枝があるじゃろ? あれを伝って行けば、下に降りられるのじゃ」
おぉ、今度は素早く教えてくれた。
「ありがとベクト爺! それじゃ、行きましょ!」
「「「「「おぉー!」」」」」
こうして私達は、リヴェットのいるサーカステントへと向かったのであった。
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