大司教達との戦い
「行くぞイライザ!」
「ええ! 貴方達は負けるわ!」
イライザが勝ち確の言葉を言った次の瞬間――
「おっと、悪いが彼らは負けないぞ?」
「「!?」」
いつの間にか、黄土色のコートを着た男が浮いていてそう言った。
「くっ……! 貴方はもうその能力を使えないわ!」
イライザがそう言うと、黄土色のコートを着た男は空中から落ちて来た。
「危ない危ない」
男ほそう言いながら立ち上がった。
だが、これでもう邪魔をする奴はいない。
「よし! イイジマ! あいつらを倒すわよ! そう、貴方達は負けるのよ!」
だがその時、
「いや、負けるのはそっちだ」
と男は言って来た。
「貴方、もう能力は使えないのに、何言ってるのよ?」
「いや、俺はまだ能力が使える」
「はぁ?」
「君は先程、『その能力』と言った。だが恐らく君の能力は〝言葉通り〟の現象を起こせるというものだろう。つまり、その、が何か定義されていない限り、その、が何かは相手の思い込みによって判断される訳だ。という訳で、俺が失ったのはあの飛行能力という訳だ……おっ、どうやら俺は失った能力を取り戻せた様だ」
そう言うと男は階段を上がる様に上空に浮かんだ。
「あっ、貴方のその何でも可能にする力はもう使えな――」
「それは俺にはもう効かない」
「くそっ!」
イライザのあの能力が彼に効かなくなってしまった。
「ならば……貴方の駆使する能力はもう私達には効かない!」
「効くぞ」
どうやら、アイツはイライザの能力を上書き出来る様な能力を持っているらしい。一体どんな能力なんだよ……。
「それより、前に警戒した方が良いぞ」
「!」
いつの間にか、ラースレの放った水が俺を捕らえようとしていた。
俺はすぐさま飛び退き、何とか捕まらずに済んだ。
「おい! 何故あいつらに注意を出した!? 注意が無ければ、今頃あいつらは俺の水に捉えられていたというのに!」
そう言うと男はふぅー、と息を吐いて、
「我が主が、もう少し時間が欲しいと言っているからだ」
と言った。
「我が主……?」
誰なんだ、それは?
「くっ……まあ良い、行くぞ!」
ラースレのその一言に合わせて、大司教達が俺らに向かって走り出した。
「はあっ!」
「せいっ!」
イライザは倒せないと悟ったのか、俺を狙って来た。
ギガストが炎を纏った拳を振り下ろした瞬間に、ファレスチナが石を放って来た。
どうやら、魔法陣を使っている様で、スキル名を叫んでいない。
取り敢えず俺は、パンチを避ける為に後ろに避けようとしたが、強烈な風がそれを許さなかった。
「ふふふ」
ビラナの風魔法だ。
「喰らえぇ逸脱者ぁ!」
ギガストの拳が目の前に迫る。
「その攻撃は彼にイイジマに効かないわ!」
その瞬間、イライザがそう唱えた事により俺の顔面に当たったギガストの拳は、カキーンと音がして弾かれた。
「痛っ……!」
「おらっ!」
弾かれて痛がっている隙に、ギガストの腹を蹴って遠くへ飛ばす。
そして近くにいたファレスチナには【水出現】を使った津波レベルの勢いをお見舞いした。
「うわぁ!」
波に脚が取られて、遠くへ流されていった。
「ふっ」
だが突然、ファレスチナを流していた水が動き出し、俺に物凄い勢いで迫って来た。
「くそ!」
どうせこれもラースレのスキルだ。
だから俺は、弾に【神速】のスキルを付与し、発泡した。
すると、風圧で水が真っ二つに割れた。
「何っ!?」
そしてその先にいたラースレの左肩に弾が当たる。
「ぐあっ……!」
左肩を押さえているところに、膝蹴りをして吹っ飛ばす。
さて、これであと三人だ。
「ふっ、ふははははははは! あっははははははははははははははは!」
……うわぁ、一人おかしくなっちゃった人がいた……。
確かあの大司教は……
「素晴らしい! 流石逸脱者だ! こうではないとな! そう、こうではないと!」
闇の大司教の、ビレッド・バレスだっけな?
「ちょっとビレッドさぁ〜ん☆? 今は戦いに集中して下さぁ〜い☆?」
「あぁすまない。だが! あの圧倒的なまでは力! あぁぁぁぁ! 私が求める能力だ!」
何と言うか……変態にしか見えない。
「ビレッドさん、彼を倒したら彼の体を研究出来ますよ?」
「おぉ確かにそうだ! よし! ならば殺そう! すぐに殺そう!」
うんやっぱ変態だ!
「死ねぇぇぇぇ!」
ビレッドが右手を俺にかざすと、急に俺の体が動かなくなった。
それを見て、ビラナとヴァイナが迫って来た。
くそ……! これ、麻痺か……!
「イイジマは状態異常が効かないわ!」
すぐさま俺の異常に気付いたイライザがそう言ってくれた事で、迫って来ていた彼らの攻撃を回避できた。
「全く、やはり彼女の能力は厄介ですね……!」
「そうですねぇ〜☆ ほんと……うぜぇわ」
ヴァイナの顔付きが変わる。
いや、正確には目から光が消えた。
「とっととやっぞビラナ、あたしゃぁ、さっさと自室でぬくぬくしててぇんだよ」
「ふふふ……はい、分かりました」
凄ぇ、性格が180°変わってるのに全く動じてない!
「おらぁ!」
ヴァイナが持っている杖をまるで槍の様に突き出して来た。
「うおっと!」
俺は体をくの字にして避け、再度魔法を放とうとしていたビレッドに向けて発砲した。
「素晴らしい! その様な状況下でも私に発砲するほど考えが回るとは! 素晴らしい!」
コイツッッ! 撃たれてるのに全く動じてねぇ!
「おらよぉっ!」
杖をブンブンと振り回してくるヴァイナに発砲して牽制し、ビラナを叩きに行く。
「おや、私に来ますか」
ビラナそう言うと目でギリギリ見える風の壁を展開した。
きっとあの壁に突っ込めば俺は身動きが取れなくなってしまうのだろう。
風の向きが外側から内側へと向かっているからだ。
「ほぉ、来ませんか、賢いですね」
そう言うとビラナは風で俺を吹き飛ばした。
「チッ!」
俺はすぐにクルンと回って吹き飛ばされた方向にいたヴァイナに向かって発砲した。
「んなもん効かねぇよぉ!」
だがなんとヴァイナは弾丸を杖で弾いた。
「おいおいマジか!?」
俺はすぐさま体勢を変え、突き出された杖を上から蹴って刺さらない様にして、事なきを得た。
「ビレッドの言う通り、流石逸脱者ですね……」
「るっせーぞビラナ、さっさと終わらせっぞ」
「はいはい」
「逸脱者ぁぁぁぁ!」
おい全く会話が噛み合ってない奴がいるぞ!
「うぉらぁぁぁぁ!」
「【風神の遊戯】!」
「ふははははははは!」
三人共、そう言いながら俺に攻撃をして来た……が、
「ふっ」
「「「!?」」」
俺は待ってたのだ、この時を。
「終わりだ」
そう、この場所は……とある裏技が出来る場所なのだ。
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